急性アルコール中毒の症状と応急処置 いつ救急車呼ぶ?「一歩手前」「初期」の症状あり?

  • 作成:2016/09/30

急性アルコール中毒では、さまざまな症状が出ますが、必ずしも中毒前に、泥酔(ひどく酔った)状態が確認されるわけではありません。救急車を呼ぶタイミングや、初期症状の有無などを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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急性アルコール中毒で救急車を呼ぶタイミングとは?

目次

急性アルコール中毒の症状の概要

「急性アルコール中毒」とは、文字通り、アルコールを短時間に一定量以上飲み過ぎた時に急激に起こる中毒症状のことです。アルコール摂取量や体質によって症状には個人差があるものの、急性アルコール中毒では命に関わる様々な症状が現れます。

中でも深刻な症状が意識障害です。お酒を飲んだ人に「急に意識を失って転倒する」「手足が痙攣している」「眠ったまま何をしても全く起きない」「口から泡を吹く」などの症状が現れたら、急性アルコール中毒だと考えて良いでしょう。また、意識障害の他にも、「寒気が出る」「呼吸が弱くなる(回数が減る)」などの症状が出ることもあります。どれも放置しておくのは非常に危険です。適切な対処が必要になるでしょう。

救急車を呼ぶべき症状とは?

急性アルコール中毒とただの泥酔状態の区別は素人には難しく、「いつものこと」と放っておいて死に至るケースも珍しくありません。しかし、ちょっと酔ったくらいで救急車を呼ぶような大事になるのは避けたいものです。そこで、救急車を呼ぶ必要がある症状をいくつかピックアップしてみます。

・眠ったまま叩いても揺すっても何をしても起きない時
・がたがたと身体が震えるなど、強い寒気を感じているか、体温が明らかに下がっている時
・痙攣しているか、口から泡を吹くなど異常な症状が出ている時
・呼吸が弱くなっているか、呼吸回数が少ない時

基本的には、「起こして起きるかどうか」「呼吸と体温は正常かどうか」を意識して判断すると良いでしょう。また、救急車を呼ぶほどではありませんが、嘔吐やふらつきの症状が出ている場合には、常に誰かが側にいるようにして、万が一の事態を避けるようにしてください。吐いた物が喉に詰まるか、転倒して強く頭を打つような事があれば救急車を呼ぶ必要が出てくるかもしれません。

急性アルコール中毒の一歩手前の症状

その他にも、急性アルコール中毒の一歩手前とも言える泥酔状態の症状として、「急な嘔吐」「激しい頭痛」「一人で歩けない」などの状態があります。命に別状は無くとも、嘔吐によって喉に異物が詰まることもあれば、転倒して頭を強く打つこともあるため、「ただ酔っているだけだから大丈夫」と考えるのは禁物です。このような症状が出る前に、飲酒を中断して適切な処置を施す必要があります。

急性アルコール中毒に初期症状はある?

急性アルコール中毒はアルコール摂取が原因で起こりますので、中毒症状よりも先に「酔った」症状が出ると思われがちです。しかし、必ずしも、急性アルコール中毒の前に泥酔症状が出るとは限りません。顔も赤くなっておらず、意識もしっかりしているのに急に倒れる事があり、「急性アルコール中毒には初期症状が無い場合がある」とも言えるでしょう。

ただし、このような突発的な症状は「お酒が苦手な人」や「一気飲みをした」ケースに多く、「普段からお酒を良く飲む人」の場合は過度な一気飲みなどをしないかぎり泥酔状態を経てから、急性アルコール中毒になる事が多いです。急性アルコール中毒の初期症状とは言えませんが、「呂律が回らなくなる」「足元がふらつく」などの症状が出始めたら急性アルコール中毒の初期症状だと考えても良いかもしれません。

急性アルコール中毒の際の応急処置、対処方法

お酒の飲み過ぎの場合、「水を飲ませるのが良い」とか「吐いた方が良い」とか言われていますが、これらの対処法は急性アルコール中毒には全く役に立ちません。急性アルコール中毒の症状が出ている時には既に血中のアルコール濃度が高すぎるため、体内のアルコール濃度を低くするような処置は間に合いません。また、急性アルコール中毒そのものを治す応急処置は存在しないため、症状に合わせた応急処置が必要になります。

まず、急性アルコール中毒と思われる症状が出た場合、呼びかけて意識の有無を確認してください。意識がはっきりしており、寒気を訴えたり、吐き気を催しているようなら、毛布などを与えて体を温めると良いでしょう。喉の筋肉機能が弱っている可能性があるため、無理に吐かせると吐瀉物が喉に詰まるかもしれません。吐かせずに様子を見るか病院に連れて行ってください。

意識がない場合には、呼吸と脈拍を確認します。呼吸と脈拍がある場合には、仰向けではなく、腕などを枕にして体を横にする「回復体位」を取ってください。この時、上側の足を前に出すことで、うつ伏せになったり仰向けになったりしないようにすることも大切です。意識不明の状態でも胃の内容物を吐くことがあり、吐いたものが喉に詰まらないように注意しましょう。また、回復体位では定期的に反対側を向かせて血液が偏らないようにするのも必要です。回復体位を取ったら、定期的に呼吸・脈拍・体温を確認し、何も異常がない場合にはそのまま様子を見ても構いません。しかし、少しでも異常があるようなら救急車を呼ぶか病院に連れて行きましょう。

意識がなく、呼吸や脈拍に異常がある場合には直ちに救急車を呼び、気道を確保した上で心肺蘇生を行ってください。呼吸がなければ人工呼吸、脈拍がなければ心臓マッサージを行います。どちらか片方だけなら、それを救助が来るまで続けるだけで構いません。もちろん、その間にも呼吸と脈拍の確認を行いましょう。どちらもない場合、人工呼吸2回と心臓マッサージ30回を交互に繰り返してください。また、人工呼吸の際には肺が上下しているかをしっかりと確認し、心臓マッサージの際には胸が5センチ(小児は2センチ)程度沈み込むのを確認しましょう。手を当てる部分は多少心臓からずれても構いません。しっかりと押しこむ事が大切です。

どうすれば良いか分からない場合には、119番通報によって指示を仰ぐのも一つの手です。自治体によっては救急相談センター(東京都は7119番)が設けられているので、番号が分かる場合にはそちらにかけると良いでしょう。



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急性アルコール中毒の症状と応急処置の方法などについて、ご紹介しました。お酒にまつわる不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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