子宮内膜症は食事で予防や改善できる?再発可能性も解説

  • 作成:2016/04/13

子宮内膜症は、いわゆる「再発」という状態になる可能性のある病気です。大豆が予防につながる可能性が指摘されていますが、一方で避けるべき食品も存在します。子宮内膜症の再発の割合なども含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

子宮内膜症と食事の関係は?

子宮内膜症が再発する可能性はある?

子宮内膜症は、薬物療法や手術による治療を行っても、後に再発することが少なくありません。子宮内膜症の治療においては、完治を見込んだ治療ではなく、妊娠可能な範囲で治療を行うことがしばしばあります。したがって、子宮内膜症の治療を行うにあたり、卵巣をすべて取り除かないのであれば、必然的に再発リスクを伴うと言えます。

再発の定義は、「本来その部位から病巣が完全に消えて、再び病巣ができること」です。しかし、実際には「再発」と「再燃(治療などで、おさえられていた症状が再び悪化すること)」という概念が混同されています。その結果、正確な再発の頻度は不明ですが、子宮内膜症の治療後には6%から55%で再発があると考えられています。

また、子宮内膜症の再発のリスクになる因子も存在します。子宮内膜症は年齢が若く、子宮内膜症の大きさが大きく、手術前に薬物治療をしており、手術後に妊娠しない場合に再発しやすいと考えられています。そのため、上述のリスク因子を持つ人は再発のリスクが高いため、定期的な検診が再発防止に重要となります。

大豆で予防できる可能性がある?

食事内容を工夫することが、子宮内膜症の予防に有効だとする報告があります。動物性脂肪の多い食事を避けたり、食物繊維の多い食事を心がけたり、体が温まる食事を多く摂ることなどが挙げられます。この中でも特に勧められるのが、大豆を中心とした食事です。大豆には「バイオフラボノイド」という植物性エストロゲンが含まれています。 バイオフラボノイドは体内で生成されるエストロゲンよりも弱い作用をもっています。しかし、食事の一部として体内に摂取されると、エストロゲンの代わりにエストロゲン受容体に結合します。その結果、エストロゲンの作用が弱まり、子宮内膜症は改善、あるいは予防できる可能性があると考えられています。

事実、大豆製品を多くとる日本女性では欧米女性と比べて更年期障害が出にくいということが、食事での予防可能性を指摘した仮説を支持しています。また、バイオフラボノイドの他にも、ビタミンBやEを含む食品も子宮内膜症を改善し、予防する効果が期待されています。

肉類及び乳製品は避けたほうが良い

バイオフラボノイドなど子宮内膜症を改善、予防を期待できる食事がある一方で、避けるべき食材も存在します。それは肉類及び乳製品です。肉類や乳製品には筋肉収縮作用のある、「F2αプロスタグランジン」の原料となるという脂肪が多量に含まれています。F2αプロスタグランジンは子宮を収縮させ、月経痛などの子宮内膜症による症状を悪化させます。しかし、成長期などで肉類や乳製品が必要な時期もあるでしょう。その際は肉類や乳製品の代わりとなる、魚類などでバランスの取れた食生活をすることが重要となります。

予防や改善に向けて、食事以外で気をつけること

子宮内膜症の予防や改善には、食事以外にも注意すべきことはいくつかあります。具体的には、体を温め、適度な運動を行うといったことが挙げられます。いずれも子宮内膜症の根本的な治療になるわけではありませんが、月経痛や下腹部痛などの子宮内膜症に伴う痛みを取り除く、あるいは和らげるといった点で有効な方法です。また、精神的に落ち着くためにアロマテラピーを行うと、子宮内膜症による痛みが軽減する場合もあるようです。

子宮内膜症の再発に関して、そして子宮内膜症を予防することができる可能性についてご紹介しました。もしかして子宮内膜症かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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