糖尿病の治療薬 計5種類の注射と飲み薬?サプリは効く?

  • 作成:2016/04/28

糖尿病の治療薬には多様な種類があり、良く知られた「インスリン」の注射をすることもあります。注射は2種類、飲み薬は3種類あります。注射の場合は、低血糖の症状が出ることがあるため、低血糖への対応を知っておくことも重要となります。サプリメントの効果も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

糖尿病の治療薬を知ろう

糖尿病の2種類の薬

私たちの体は食後に血糖値が上昇しますが、膵臓から分泌されるインスリンによって血糖値は正常に保たれます。しかし糖尿病の場合には、インスリンの分泌不足かインスリンの作用不足により血糖値が高い状態が続き、神経や血管に様々な障害を起こします。糖尿病の三大合併症である糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症は生活の質を落とすだけでなく、命の危険もある怖い合併症です。

これらの合併症の進行を防ぐためには血糖を厳密にコントロールすることが重要です。糖尿病の治療の基本は食事療法、運動療法、薬物療法になります。食事と運動によって血糖値が改善するのが理想ですが、ほとんどの場合は薬剤が必要になります。糖尿病の薬物療法には内服薬(飲む薬)を使う方法と、「インスリン」「インクレチン」と呼ばれる2種類の注射薬を使う方法があります。

飲み薬は3パターン

糖尿病に対する内服薬は、以下の3つのパターンがあります。

・インスリンの働きを良くする薬
・インスリンの分泌を促進する薬
・糖の吸収を緩やかにする薬

膵臓からインスリンが分泌されているかどうかを調べて、分泌する機能が残っている場合にはインスリンの分泌を促進する薬は有効ですが、残っていない場合は無効なことがあります。それぞれの薬剤には低血糖だけでなく、むくみや腹部膨満感などの副作用が起きることがあります。医師が、検査結果や副作用を考慮し、一人一人の患者さんの状態に合わせて薬剤の組み合わせを選択します。

具体的には、インスリンの分泌を促進する薬は「スルホニル尿素薬」、肝臓に作用して血液中にブドウ糖を放出することを抑える「ビグアナイド薬」、ブドウ糖の腸での吸収を抑えて食後の高血糖を防ぐ「αグルコシダーゼ阻害薬」があります。しかしこれらの薬剤には、時に低血糖という副作用が起こる可能性もあり、体重増加、腹部膨満感などの副作用も伴うことがありました。そこで登場したのが「DPP4阻害薬」と呼ばれる薬で、膵臓からインスリンを分泌させる消化管ホルモン(インクレチン)の作用を持続させ、血糖値の上昇を防ぎ、従来の内服薬よりも低血糖を起こしづらいので注目されています。

注射薬である「インクレチン注射」は、その消化管ホルモンの作用に期待したもので1日に1回か2回皮下注射をして、血糖をコントロールできます。内服薬やインクレチン注射で血糖のコントロールが困難な場合にはインスリン注射を行います。

インスリン注射とはどんなもの?

インスリン注射は、本来は膵臓から分泌されるホルモンを注射で補う治療法です。インスリン注射は、注射後の効果が出るまでの時間と、作用が持続する時間によっていくつかの種類に分けられます。

「超速効型」→注射後すぐに効果が出はじめ、約30分でピークに達し3時間から5時間持続
「速効型」は約30分後に効果が出始め、約2時間でピークになり6時間程度持続
「中間型」は約90分で効果が出始め、約4時間でピークになり24時間程度持続
「混合型」は超速効型または速効型と中間型を混ぜたもので、注射後から1時間程度で効果が出始め、18時間から24時間持続
「持効型」は効果のピークはなく、ゆるやかに24時間から48時間持続

超速効型と持効型のインスリンを併せて使用すると、生理的に近い状態のインスリンを投与でき、効果的に血糖がコントロールできると考えられています。ただし、インスリン注射は低血糖が起きる可能性が高く、治療開始前には低血糖時の症状、対処法について良く知っておく必要があります。

サプリメントは効果があるの?

糖尿病の治療は血糖値を正常に保つことが大切です。基本的に食事療法、運動療法、薬物療法で血糖コントロールを行いますが、「サプリメントが血糖降下に効果的」という報告もあります。具体的にはクロム、マグネシウム、ビタミンB1・B2、ナイアシン、抗酸化物質などを含むサプリメントの有効性が示されています。ただしサプリメントに頼りすぎて高血糖を放置することはとても危険なので、糖尿病を指摘された時には必ず病院に行くようにしましょう。

糖尿病の治療薬についてご紹介しました。糖尿病の状態に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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