高血圧の定義、基準数値、患者数 「高血圧症」とは別物?
- 作成:2016/04/19
高血圧とは簡単にいうと「血圧が140/90mmHg以上」である状態です。ただ、考え方が様々であるほか、「高血圧予備軍」と呼ばれる血圧の方もいます。「高血圧症」との違いも含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。
この記事の目安時間は3分です
高血圧の定義って一体何?そもそも病気なの?
高血圧とは、「血圧が140/90mmHg以上」であることを指します。大きいほうの数字を「収縮期血圧(最高血圧)」、小さいほうの数字を「拡張期血圧(最低血圧)」と呼びます。高血圧の定義である「140/90mmHg以上」とは、収縮期血圧と拡張期血圧のどちらか一方だけでもこの数字を越えると「高血圧」という病名がつき、何らかの治療をする必要があるという意味です。
しかし、上記の基準を超えたらすぐに薬を飲まないといけないという訳ではありません。年齢や性別、体重、喫煙や睡眠時間などの生活習慣、持病の有無などによって治療が異なります。薬を飲む必要があるかどうか、食事療法や運動療法だけで良いかなどは個人差があり、患者さんごとに少しずつ異なるため主治医の先生の説明をよく聞き、相談することが大切です。
高血圧は多くの場合、症状があまりなく、血圧が上がったからすぐに危険という訳ではありません。しかし、高血圧を放置すると全身の動脈硬化の進行が早くなり、結果として狭心症や心筋梗塞などの心臓病、脳出血や脳梗塞、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)といった命に関わる病気を引き起こす危険が、時間とともに高まってしまいます。そのため現在、症状がなくても積極的に治療することが将来の大きな病気を防ぐ意味で大切だと考えられているのです。
高血圧の基準値とはどうなっている?
高血圧の基準値は「日本高血圧学会」により以下のように定められています。
成人における血圧の分類
至適血圧 120未満 かつ 80未満
正常血圧 130未満 かつ 85未満
正常高値血圧 130-139 または 85-89
I度高血圧 140-159 または 90-99
II度高血圧 160-179 または 100-109
III度高血圧 180以上 または 110以上
(孤立性)収縮期高血圧 140以上 かつ 90未満
上記を見て分かるとおり、正常血圧も高血圧もそれぞれ段階があり、細かく分類されています。上記で「I度高血圧」「II度高血圧」「III度高血圧」分が一般に言う高血圧であり、放置すると心臓病や脳卒中などの危険が明らかに上昇するため治療が必要であると考えられています。
「正常高値」とは、高血圧とは言えないが血圧が高めのため注意が必要、いわば「高血圧予備軍」と考えられます。また通常は正常血圧以下の数字であれば問題ありませんが、様々な研究の結果最も循環器の病気にかかりにくいと考えられる血圧をとくに「至適血圧」と呼んでいます。
高血圧と、「高血圧症」の違い
高血圧という言葉とは別に、高血圧症という言葉を聞く場合があります。厳密には意味が違い、上記の正常範囲を超えて血圧が上昇した状態を「高血圧」、この高血圧が持続しているものを「高血圧症」と呼んでいます。
血圧は常に一定ではありません。季節や気温、運動、入浴、精神状態、体調などにより常に変動しています。そのため緊張したり怒っていたり、どこか痛いところがあったり、寒かったりすると、普段血圧が高くない人でも一時的に血圧が上昇する場合があります。これは一時的なもので病気とは言えません。血圧を定期的に測定し、血圧が基準値を超えた状態が持続していることを確認して初めて病気と判断し、「高血圧症」という病名がつくのです。
高血圧患者はどれくらいいる?
高血圧は日本人に最も多い病気の一つで日本全体では約4300万人の患者さんがいると言われ、そのうち約900万人が診察や治療を受けています。残りの約3400万人の方は独自に生活習慣を改善したり、または完全に放置している方のほか、症状がないため高血圧の存在に気がついていない人もかなり含まれると考えられています。
高血圧の定義や基準数値についてご紹介しました。もしかして高血圧かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。
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