うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟— 発達っ子の親は「過剰な適応」を求めていない?

  • 作成:2023/06/17

こんにちは。外科医ちっちです。うちの3人の子どもは、全員が自閉スペクトラム症の診断を受けており、いくつかの困りごとを抱えています。一緒に生活するうえで、「こんな発想でこんなことをしてしまうのか」と驚かされることもあれば、「こうとしか考えられないのか」と辛い思いをすることもあります。ちょっと変わった親子が楽しく過ごすための試行錯誤を紹介します。

外科医ちっち 監修
 
外科医ちっち 先生

この記事の目安時間は3分です

いつも親が他人に謝る姿を見ている

発達っ子3人と過ごして戒めとしていること。

親(支援者)は、他人に迷惑をかけないことを子どもに過剰に求めがち」ということです。

いつも「ごめんなさい」「すみません」「ご迷惑をおかけしました」

…気を張って謝って生きています。子どもはそんな私たち親の姿をいつも見ているので、家の外=親はいつも謝っていると思っているようです。

普段から「変わった一面」「困った一面」を多く見ている親は、子どもが誰か他人と過ごす時にちょっと違うところが出ないといいな…と心の中で思っています。それは普通になってほしいのではなく、ただ傷つかないでほしいということです。

どういうことか説明します。

我が家の3人の困った行動は、幼児から小学校低学年くらいの時期がピークでした。その時に痛感したことがあります。

それは悪意なくナイフのような言葉を発する人がいること。

「変わった行動をする人は言葉が理解できない」

こういう偏見を持つ人は少ないですが、ゼロではなく、どんな場所にもいるのです。老若男女、立場など関係なしです。

そんな人たちは、相手がどう思うかも聞こえているかも考えずに、「言葉が理解できないから、変なことをするのね」と言います。実際には言葉は理解できていて、行動に移せないだけだったりするのに、です。

他には、「ほとんどすべての人が苦も無くできる事が、上手くできないのは怠けている、ふざけているからだ」という偏見を持つ人。

こういう人に出会うと、当事者はただ理不尽に怒られることになります。だから親や支援者は、傷つけるような言動をする人たちと接する機会が少ない方が良いと願ってしまうのです。こういう人と子どもたちが出会いませんようにと。

うちの凸凹−外科医と発達障害の3人姉弟— 発達っ子の親は「過剰な適応」を求めていない?

ある場では変な子、ある場では優秀な子

集団の中で見てみると、診断の有無に関係なく苦手なことはあります。

授業参観やイベントで同年代の子ども達を見ていても、「できないことがある」子は多くいます。我が子3人に適した環境、適した内容・教え方であれば、周囲と遜色なく、場合によっては上手に行動できることも分かります。

結局は、人の評価なんて絶対的でなく、適当なものだと痛感します。

学校ではできないことが多くあるうちの子ですが、違う集まりでは優秀な賢い子でもあります。限られた場面での行動では、人となりや適性は分かりません。

学校との関係では、「診断名を告げない限りは支援がない。診断名を告げると過剰適応を求めてしまう」状況になりがちです。

子どもが学校しか世界を知らないと、息苦しいでしょう。

イベントや、習い事など、何でもいいので、学校とは違う評価軸、関わり方で子ども達が過ごせる家以外の場所を確保しておく必要があります。

親・子それぞれが「学校という場所の特殊性」を感じることができるはずです。

そしてそれは親子共に将来への希望の1つとなります。

求めてしまう親の気持ちは分かります。というか、こうして考えている私自身も、介入し過ぎることがよくあります。一番長く子ども達の長所を沢山見てきている親でも、一部の短所や診断名に引っ張られがちになります。だから、新鮮な経験をする・親がすぐ近くでずっと見ておけるメリットを感じて、休みの日は大小のイベントに参加しています。

ただし、好きそうなイベントでも、今のように成長する前は、楽しみや緊張でパニックになって参加できなかったり、途中で興味を失って態度が悪くなってしまって帰宅したり、を繰り返してきました。上手くいくことを子どもに期待しないのも大切です。

外科医師。妻(看護師はっは)と発達障害3児の育児中。記事中のイラストは、看護師はっはが担当。
・ブログ:「うちの凸凹―外科医の父と看護師の母と発達障害の3姉弟
・ブログ:「発達障害の生活は試行錯誤で楽しくなる
・note:https://note.com/titti2020/
・Twitter:@surgeontitti

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