-
紙が汗でにじんでしまう
-
汗が気になって握手ができない
-
汗で皮が向けたり、痛みがある
多汗症の治療は、塗り薬や内服薬など幅広くあります。汗をかく部位ごとに推奨される治療の選択肢が異なります。
またその治療が現時点で保険適応のものと保険適用外のものもあります。
例えば、手汗で困っている場合、保険適応のものは、塗り薬があります。
-
どのような症状が出たら、手掌多汗症を疑うべきですか?
-
手掌多汗症は、気温が高いときや運動したときだけでなく、特に理由がないのに手のひらに多量の汗が出る病気です。
・汗によって書類やノートが濡れて文字がにじむ
・スマートフォンやパソコンが反応しづらい
・ペンが滑って文字が書きにくい
・キーボードやマウスの操作がしにくい
といった困りごとが頻繁に起こるのが特徴です。
握手や人と手が触れるのをためらってしまうなど、対人関係にも影響することがあります。
精神的な緊張やストレスをきっかけに汗が一気に出る場合も多く、季節や気温と関係なく続く場合は注意が必要です。思春期以降に発症し、年齢とともに悪化する人もいます。
生活の質に影響が出ていると感じたら、治療が必要な多汗症の可能性が高いため、早めに皮膚科で相談することが大切です。
-
手のひらだけでなく、足の裏や脇の汗もひどいのですが、これも多汗症ですか?
-
はい。手のひら以外にも足の裏や脇(腋)など複数の部位で汗が多い場合は、多汗症の典型的なパターンです。
どこにどの程度出るかは個人差がありますが、これらは「原発性局所多汗症」と呼ばれ、特定の病気がないのに体の一部で発汗が過剰になる状態です。
脇の多汗は衣服が濡れて人目が気になる、服の色を選ばないといけないなど日常生活に影響しますし、足の裏の多汗は靴の中が湿って不快感が強くなる、靴下がすぐに濡れる、滑って歩きにくいといった支障をきたすこともあります。
複数の部位に症状が出ることは珍しくなく、それぞれに合わせた治療を組み合わせることで総合的な改善が可能です。
生活への影響が大きい場合は我慢せず皮膚科に相談し、適切な治療方針を立ててもらいましょう。
-
ただの体質なのか病気なのかはどうやって判断できますか?
-
「汗っかき体質」と「病気としての多汗症」は、汗の出る量や頻度、生活への影響の度合いから判断します。
例えば、
・暑さや運動とは関係なく一年中汗が出る
・左右対称に同じ場所から出る
・寝ている間は汗が止まる
・発汗のせいで日常生活に支障がある
といった場合は、多汗症の可能性が高いです。
紙やスマホが濡れて使えない、人と手をつなぐのを避ける、仕事で機械操作がしづらいなど、生活や人間関係にまで影響しているなら病気と考えられます。
多汗症は遺伝が関係することもあり、家族にも同様の症状がみられることがあります。診断は症状の詳細な問診や発汗パターンの確認で行われ、自己判断が難しいため、気になる症状がある場合は皮膚科で相談することが重要です。
-
どんな検査をされますか?
-
受診すると、まずは問診で汗の出方や出る時期、生活への影響などを詳しく聞き取り、必要に応じて発汗検査を行います。
検査には「定性的検査(見て調べる)」と「定量的検査(数値で測る)」の2種類があります。
定性的検査では、ヨウ素をしみ込ませた紙を肌に当てて汗の出る部位が黒く変色する「ヨード紙法」や、ヨウ素とでんぷんを皮膚に塗って汗の出る範囲を色で可視化する「Minor法」などがあります。
定量的検査では、ろ紙で汗の重さを測る「重量法」や、皮膚をカプセルで覆って湿度の変化から汗の量を測定する方法などがあります。
こうした検査はやる場合もありますが、必ずしも全員に行われるものではなく、重症度の把握のために必要に応じて用いられます。
-
どのくらいの期間で治療の効果がでますか?
-
治療効果が現れるまでの期間は人によって異なりますが、塗り薬や飲み薬では数週間から数か月で改善が見られることが多いです。
水道水イオントフォレーシスは、1回約50分の治療を週2回ほど行い、5〜6回で効果が出始め、その後維持治療を行い8〜10回で汗の量が目に見えて減ってくるとされています。
ボツリヌス毒素注射は2〜3日後から効果が現れ、数か月持続するため、即効性を求める方に向いています。
これらの治療は、汗を出すアセチルコリンという神経伝達物質の働きを一時的に抑えることで汗を止めているため、治療をやめると再び汗が出るようになります。
症状を安定させるためには、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。定期的な治療で、症状が徐々に軽くなり生活の質が大きく向上する方も多くみられます。
-
手汗の他にも、脇や足の裏の汗もひどいです。まとめて治療できますか?
-
はい。日本では手のひらと脇には保険適用の塗り薬があり、同時に治療を行うことが可能です。
一方で、足の裏や顔、頭などには保険適用の外用薬がないため、症状が強い場合は汗の分泌を抑える飲み薬が治療の選択肢となります。
複数の部位に症状がある場合は、それぞれの重症度や生活への影響を踏まえ、部位ごとに治療法を組み合わせることが大切です。
また、保険診療の対象外ではありますが、ボツリヌス毒素注射といった自由診療の方法を別の選択肢として検討できる場合もあります。まずは皮膚科で症状の出方を詳しく評価してもらい、生活への影響が大きい部位から治療を開始することが効果的です。
放置せず、総合的な治療方針を立てることで、全身の発汗コントロールが可能になります。
監修:患者目線のクリニック
皮膚科専門医 桑原彩乃先生
-
「体質だから」と諦めていた手汗。皮膚科受診で生活が変わった(20代女性)
物心ついた頃から手汗に悩んでいました。
幼稚園のお遊戯で、友達と手をつなごうとしたとき、相手の子に「手がビチョビチョだから嫌!」と言われてしまったことは、今でも忘れられません。緊張すると特にひどくなり、汗がポタポタとしたたり落ちるほどで…(続きを見る) -
娘の「手が汗で…」の一言。もっと早く動けばと後悔
(50代男性 お子様15歳のとき)「手の汗でプリントがしめっちゃうのが嫌だ」。娘が、よくそう言っていました。しかし、私は「子どもの手は大人よりベトベトしているしそんなものだ」と、あまり深刻に捉えていませんでした。私自身が脇汗の多い体質だったこともあり、娘が中学に入った頃は…(続きを見る) -
ひとりで悩まず医師に相談してよかった(10代女性)
昔から汗が多かったのですが、ただの汗っかきと思っていました。脇汗が増え、日常生活に支障が出てきたので、保険適用の治療も期待して、皮膚科を受診。治療で脇汗が7割程度に抑えられており、医師に相談してよかった…(続きを見る) -
脇汗がないだけでストレスが全く違います(30代女性)
子どものころから汗っかきで、しかたがないとあきらめていました。そんな中、皮膚科で多汗症のポスターを見かけ、「否定されたら怖い」と悩みましたが思い切って受診しました。治療を始めると汗の量が激減しました。脇がぬれないだけで気持ちよく過ごせます…(続きを見る)
汗の悩みは、皮膚科で相談ができます。
お近くの皮膚科で相談してみましょう。
アスクドクターズQ&A
-
娘の汗が止まりません
治療多汗症
person10代 / 女性
19歳の娘は、中学生の頃から手のひらの汗(手掌多汗)に悩まされてきました。現在は全身にも汗をかきやすい状態ですが、特に手汗がひどく、日常生活に支障をきたしています。
-
30代後半、手汗の量が多く気になります
治療多汗症
person30代 / 女性
手汗の量が年々多くなっている気がします。じっとりとしていて、スマホやパソコンを触ると指紋が残ります。特に緊張しているような場面でもないので、身体の異常なのか、年齢的に更年期障害の始まりなのか気になります。
-
高校生脇汗、手汗などがあります。
治療多汗症
person10代 / 女性
高校二年の娘が脇汗がひどく皮膚科を受診して塗り薬や漢方を試しましたがあまり効果はなく、同じ皮膚科を来週受診して手術をしたいからと紹介状を書いて貰う予定です。
-
産後 手汗、足汗が止まらない
治療多汗症
person20代 / 女性
もともと手汗をかきやすい体質でしたが、出産後より手汗と足汗が止まりません。現在、産後2週目です。手汗は水滴がしたたるほど出ています。
-
8歳の子供の汗をすごくかきます
治療多汗症
person10歳未満 / 男性
現在8才の男の子ですが、汗のかく量が凄いです。特に、頭顔から滝のようにかいています。帽子もびちゃびちゃになります。少し動いただけで滴り落ちています。室内で大人しくしておればかきません。
多汗症に関する記事一覧