動悸と不整脈の違いとは?

  • 作成:2015/11/02

心臓がドキドキすると感じる動悸(どうき)の原因のひとつに不整脈(ふせいみゃく)があります。ひとくちに不整脈といってもいくつかの種類があります。今回は不整脈とは何か、動悸との違いついて、医師監修の記事でわかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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不整脈

不整脈とはどのような病気?

不整脈(ふせいみゃく)を理解する前には、まず心臓がどのように動いているかを知っておく必要があります。心臓は、正常であれば1分間に60-100回拍動をして全身に血液を送り出す重要な臓器です。この拍動のためには心臓に弱い電気が流れる必要があり、わかりやすく言うと心臓の中には電気を起こす発電所と電気を送り出す電線の役割を担う部分があります。電気の伝達がうまく行くと心臓は規則正しく拍動をすることになるのですが、それを感知する検査が心電図検査です。不整脈とは、この電気伝達がうまく行かず、電気の信号が途中で止まったり、フライングしてしまったり、異常に早く出てしまったりすることにより起こります。

不整脈と言うと動悸をイメージする人も多いですが、動悸を自覚するものは脈拍が多くなるタイプの頻拍性(ひんぱくせい)の不整脈です。他にも脈が遅くなるタイプの除脈性(じょみゃくせい)不整脈や脈が飛んでしまうタイプの期外収縮性(きがいしゅうしゅくせい)の不整脈があります。それぞれの不整脈のタイプによって症状の出方も違います。

脈が速くなる不整脈とその症状

脈が速くなる不整脈は、心臓の中で電気信号が異常に早く出てしまったり、信号は伝わっても空回りしてしまう時に起きます。発作性上室性頻拍(ほっさせいじょうしつせいひんぱく)や心房細動、心室頻拍、心室細動、WPW症候群などは、脈が速くなる不整脈の代表的なものです。

脈が速くなる不整脈は、頻脈性の不整脈とも言いますが症状は動悸、胸痛、めまい、失神、四肢の冷感、眼前暗黒感(目の前が真っ暗になる)などです。心臓が速く拍動してしまうことにより、体全体や脳に十分な血液が回らなくなって症状が出ます。脈拍数は1分間に120回以上となることが多く、200回以上になることも少なくありません。発作性上室性頻拍は、速い脈が規則的に続いて突然に止まります。

心房細動は、普通に生活していても脈が速くなっていることもあり、長く放置していると心不全を起こします。心臓が無秩序に拍動しているので、血液の流れが悪くなり血の塊り(血栓)ができて脳の血管につまって脳梗塞を起こす可能性もあります。心室頻拍は、重症な心臓の病気に伴って起こることがあり意識を消失したり、心室細動という心臓が痙攣(けいれん)しているだけで全く機能していない状態になり命を失うこともあります。それぞれに治療方法があるので、もし動悸や今回挙げた他の症状がある場合には早めに病院を受診しましょう。運動後やストレス、過度の緊張、カフェインの取りすぎなどでも脈が速くなり動悸を感じることがありますが、これらは生理的でありしばらく休めば改善するので心配ありません。貧血のために、足りない酸素を補うべく心臓が必死に拍動すると動悸を感じることもありますが、この場合は病院で貧血の原因を調べることになります。

脈が遅くなる不整脈とその症状

脈が遅くなる不整脈は、心臓の電気の流れが悪くなったり、止まってしまうことで起きます。脈拍が1分間に40回以下になるとめまいや息切れがします。脈が遅くなった後に反動で脈が速く打つことがあるので、この時に動悸を感じることもありますが、脈が速くなるタイプの不整脈に比べると動悸の自覚は少ないです。脈が遅くなる不整脈は、洞不全症候群や房室ブロックが代表的なものです。ペースメーカーを体に入れてリズムを作るようにしないと心臓や体に負担がかかり、失神発作を繰り返したり、心不全になってしまうことがあります。迷走神経反射と言って、過度の空腹や疲労、下痢や嘔吐などの胃腸障害、便秘時のいきみ、眼球の強い圧迫などで生理的に脈が遅くなることがあります。しかし心臓への電気信号が減ることには変わらないので失神発作を起こして意識を失い、救急車で運ばれることもあります。不整脈やその他の疾患による失神が否定されると迷走神経反射と診断されます。

脈が飛ぶ不整脈とその症状

脈が飛ぶ不整脈は期外収縮(きがいしゅうしゅく)と呼ばれ、心臓の電気信号が本来出るべき場所よりも早く出てしまうことにより起きます。心臓の上の部分から出るものを心房性(しんぼうせい)期外収縮、下の部分から出るものを心室性(しんしつせい)期外収縮と言います。30歳以上になるとほとんどの人が期外収縮が起こると言われているので、日常生活に支障がない場合は経過観察となります。しかし、脈が飛ぶという症状以外に動悸や心不全による息切れなどの症状が出る場合には治療の対象となります。期外収縮は30歳以降、年齢を経るごとに増えていくと言われています。

動悸ついて不整脈との違いなどをご紹介しました。動悸や不整脈に不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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