発達障害、何歳から疑うべき?

  • 作成:2022/07/22

AskDoctorsに寄せられたお悩みをマンガで紹介し、医師からの回答を紹介する本シリーズ。今回ご紹介するのは、子どもが発達障害かどうかわからないというお母さんからのご相談です。

今西 洋介 監修
 
今西 洋介 先生

この記事の目安時間は3分です

発達障害、何歳から疑うべき?

【今回のお悩み】
1歳2ヶ月になる息子がいます。
この時期はパチパチやバイバイ、パパなど単語を話すなど見ますが全く真似しないし言葉も低月齢の子が言うようなあーとかうーとかしか言いません。
真似することに関してはボールを穴に入れるテーブルを手で叩くなどは真似しますが最初にどの子もやるようなバイバイ、パチパチ、いただきますなどしないし、言葉も話さないしで不安です。
発達障害の疑いは何歳頃から疑ったほうがいいのでしょうか??

医師の回答

我が子に年齢相当の発達を認めない時、とても不安ですよね。実は私、の娘も同じ状況で1歳半を過ぎても有意語を喋らず、とても不安な気持ちになりました。

子どもの発達は乳幼児健診で診ていきますが、今回ご質問くださったお母さんのご存知の通り、発達のメルクマールがあります。言葉に関して言うと1つの単語を言うのは1歳、2つの単語は2歳、3つの単語は3歳です。「パチパチ」など人の真似をするのは生後10ヶ月が目安とされ、健診の時に医師はそれらの項目を頭の中に置いて評価していきます。

しかし、発達は個人差が大きくグラデーションが広いものです。またすべての子供は順番通りに発達していくわけではありません。例えばお座りは7ヶ月、つかまり立ちは10ヶ月ですが、健診でたくさんの子どもたちを見ていると、それらの順番が逆転して発達していくことは珍しくありません。ですから順番はどうあれ、最終的に1歳半時点で一人で立って歩行できればOKとしています。

言葉の方で言えば、言語理解の方はどうでしょうか?言葉が出てくるのが遅い子どもの中でも、大人からの指示が理解できている子どもは、やがて言葉が出てくるようになる印象ですが、注意しなければいけないのは難聴が隠れていることです。 生まれた際に聴力検査を行う割合は増えてきていますが、全ての自治体で補助が行われているわけではありません。言葉が遅れている子どもの中に、片側もしくは両側難聴の子どもがいる可能性がある点には、注意が必要です。

発達障害は大きく自閉症スペクトラム(ASD)、多動性注意欠陥性障害 (ADHD)、学習障害(LD)に分かれます。
ASDの多くは18~24ヶ月で早期徴候が認められるとされていますが、実際の乳幼児健診だけでは難しいところがあります。乳幼児自閉症チェックリストとしてはM-CHATが知られています。そして何より大切なのは、発達の程度と親の子育て方法や愛情とは全く関係がないことです。発達障害の特性は、親にとって「子育てのしにくさ」として現れてきます。そう言った意味でも、言葉が出ないだけなく、目線が合わなかったり動画の特定シーンを見続けたりしてこだわりが強いなど、他の症状あれば早めにかかりつけ医に相談してみてください。また子どもの言葉は「出ない」だけでなく、出ても発音の問題などもあり、多岐にわたります。小児専門施設には言語聴覚士という言葉のスペシャリストがいますので、相談してみてください。

参考文献
1) 国立精神・神経医療研究センター児童・思春期精神保健研究部:日本語版M-CHAT.(2022年6月アクセス)
2) WHO Multicenter Growth Reference Study. Acta Pediatr 2006;450:86-95

小児科医/新生児科医
日本小児科学会専門医、日本周産期新生児専門医
一般社団法人チャイルドリテラシー協会所属。日本小児科学会健やか親子21委員。大阪大学公衆衛生学博士課程在籍。講談社モーニング連載『コウノドリ』の漫画・ドラマの取材協力。m3(エムスリー)、Askdoctors、yahoo外部執筆者として公衆衛生学の視点から周産期医療の現状について発信。

病気・症状名から記事を探す

その他
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師