二分脊椎症の原因、症状、治療 葉酸で防げる?遺伝でなる?皮膚洞とは?

  • 作成:2016/05/27

二分脊椎症は、脊椎から、本来なら出ていないはずの脊髄が外に出てしまう病気です。脊髄の出方によって2種類にわかれますが、水頭症など重大な病気につながることがあります。葉酸で予防できるとされている理由も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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二分脊椎症の原因とは?

二分脊椎症とは?

「二分脊椎症(にぶんせきついしょう)」とは、脊椎(背骨)の一部が形成されず、本来ならば脊椎の中にある、脊髄(せきずい)が外に出てしまう病気です。飛び出た脊髄が背中に瘤(こぶ)として見られます。日本における発症頻度は、出生10,000人当たり5人程度とされています。赤ちゃんの臓器が作られる際、脳や脊髄などの中枢神経系のもとである「神経管」という部分が正常に閉じることができない場合に起こります。症状は主に腰やお尻のあたりに多く見られます。

二分脊椎症の原因 遺伝が関係ある?

原因は不明ですが、栄養学的要因、環境的要因、遺伝的要因が関与すると考えられています。栄養学的要因としては、母体の葉酸摂取不足があります。環境的な要因としては、糖尿病、肥満、抗てんかん薬の内服(バルプロ酸など)、喫煙、ビタミンAの過剰摂取などが挙げられます。特に、葉酸の摂取に関しては、妊娠4週間前から妊娠12週までに一日400μg(マイクログラム)の葉酸サプリメントを摂取することにより、二分脊椎症の発症リスクが軽減することが報告されています。遺伝的要因としては、一部の遺伝子変異により、脊髄などのもととなる「神経管」とよばれる管が閉じないため、二分脊椎になることがありますが頻度としては高くりません。

二分脊椎症は、胎児期に羊水過多で疑われ、超音波検査・MRIで診断されます。経腟分娩は、胎児の髄膜炎や瘤破裂のリスクとなるため、帝王切開が望ましいとされます。

二分脊椎症の症状

二分脊椎症は、腫瘤中央の皮膚がなく、脊髄とそれをおおう「髄膜」という部分が背中に飛び出している「開放性二分脊椎症(脊髄髄膜瘤)」と、骨の開いている部分が正常な皮膚におおわれている「潜在性二分脊椎症」に分かれます。どちらも脊髄が、脊椎の外に出て、癒着(本来くっついていないところが、くっつくこと)損傷することで、様々な神経症状が見られます。

脊髄の損傷している部分や程度により、症状は軽度なものから重度なものまで多岐に渡ります。主な症状としては、膀胱や直腸をつかさどる神経の障害による排尿や排泄障害があります。運動神経や感覚神経が傷ついた場合、病気の症状が出ている部分に存在する神経が支配する体の部位より下側の領域において、麻痺及び反射の消失、感覚の障害が見られます。特に、二分脊椎症は足の神経が存在する腰やお尻のあたりに多いため、歩行障害が問題になります。外見に関しては、背中の腫瘤の他、足や背骨の変形が見られます。

また、開放性二分脊椎症では、高い確率で水頭症という病気が起きます。水頭症は、頭蓋内に多量の髄液がたまり、頭蓋内の圧力が高くなって脳を圧迫する病気で、頭痛や嘔吐、精神・運動の発達の遅れが認められます。その他、延髄や小脳など脳の一部が「脊柱管(脊髄の入っている管)」の中に入り込む「Chiari奇形(キアリ奇形)」が同時に起きて、声帯の麻痺や呼吸困難、嚥下障害(物を飲み込むことの障害)をきたす場合もあります。さらに、脊髄内に空洞が生じ、進行性の神経障害が起こることもあります。



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潜在性二分脊椎症と皮膚洞

一方で、潜在性二分脊椎症では、症状の起きている部分の皮膚の下に脂肪腫が見られますが、水頭症やChiari奇形などを合併することは、ほとんどありません。幼児期にはあまり症状が見られませんが、成長期になると、腰の部分で癒着した脊髄が、身長の伸びについて行けずに引き延ばされ、足や膀胱・直腸に行く神経の機能が低下して、二分脊椎症の症状が見られるようになります。症状の出ている部分は、皮膚におおわれていますが、病変部付近には母斑(ほくろ)や多毛、色素沈着が見られます。また、潜在性二分脊椎症では、脂肪のこぶの存在する病変部に「皮膚洞(ひふどう)」という小さな穴、くぼみが見られることがあります。背中にこのような穴が見つかる場合に、医師らが潜在性二分脊椎症を疑う材料となります。

二分脊椎症の治療はどんなもの?手術をする?

開放性二分脊椎症では、脊髄が体外に露出しており、細菌やウイルスに感染する危険があります。したがって、出生後、早急に手術を行い、背中を閉じる必要があります。潜在性二分脊椎症では、病変部が皮膚に覆われているため感染の危険性はあまりなく、症状が特にないようであれば、無処置のまま経過観察となることもあります。症状が出ている部分の脂肪のこぶの除去が必要な場合もありますが、多くの場合、手術は乳児期に行います。

神経症状の治療はどんなもの?

神経症状の治療に関しては、損傷した脊髄を修復する方法が、現在のところ存在しないため、対症療法、つまり原因に対応するので、出ている症状に対応する治療が中心になります。膀胱や直腸の障害に対しては、排尿・排泄訓練や導尿、摘便(便をとりだすこと)、浣腸、洗腸といった、排尿や排泄を補助する処置が必要となります。下半身の障害に対しては、車いすや補装具等で運動の補助するようにします。水頭症に対しては、シリコンでできた細い管をつうじて、過剰な脳室内の髄液をお腹の中など身体の他の部位に流し込んで吸収させる「シャント手術」や、内視鏡を用いて髄液の溜まった脳室に穴を開ける開窓術を行います。

また、二分脊椎症の患者さんでは、手術や処置のために医療器具に用いられる「ラテックス(天然ゴムの成分)」に触れる機会が多いため、ラテックスアレルギーが起こりやすいということが指摘されており、適切な対応が求められています。

二分脊椎症の予防としては、葉酸の投与が有効です。しかし、葉酸は妊娠前から必要であるため、妊娠に気付いてから摂取したのでは手遅れです。そのため、妊娠可能な年齢の女性に対しては、葉酸を含めた様々な栄養素をバランス良く摂取することが推奨されています。



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二分脊椎症の原因や症状についてご紹介しました。赤ちゃんの発育などに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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