過敏性肺炎の原因、症状、治療、予防、再発可能性 加湿器も危険?主婦は注意?

  • 作成:2016/07/28

過敏性肺炎とは、アレルギーの原因物質(抗原、アレルゲン)が肺に影響して、肺炎症状を引き起こす病気です。アレルギーの原因物質は、身の回りに少なくないことはよく知られていますが、加湿器や鳥の羽なども原因となりえます。症状や治療、予防方法を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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過敏性肺炎の原因とはどんなもの?

原因不明も多い過敏性肺炎

過敏性肺炎(「過敏性肺臓炎」とも呼ばれます)はアレルギーによって起こるさまざまな肺炎をまとめた病名で、あらゆる年齢の人に起こりますが、特に40歳代から50歳代に多い病気です。

アレルギーを起こす原因物質のことを「抗原(アレルゲン)」と言い、よく知られた花粉症の抗原はスギやヒノキなどの花粉です。過敏性肺炎は原因によって分類されますが、30%から50%は原因が特定できません。

過敏性肺炎の種類、原因

原因がはっきりしているものの中で一番多いものが、「夏型過敏性肺炎」で、原因がわかるもののうち75%程度を占めています。5月から10月、特に夏季に多く、古くて湿気の多い木造の家で発生しやすい特徴があります。そのために家にいることが多い専業主婦などによく起こります。カビの生えた木材や畳が原因で、そこで増殖している真菌(しんきん)という病原微生物が抗原となります。

原因がはっきりしているもののうち、8%程度を占める農夫肺(のうふはい)はカビの生えた牧草が原因となり、そこに存在している「好熱性放線菌(こうねつせいほうせんきん)」という病原微生物が抗原です。夏季に刈り取り乾燥保存しておいた牧草を、冬から春に家畜に与えるために、9月ごろから発症がみられ、2月から4月に発症者が多くなります。

原因がはっきりしているもののうち4%程度を占める「鳥関連過敏性肺炎(鳥飼病(とりかいびょう)とも)」は鳥類の羽毛や排泄物が原因となり、羽毛や排泄物に由来したタンパクが抗原になっています。やはり、4%程度の「加湿器肺」は汚染された加湿器が原因で、加湿器内の水に繁殖した病原微生物(好熱性放線菌や真菌)が抗原です。

その他にも以下のような種類があります。

・塗装工肺→化学物質(イソシアネート)が抗原。(塗装業や自動車整備や鋳物関連の仕事に従事している人などで起こります。
・キノコ栽培者肺→キノコの胞子、好熱性放線菌、真菌が抗原。
・温湿栽培者肺→高温多湿の環境で繁殖する真菌が抗原。ラン、バラ、キュウリなどを栽培している人に生じます。
・小麦粉肺→小麦粉が抗原。菓子製造に従事する人などで起こります。

過敏性肺炎の症状

抗原と接する特定の場所や時期に、せき(痰をともなわない空ぜき)、息苦しさ、発熱があります。この3つを3大症状と言います。全身のだるさなどの症状を繰り返します。ただし全ての症状が出そろうとは限らず、発熱だけ出現することもあります。この場合、「不明熱」といって、医療者が原因特定に苦労するケースもあります。そして過敏性肺炎の最大の特徴は、入院や転地など環境を変えるだけで、症状が数日でよくなることです。

過敏性肺炎の診療科

過敏性肺炎は、呼吸器内科(肺炎のスペシャリストです)やアレルギー科が担当する病気です。ただし、いずれも医師数は少なく、総合病院であっても呼吸器内科専門医、アレルギー専門医のいずれもが不在の病院も少なくありません。また上記の不明熱の場合のようにそもそも「過敏性肺炎かも?」と疑うことができなければ、これらの診療科を受診する機会を逃すかもしれません。

過敏性肺炎の治療

治療の基本は抗原から離れることです。抗原を適切に避けるために、診療科では何が過敏性肺炎の抗原になっているかをできるだけつきとめるようにします。ただしわからない場合も多いのも事実です。 抗原を避けても治りが遅い場合や重症の際にはステロイドという薬剤を使用します。

過敏性肺炎の再発可能性と予防

程度には差がありますが、抗原に接すると、基本的には必ず再発します。したがって抗原を避けることが最大の予防です。ただし上記のように職業と深く関わっている場合も多い病気です。職業関連のものは、まとめて職業性過敏性肺炎と呼ぶこともあります。休職、転職や配置転換が確実な対処法ですが、難しい場合には換気システムの改善や防塵マスク(ぼうじんますく)の使用、高湿度に対する乾燥システムの導入などが必要になります。 また「減感作療法(げんかんさりょうほう)」やステロイドには予防効果が認められていません。「減感作療法:とは、うすめたごく少量の抗原をからだに入れて慣らしていく治療法で、花粉症や喘息など他のアレルギーに関連した病気では、予防目的で実施されることがあるものです。

過敏性肺炎についてご紹介しました。呼吸の状態に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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