「感染症」とは?定義、種類、基本的な予防方法を解説 

  • 作成:2016/04/06

「感染症」という言葉を耳にしたことがある方も多いと思いますが、正しい意味を理解している方は多くはないのが実情ではないでしょうか。「感染症」の定義などについて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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良く聞く「感染症」とは?

「感染症」とは何か?その定義

感染症とは、ウイルス、細菌、真菌(かび)などの病原体が体内に侵入して、発熱、下痢、咳(せき)などの症状を引き起こす疾患です。感染自体は環境(空気、水、土壌、ヒトも含む動物など)中に存在する病原体が、ヒトの体内に侵入、定着、増殖することで成立しますが、感染して症状が現れる場合「顕性(けんせい)感染」と、はっきりした症状が現れない場合「不顕性感染」があります。感染から症状の発症までの期間は「潜伏期間」といわれます。

「顕性感染」;病原体に特有の症状を示し、免疫ができて自然に治ってしまうこともありますが、ときには悪化して死亡することもあります。

「不顕性感染」;発病はしませんが、知らぬ間に病原体保有者(「キャリア」と呼ばれます)となって、病原体を排泄し、他人に感染させる「感染源」になっている可能性があります。

また、健康であれば問題のない病原体でも、病気などで抵抗力が弱っていると感染を起こしてしまう「日和見(ひよりみ)感染」という種類の感染もあります。

病原体からみる感染症の種類

感染症の種類はA)原因となる病原体、B)感染する経路などで分けられますが、C)感染症予防法という法律上の分類もあります。

A)病原体;サイズは、
・ウイルス<細菌<真菌<原虫
の順です。

①ウイルス;核酸(かくさん;DNA、RNA)がタンパク質の膜で囲まれた単純な構造で、自己増殖できず宿主(ホスト)の細胞内でのみ増殖できるのが特徴です。インフルエンザ、かぜ症候群(ライノウイルスほか)、帯状疱疹(ヘルペスウイルス)、エイズ(HIV)などがあります。
②細菌;体内に定着後、自己増殖しながら細胞内に侵入または毒素を出します。食中毒(サルモネラ菌、カンピロバクターほか)、肺炎(肺炎球菌ほか)、胃潰瘍(ピロリ菌)などがあります。
③真菌;ほとんどがホストの免疫状態の低下により発症します。カンジダ症、水虫(白せん)などがあります。
④原虫;単細胞生物である原虫の寄生によって発症します。マラリア、膣トリコモナス症などがあります。

感染経路から知る感染症の種類

B)感染経路(ヒトからヒト);
①接触感染;皮膚や粘膜の直接的な接触(性感染症など)と、手や物などを介した間接的な接触で、多くは口から体内に侵入するもの(感染性胃腸炎など)です。
②飛沫(ひまつ)感染;くしゃみや咳からでる細かい水滴、つばきを鼻や口から吸い込んで起こります。飛沫の飛び散る範囲は1メートルから2メートル以内。インフルエンザ、かぜ症候群などがあります。
③空気または飛沫核(ひまつかく)感染;飛沫中の水分が蒸発した微細な粒子を「飛沫核」といいます。空気中を浮遊する飛沫核(病原体含む)を吸い起こります。麻疹(はしか)、結核などがあります。

法律による分類

C)感染症法;
「感染症法」という法律では、感染力や罹患(りかん)した際の重篤(とく)性、公衆衛生上の問題より、1類から5類感染症に分類、さらに指定感染症(1年間限定で指定)、新感染症(新たな感染症が発生した場合)などが定められています。1類(エボラ出血熱など)と2類(SARSなど)は感染力や重症度の非常に高いもの、3類(腸管出血性大腸菌感染症など)と4類(デング熱など)は集団発生など公衆衛生上危険のあるものです。最近、ニュースで話題の「ジカ熱」は4類に指定されました。

感染症の基本的な予防方法

感染症予防は、A)感染経路およびB)ホスト感受性(ヒトの抵抗力)の観点から対策を考えることが大切です。

A)感染経路;
どの経路でも、「うがいや手洗い」「身の回りを清潔に保つこと」などは基本中の基本です。間接的な接触感染の予防には、「適切な吐いたものや便の処理(厳重な手洗いや使い捨て手袋の使用)」が有効です。飛沫感染(特にウイルス)では、「感染者に接近しない(1から2m以内)」「部屋の換気、適度な湿度や温度管理」、他人にうつさないための「マスクの着用や咳エチケット」が効果があります。

B)ホスト感受性;
“体の免疫力を高めておく”ことは、感染予防の上で大変重要です。「栄養バランスがとれた食事」「規則正しい生活習慣」「適度な運動」などは感染に対する抵抗力を上げてくれます。また「予防接種」がある感染症も少なくありません。不安な場合は、医療機関などに問い合わせみると良いでしょう。

感染症の定義などについてご紹介しました。病気の感染に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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