「ここまでできる!」最新のオンライン診療、医師に聞く活用法

  • 作成:2023/01/27

ここ数年耳にするようになった「オンライン診療」。気になってはいるものの、どんなことまで対応してもらえるのかイメージがつかず、利用に至っていない方も多いのではないでしょうか。 今回は、東京都内でオンライン診療を展開する、患者目線のクリニック代表理事の白月遼先生に、オンライン診療のメリットや、オンラインでできることについてお聞きしました。

白月 遼 監修
患者目線のクリニック グループ代表
白月 遼 先生

この記事の目安時間は3分です

「ここまでできる!」最新のオンライン診療、医師に聞く活用法

私自身オンライン診療に興味はあるのですが、どこのクリニックを選んだら良いのかわからず、利用には至っていません。実際、どういう症状の患者さんが利用しているんですか?

当院の場合、半分が内科、残り半分は皮膚科系疾患といった感じですね。

皮膚科系疾患の場合、「ちょっとした赤みが気になる」というような方も多いですが、アトピー性疾患やニキビ、慢性のかゆみなど、定期的な受診が必要な方もいらっしゃいます。
たとえばアトピーは基本的に一生付き合うものなので、きちんと薬を使用しなければ悪化することを、患者さん自身分かっているんですよね。

内科系疾患の場合はどうでしょうか?

風邪の症状をおさえたくて薬が欲しいという方や、外出しての受診が難しいという方、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病で、定期的に受診されるケースが多くなっています。血液検査が必要な疾患も、対面とオンラインを組み合わせている患者さんもいらっしゃいます。

慢性疾患の場合でも、数字が安定していて、薬を飲んでおけば大丈夫といった方はオンライン向きですね。

コロナの疑いがある場合、オンライン診療では難しいでしょうか?

オンラインでの判断は難しいですが、陽性かどうか調べたい場合は自宅で検査キットでおこなうことができますし、自治体によっては検査キットを取り寄せることもできます。

以前は抗原キットで陽性だった場合は医療機関の受診が必要でしたが、現在は陽性者登録センターに自分で登録すればよいことになりました。

オンライン診療の場合、薬の配送に2日程度かかり、急性疾患の場合、その間に治ってしまうケースもあります。コロナであったとしても、多くの場合、軽症であれば基本的な治療は通常の風邪と変わりませんので、オンライン診療後、薬が届くまではOTCを服用するなど、組み合わせていただくとよいですね。

生活習慣病などの慢性疾患だけでなく、風邪などの急性期疾患も診ているんですね。ちなみにオンライン診療で対応が可能かどうか、患者さんが判断する基準はありますか?

検査をしてほしい場合、やはり対面が必要です。検査の必要性も医師の判断が必要なので、まずはオンライン受診して相談いただいても良いかとは思います。

「どうしても検査してほしいと思うかどうか」が、患者から見たときの一つの判断軸になりそうだということですね。他のクリニックで鑑別は下っていてその後の経過観察を白月先生のクリニックで診ていただくようなケースが多いのでしょうか。

もちろんそのパターンも可能ですし、鑑別診断を私のクリニックでおこなうこともあります。ただ、鑑別の際は詳しい検査が必要なので、やはり初診はオンラインではなく来院していただいたほうが安心かもしれません。

私自身、高脂血症と診断され毎日薬を飲んでいるのですが、定期的な血液検査なども必要と考えると、結局、定期的に通いやすいクリニックがいいのかな、とも思ってしまうのですが…。

確かに、生活習慣病を診ているクリニックの中には、毎月のように採血を行うところもありますが、薬を飲めば症状が落ち着いている人に関しては、採血は3~6ヶ月に1回、対面での診療も年に数回で十分なケースも多いとも言われています。

もちろん頻回に検査をしたほうが情報は増えるのですが、血圧や血糖値と同様、短期のデータを細かくとって一喜一憂する意味はほぼありません。会社の健康診断や人間ドックの検査結果なども活用しつつ、大きな変化がなければ、年4回の薬の処方はオンラインでおこなうことも可能です。症状の安定している方に関しては、対面診療だとクリニックを毎回受診せずに薬局でお薬がもらえる「リフィル処方」にすることもありますね(※オンライン診療でのリフィル処方は現在認められていません)。

逆に、オンラインで診療ができない疾患はありますか?

急な強い腹痛などの検査・診断・治療を素早く実施する必要がある状態や、診断に検査が必ず必要な病気の診断については対応が難しいです。

また糖尿病など、定期的な採血が必要な慢性疾患の場合でも、既存の治療でなかなか数値が改善しないような方は、綿密に診る必要があります。

そのほか深刻な症状がある場合も慎重になった方がいいですね。特に低血糖発作が起きた際などは、オンラインではなく、対面で診てもらいましょう。オンラインでの完結が難しい場合は、クリニックや外来と適宜連携していくのがよいでしょうね。

オンラインだからこそ、日本各地から受診できる

実際、どこに住んでいても受診は可能なのでしょうか?

はい。オンライン診療のもうひとつのメリットは、地理的な制約がないという点ですよね。
当院の場合も、北海道から沖縄や、各地の島しょ部など、本当に全国から受診していただいています。

中にはワーケーションがきっかけで、クリニックのない山間部に引っ越したという方もいます。車をお持ちでなくても、近くの薬局が配送対応している薬局と連携しているので、家から出ずに診療が受けられ、薬を受け取ることも可能です。もちろん、近くの薬局に直接受け取りにいくこともできます。

もちろん併用が問題ないOTC薬を一緒に使っていただいてかまいませんし、当院の場合月曜日から土曜日まで夜20時まで診療しているので、かかりつけが休みで急にかかりたい場合などに使われる方もいます。

これまで、不調を感じても、行けるクリニックを探して、現地まで行き、受診を待ち、診療を受け、会計を待ち、薬を待ち……と考えると、病院を受診することは大きなハードルだったと思います。

オンライン診療なら、昼休憩や仕事の合間の15~30分で完結します。当クリニックでも、待ち時間は今後はもっと短くしていくつもりです。

これまで、オンラインとはいえ、実際対面が必要な際に通えるところでなければならないと思っていましたが、使い分けすることができるなら選択肢が広がりますね。

そうですね。お住まいの地域の近くに通えるクリニックがない、時間がなくて受診ができないという方にこそ、オンライン診療は必要ですし、医療をもっと身近に感じていただけると思います。

今後オンライン診療が普及すれば、これまでさまざまな理由で医療機関を受診できなかった人たちにも医療を届けることができるでしょう。後編では、オンライン診療のメリットを活かした白月先生のクリニックならでは特徴についてお聞きします。

総合病院 5年、大学病院 5年勤務、途中基礎研究などにも取り組む。 途中基礎研究や研究成果の社会実装、先進医療、センター立ち上げ、新規技術の導入や技術指導にも取り組む。 事業会社2社を経験後に2022年に開業。 非常勤でも5年以上に渡って訪問診療や救急医療にも関わり、患者さまと医療スタッフ双方から高評価をいただく。 また首都圏や東海地方の複数クリニックや病院の立ち上げや体制強化・改善・成長に関与している。 大学客員研究員や手術の技術指導、企業の支援も継続している。
所有資格:外科・小児外科専門医、がん治療認定医、日医認定産業医、緩和ケア研修会修了、医療情報技師、バイオインフォマティクス認定技術者、WoCoVA-Certified PICC Trainer

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