肥満症を放置するリスクとは?

  • 作成:2026/05/22

健康診断で体重や腹囲を指摘され、「少し太っているだけだから」とそのままにしていませんか? 単なる体重増加ではなく、治療が必要な「肥満症」を放置すると、全身にさまざまな悪影響を及ぼし、最悪の場合は命に関わる重大な病気につながることもあります。本記事では、肥満症を放置するリスクと具体的な危険性について分かりやすく解説します。

大西 由希子 監修
朝日生命成人病研究所附属医院 診療部長/糖尿病内科部長/治験部長
大西 由希子 先生

この記事の目安時間は6分です

kv

放置するとどうなる?

肥満症を放置すると、まるでドミノ倒しのように様々な病気を引き起こす可能性があります。

肥満によって過剰に蓄積された「内臓脂肪」には、ただエネルギーを貯めるだけでなく、さまざまな生理活性物質※を分泌する役割があります。内臓脂肪が過剰に溜まると、この物質の分泌異常や慢性的な炎症が起こります。

※体内で代謝、免疫、神経伝達などの生体機能に影響を与え、調整する物質

また、内臓脂肪が分解されることで大量の脂肪酸が肝臓へ流れ込み、悪玉コレステロールなどを増やして脂質異常症を招いたり、血糖値を高くしたりします。

このように内臓脂肪が蓄積することで、高血糖・脂質異常・血圧高値などの危険因子を連鎖的に引き起こす可能性があります。これを放置すると、血管が硬く脆くなる動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気へと繋がっていく恐れがあります。

他疾患へのリスク

肥満症やメタボリックシンドロームの放置によって、以下のように他の疾患のリスクが跳ね上がると言われています。

  • 高血圧:BMIが5増えるごとに高血圧の発症リスクは約1.5倍に、ウエスト周囲長が10cm増えるごとに約1.3倍に跳ね上がると報告されています。また、同じBMIでも内臓脂肪が多い人ほど血圧が高い傾向があります。
  • 2型糖尿病:普通体重の人を基準とした場合、過体重(BMI 25.0~29.9)で糖尿病発症リスクが「3.0倍」、肥満(BMI 30.0以上)になると「7.0倍」にまで上昇すると言われています。
  • 心不全:BMIが5増えるごとに高血圧の発症リスクは約1.41倍に、ウエスト周囲長が10cm増えるごとに約1.29倍に跳ね上がると報告されています。また、心房細動や心臓突然死についても、BMI上昇ごとにリスクが約1.2~1.4倍上昇すると言われています。
  • がん(悪性腫瘍):肥満は複数のがんのリスクも高めると言われています。日本人を対象とした研究では、男性でBMI 30以上の場合、結腸がんのリスクが「1.81倍」、膵臓がんのリスクが「1.71倍」に上昇することがわかっています。また、BMIの増加とともにがん死亡リスクが増大し、BMI 40〜49.9ではがん死亡リスクが「1.70倍」になると報告されています。

まとめ

肥満症の放置は、まさに万病の元です。しかし、裏を返せば、減量によって多くの病気の発症リスクを下げることができるということです。将来の健康を守るために、無理のない範囲で生活習慣を見重してみましょう。

肥満症セルフチェック
専門医に聞く肥満症
肥満症受診・治療体験談
肥満症専門医への質問9選
肥満症の受診先と治療までの流れ
特設サイトTopへ

病気・症状名から記事を探す

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師