Q

萎縮性胃炎とピロリ菌について

2年ほど前、胃カメラで検査をしたところ萎縮性胃炎と診断されピロリ菌も+ということでした。ピロリ菌を駆除する薬というのは保険適用外ということで薬は出してもらえませんでしたが、市販薬とかで駆除する薬はあるのでしょうか?

質問者:mamagon01 さん

いち内科医 先生
一般内科

いち内科医 先生

細菌の1種であるヘリコバクター‐ピロリ(H.ピロリ)の感染は、胃炎の原因として世界で最も多くみられます。胃潰瘍の原因としても特に多いものの1つです。

胃の内面には、強酸性の胃液から胃自身を保護する保護粘膜があります。H.ピロリはこの保護粘膜の中で繁殖します。H.ピロリ感染のある人のほとんどに胃炎がみられます。胃炎は胃全体に広がっていることもあれば、胃の下部(幽門部)だけにとどまっていることもあります。H.ピロリ感染はびらん性胃炎の原因にもなります。H.ピロリは胃酸に対する胃の保護機能を損ない、また、毒素を産生して胃潰瘍を起こします。H.ピロリに長期間感染している人の中には、少数ですが、胃癌などの病気になる人がいます。

H.ピロリ感染による胃炎があっても、ほとんどの場合症状はありません。症状がある場合は、胃炎の典型的な症状である消化不良、胃痛、上腹部の不快感などが起こります。H.ピロリ感染による胃潰瘍がある場合は、上腹部の痛みなど、他の原因による胃潰瘍と同様の症状が起きます。

H.ピロリの検査には、呼気(吐いた息)や便から検出する方法があります。ただし、これらの検査ではH.ピロリが活動状態にある場合しか検出できません。血液検査でH.ピロリに対する抗体を測定する方法もあります。しかし、H.ピロリを除去しても数年間は抗体価が高いままのことがあります。

H.ピロリは抗生物質で治療します。広く行われている治療法では、胃酸分泌を減少させるプロトンポンプ阻害薬と、アモキシシリンとクラリスロマイシンなど2種類の抗生物質を、1日2回、7〜14日間服用します。やはり広く行われているもう1つの治療法は、次サリチル酸ビスマス(スクラルファートに似た薬)、テトラサイクリン(抗生物質)、メトロニダゾール(抗生物質)とプロトンポンプ阻害薬を組み合わせる方法です。しかしこの方法では、4種類の薬を1日最高4回、7〜14日間服用する必要があります。抗生物質を使用しない場合は、60〜80%の人で1年以内に胃潰瘍が再発しますが、抗生物質を使用した場合はこの率が20%未満になります。また、H.ピロリ感染を治療することにより、他の治療で効果がなかった胃潰瘍も治癒することがあります。

女郎花さん

呼気や便から 検出するとありましたが、保菌者とキスやセックスをしたら、うつるんですか。100パーセントうつらないなら、保菌者はどうして なったんですか。

いち内科医 先生

ピロリが口から入って感染するということは間違いないようです。感染経路はいくつかの説があげられています。口−口感染(歯垢やだ液からピロリ菌が検出された)、 糞−口感染(ふん便からピロリ菌が検出された)、 飲料水からの感染(海外で水道水からピロリ菌が検出されたところもある)、 動物を媒体とした感染(ハエ・ネコなど) 、内視鏡を媒体とした感染などが考えられます。一時「内視鏡を媒体とした感染」が注目されましたが、日本消化器内視鏡学会から「内視鏡の洗浄、消毒に関するガイドライン」が出され、内視鏡の洗浄・消毒が厳重になされるようになりました。

女郎花さん

ご説明、ありがとうございました。本当にこのサイトがあってよかったです。

aldenさん

ピロリ菌を8年前に治験で除菌?除去?しました。
それ以前に比べ、それまで何回と繰り返してきた十二指腸潰瘍が起きなくなりました。
その後出産し子育てをしておりますが、最近また時々胃が痛みます。
胃痛はピロリ菌ひとつの原因ではないとは思いますが、ピロリ菌が、また住み着いているという可能性はあるのでしょうか?
前回は意志のほうから治験の話を受け治療をしましたが、最近はピロリ菌の検査や治療は、こちらからお願いしないとしてくれないものでしょうか?

tora 先生
一般内科

tora 先生

現在のところ、保険診療上では、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の診断をなされた方しか、除菌療法の適応はありません。
ヘリコバクターを除菌する事のメリットは、胃十二指腸潰瘍の再発率の低下である事はまちがいありません。ただ、その他の疾患についての明らかな証拠は得られていないので、保険診療上の適応は取れていないのが現状です。
萎縮性胃炎は確かに潰瘍性病変や胃癌の発生母地である事には間違いないのですが、成人になってから、除菌をする事で、発癌率率が下がるのか否かはいまだに証明されていません。なぜなら、萎縮性胃炎の方の中で、他の病気のトラブルにみまわれる患者さんは非常に低率だからです。
日本でも大規模な臨床試験が開始されていましたが、胃癌の発生が抑えられるかどうかについては、十分な議論ができる症例が集まりきらずに、萎縮性胃炎がよくなるかどうかという事に最終目標が変更になりました。
このような事態ですので、萎縮性胃炎の存在が診断された方におすすめするのは、現時点では、ヘリコバクターの除菌ではなく、定期的な内視鏡による胃癌のスクリーニング検査です。
ヘリコバクターの除菌はたいてい何もおこりませんが、投薬によって起きる副作用も、長期にわたって症状が続かれる患者さんも経験しますので、注意が必要です。保険適応もないので、副作用が起った時の救済措置も対象になりません。
このような事態から、現時点では萎縮性胃炎の診断だけでの除菌はおすすめしかねます。

mamagon01さん

胃潰瘍の治療として保険適用の薬の処方はされても、単純にピロリ菌駆除のための薬は適用ではないと言われました。内視鏡検査の結果では潰瘍はなく、萎縮性胃炎といわれただけでしたので、諸先生方のおっしゃることはすべて納得のいくところです。本当に詳しい情報をありがとうございました。また、当時より萎縮性胃炎からの胃がん発生率が高いということも知っておりましたが、なんとなく検査もせずに2年がたってしまいました。近いうちにきちんと検査を受け、それからどうするべきなのか、きちんと相談してみることに致します。本当にありがとうございました。

palmさん

現在、潰瘍がなければ除菌療法が適用されないとのことでとても残念です。けれど、適用されても抗生物質による副作用があるとのことでこれも心配です。副作用としてどんな症状が起こりうるのですか?(まさか胃が荒れるとか・・)
それと、女郎花さんの疑問同様ピロリ菌の感染はどのような原因で起こるのですか?
tora先生や諸先生方よろしくお願いします。

tora 先生

抗生剤の副作用としては、肝障害や、ペニシリン系薬剤に対する急性のアレルギー反応が心配されます。これ以外にも、どのお薬でもそうなのですが、一定の確率で副作用の心配はしておく必要はあります。あまり過剰に心配しすぎる必要はないかとは思いますが。
肝障害は、服薬期間中にお酒を飲むと頻度が増えるとされていますので、一週間の服薬中は禁酒を説明します。
アレルギーについては、これまでに抗生物質でアレルギーが出た事がないかどうかを問診して、ないようであれば処方をするようにしています。ただ、除菌の際に初めて経験される患者さんももちろんおられるので、おかしかったらすぐに病院に連絡いただけるよう説明しています。
あとは、急性の下痢ですね。腸内のいわゆる善玉菌も抗生剤でやられてしまうからというようにいわれています。余分ですが、なぜか、女性は少なくて、男性に圧倒的に多いと報告されています。少しの下痢であれば、内服期間中は下痢止めを飲んでもらってがまんしてもらって、内服をなるべく続けるように努めます。中途半端で中止すると、初回に使用した薬剤への耐性菌の出現を招くためです。ただ、抗生剤による特殊な下痢症もありますので、長く下痢がつづいたり、血便が出るような時には、すぐに処方元へ連絡が必要です。

tora 先生

抗生剤そのものの副作用以外にも、除菌治療全体での副作用もいろいろあります。ヘリコバクターがいなくなるために、胃の粘膜はむしろ生き生きとしてきだすので、胃酸分泌は亢進してきます。もともと、胃内容の逆流があるような方では、胃酸による逆流症状が、胃酸分泌がいままで胃酸の分泌が低かったのでおこらなかったのが、亢進する事で起ってくる事があります。胃酸の逆流症は非常に不快度が高いといわれています。
長期の観察の結果では、これも一過性で胃酸を抑える投薬が長期に必要な患者さんは実際にはかなり少ないという事も報告されていますが、それでも、除菌後にきつい胸焼け、内視鏡的で食道の粘膜障害が証明される方がおられるのも間違いないです。
このほかにも、重篤なものは少ないのですが、胃十二指腸びらん性炎なども報告されています。
除菌治療に入られる場合には、除菌をする事のメリットと、副作用について十分な説明を受けていただきたいと思います。

palmさん

tora先生、一内科医先生丁寧な回答をありがとうございました。幼児期に親からの感染や安易な回し飲みなどによる感染もありそうで恐いですね。
長期の慢性胃炎の人も除菌療法が受けられるようになることを願っています。一時的な副作用があってもいつもの不快感が消えてくれたら・・・でも、除菌してもストレスの溜まりやすい人はやはり胃炎が続くのでしょうか・・。

和歌山の医師 一般内科 先生
腫瘍科

和歌山の医師 一般内科 先生

厚生省の試算では、我が国の胃・十二指腸潰瘍患者のほとんどがピロリ菌に感染しており、保険適用による医療費増加額は「300億円余」ですが、ピロリ菌除菌で潰瘍の再発が抑えられるようになれば、それ以上の医療費削減が見込まれるとして保険適用になりました。

ヘリコバクター・ピロリ感染診断ですが、内視鏡検査または造影検査において胃潰瘍または十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者のうち、へリコバクター・ピロリ感染が疑われる患者に対して行われます。

検査法は、迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法、抗体測定、尿素呼気試験があります。

除菌治療としてヘリコバクター・ピロリ陽性であることが確認された患者に対し、成人にはランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリンとして1回750mg(力価)およびクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与します。

ちなみにわが国のヘリコバクター・ピロリ感染率は胃潰瘍患者で94.3%、十二指腸潰瘍患者で98.7%です。3剤併用療法での除菌成功率は胃潰瘍で87.4%、十二指腸潰瘍で90.7%と極めて高い成績です。

すべて保険で行えますので、民間療法といわず安心して保険医療で治療してください。

hero2005 先生
全科

hero2005 先生

ピロリ菌への除菌効果は、緑茶など多くの食品で謳われておりますが抗生物質を使用しないと無理です。

詳しい処方は、「いち内科医」先生がお書きになっておられるので省略しますが、治療は保険でできます。

処方されなかった理由はよくわかりませんが、健康診断などで検査おこなった場合には、施設によっては自費・保険の切り替えができなかったためではないでしょうか。

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