抜歯のあと顔や唇が腫れた!もしかするとHAEかも…

  • 作成:2023/03/06

HAE(遺伝性血管浮腫)はむくみ(腫れ)が発作的に現れる、遺伝性の病気です。HAEは、10~20歳代での発症が多いのですが、あらゆる年齢で発症しうるとされています。HAEのむくみ発作は、前触れなく突然起こる事が多いですが、歯科治療や抜歯が発作を誘因する場合があるとされています。

堀内 孝彦 監修
九州大学病院別府病院 病院長
堀内 孝彦 先生

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歯科治療のあと口の中や唇などにむくみ発作が起きるケースも

HAEは、10~20歳代での発症が多いのですが、大人になってからHAEの症状が出現するケースもあります。それまで目立った症状はなかった未診断のHAE患者さんが、歯科治療や抜歯をきっかけに発作が出ることもあるようです。発作は時間が経つと収まってしまうため、気になる症状があっても医療機関を受診しない方もいるかもしれません。しかし、病院へ行かずに、HAEの繰り返すむくみ発作を放置しておくと、ときに命取りとなる深刻な事態を招く可能性があります。  特に注意が必要なのは突然の発作がのどに起こってしまう場合です。まれではありますが、うまく息ができなくなり、場合によっては窒息したりして命に関わることもあります。HAEと診断されていない状況で喉に発作が起こった場合は適切な処置が取れず、痛ましい事態に繋がりかねないため、HAEの場合、なるべく早く診断されていることが非常に重要と言えます。

親から子へは50%の確率で遺伝、ファミリーテストで正しい診断を

 またHAEは名前に「遺伝」と付いている通り、親から子へ遺伝する可能性のある病気で、家族や親せきに複数人、同じ病気の人がいる可能性があります。よってHAEが疑われる場合には、「同様の症状が家族や親せきになかったかどうか」を確認してみるといいでしょう。  ただ一方で、両親ともにHAEではなく、子どもで初めて発症するケース(孤発例)もあるため、親族にHAEが疑われる方がいない場合にも、一定の注意は必要です。もしご自身や家族がHAEと診断された場合には、簡単な問診と血液検査でHAEを診断することができるファミリーテストを行うことをおすすめします。

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九州大学医学部卒。国立がんセンター研究所研究員、米アラバマ大学医学部フェローなどを経て、2008年九州大学大学院医学研究院准教授、2013年九州大学病院別府病院教授、2016年4月から同病院長を併任。専門は臨床免疫学、リウマチ学。「血管性浮腫」の実態を解明してその成果を社会に役立てることを目的として設立したNPO法人「血管性浮腫情報センター」(略称:CREATE)の代表として活動するとともに、「HAE患者会 くみーむ」にて患者とその家族のサポート活動に精力的に従事。また、日本補体学会が作成する我が国の「HAE診療ガイドライン2010年初版、改訂2014年版」の作成に責任者としてかかわった。「改訂2019年版」では再び責任者として厚生労働省研究班と連携・協力し、我が国のHAE診療ガイドラインを作成。アジアで初めてHAE3型の原因遺伝子を同定した。

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