薬物依存症の原因、症状、治療 遺伝する?妊娠や胎児に影響?顔や性格に特徴がある?

  • 作成:2016/10/24

「薬物依存症」というと、一般的には覚せい剤のような違法な薬物を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、合法で病気の治療で使われる薬でも起きることがあります。症状や治療以外にも、なりやすさの遺伝可能性や妊娠・胎児への影響などを含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

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この記事の目安時間は6分です

薬物依存症のなりやすさは遺伝する?

目次

薬物依存症の定義

「薬物依存症」とは、大麻や麻薬、覚せい剤などの違法薬物や睡眠剤や鎮痛剤などの医療用の薬を繰り返し使うことによって、やめようと思っても、自分の意志では、止めることができず、使い続けてしまう状態をいいます。

なぜ、やめられないかというと、薬物や薬の効果が切れると、幻覚や体のけいれんなどの、体の症状や不安感や落ち着かないなどの精神的な症状が起こるために(身体的依存状態)、一度経験した薬物や薬を使用した時の心地よさが忘れられず、また使いたい、飲みたいと思ってしまう(精神的依存状態)ためです。

また、大麻であっても麻薬であっても覚せい剤であっても医療用の薬であっても、ほとんどん場合、使っているうちに体が薬物に慣れてしまうため、今まで使っていた量では効果が得られず、使う量が徐々に増えていくのも薬物依存症の特徴です。

薬物依存症と統合失調症は関係がある?ない?

「統合失調症だから薬物依存症になる」とか「薬物依存症だと統合失調症になる」といった直接的な因果関係は、ありません。ただ、統合失調症になると、幻覚や妄想といった耐え難い症状に悩まされ、幻覚や妄想による耐え難い苦痛から逃れるために、アルコールや薬物に頼ってしまい、依存してしまう傾向があります。

また、大麻を使用している人は、使用していない人に比べて、2倍、統合失調症になりやすいと言われています。

薬物依存症のメカニズム。脳やドーパミンがどう関係?耐性とは?

私たちは、毎日の生活を送る中で、泣いたり、怒ったり、喜んだり、楽しんだりと喜怒哀楽を感じながら生活しています。

私たちが、喜怒哀楽感情を感じることができるのは、脳の働きによるものです。詳しく説明しますと、あるでき事を体験すると、その体験したでき事が脳に記憶されます。そして、脳の中の感情を司っている神経が刺激され、結果、私たちは、体験したでき事に応じた感情を感じることができています。

この感情を司っている神経が刺激されると分泌されるのが、「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質です。

ドーパミンが分泌されなくなると、喜怒哀楽の感情を感じなくなってしまいます。逆に、ドーパミンが大量に分泌されると、喜怒哀楽のうち「楽」の感情を非常に強く感じるようになります。

覚せい剤や麻薬、大麻などは、感情を司っている神経に直接、働きかけ、ドーパミンを大量に分泌するよう促します。結果、「楽」の感情が異常なまでに、強まり、いわゆる「多幸感」を感じさせます。

覚せい剤や大麻、麻薬を使用すると、気分が良くなるというのは、このためです。

幸せの感情は、誰もが心地よいと感じる感情ですので、一度、多幸感を味わってしまうと、「また、あの状態になりたい」と思ってしまい、1度きりと思っていても、結局は、1度で終わらず、また、手を出してしまうことになってしまい、薬物依存症へと陥っていきます。

一度使用すると、止めることが出来なくなってしまうことが薬物依存症の問題であり、 特徴ですが、薬物依存症の問題は、それだけではありません。

もう1つ、薬物依存症で問題になるのが、「薬物への耐性」です。「耐性」というのは、繰り返し薬物を使うことによって、体が薬物に慣れてしまい、今まで使っていた量では効果が得られなくなってしまうことを言います。

「耐性」は、大麻や麻薬、覚せい剤に限ったことではありません。

経験されたことがある方もおられると思いますが、頭痛薬や胃薬などの普通の薬でも、何度も使っていると、最初は1錠で十分だったのが、1錠では効かなくなり、1錠が2錠になり、2錠が3錠になりと、だんだん量が増えていくようになります。これが「耐性」です。 「薬物耐性」が起こることが、薬物依存症のもう1つの重大な問題点です。

薬物依存症の原因となる薬の種類とは?睡眠薬、鎮痛剤、大麻でもなる?

薬物依存症の原因となる薬物というと、覚せい剤や麻薬などを思い浮かべる方が多いと思います。ただ、薬物依存症は、覚せい剤や麻薬などの違法薬物だけでおこるものではなく、私たちが普段、飲んでいる病院で処方される薬や薬局などで販売されている薬の中にも薬物依存症を引き起こす薬があります。

具体的には、原因となるものに、以下のようなものがあります。

・覚せい剤や麻薬、大麻などの違法薬物
・バルビツール酸系睡眠薬であるフェノバルビタール(商品名:フェノバール)やペントバルビタール(商品名:ラボナ)
・ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるトリアゾラム(商品名:ハルシオン)、ブロチゾラム(商品名:レンドルミン)、フルニトラゼパム(商品名:サイレース、ロヒプノール)、クアゼパム(商品名:ドラール)
・ベンゾジアゼピン系向精神病薬
・鎮痛剤(モルヒネ、リン酸コデインなどのコデイン系鎮痛剤、ロキソニンなどのNSAIDs頭痛薬)
・有機溶剤(シンナー、接着剤)
・アルコールやたばこに含まれているニコチン
・コーヒーなどに含まれているカフェイン

薬物依存症のなりやすさは遺伝する?

最近の遺伝子研究によって、様々な遺伝子が関与して薬物依存症になりやすい体質ができあがることがわかってきました。薬物依存症が遺伝する確率は、覚せい剤などの違法薬物の場合は30%、睡眠薬や鎮痛剤の場合は50%、アルコールやタバコの場合は、60から70%と言われています。

つまり、親や兄弟に、薬物依存症の方がいる場合は、薬物依存症になりやすい体質を受け継いでいる可能性が高いといえます。ですので、薬物依存症の原因となる薬物を使用することによって、薬物依存症になってしまう危険性があります。

薬物依存症のなりやすさは男女で違いがある?ない?

覚せい剤や大麻などの違法薬物の場合は、薬物依存症のなりやすさに男女差はありませんせん。

ただ、アルコールやタバコの場合は、4対1で、圧倒的に男性の方がアルコール依存症やニコチン依存症になりやすいですし、逆に、睡眠薬や向精神病薬、鎮痛剤などの医薬品の場合は、薬物依存症の前段階である薬物乱用状態(必要以上に薬を使う事)が圧倒的に女性に多いことから、薬物依存症も女性に多い傾向があります。

医薬品による薬物依存症のなりやすさについては、性別による違いよりも、薬物依存症になりやすい体質が深く関係しています。

薬物依存症の妊娠や胎児への影響はどんなもの?子供への影響は?

妊婦さんの中には、頭痛薬や風邪薬などの医薬品を使用していたり、タバコを吸っていたり、アルコールを飲んでいたりしている方がおられます。妊婦さんの病気の治療として、どうしても必要な場合を除いては、タバコもアルコールも、薬も、胎児(お腹の中の赤ちゃん)に悪影響を及ぼすことが多く、妊娠中は、薬は勿論、タバコやアルコールも中止する必要があります。

どうして妊婦さんが薬を飲んだり、タバコを吸ったり、アルコールを飲んだりすると、お腹の中の赤ちゃんに影響がでるのかという疑問の答えは、妊婦さんと赤ちゃんは、胎盤そして、へその緒でつながっている点にあります。

このため、妊婦さんが摂取したものは、赤ちゃんの発育に必要な栄養分であろうが、赤ちゃんに悪影響を与えるようなものであろうが、全て、赤ちゃんに届いてしまうことになります。

特に、妊娠5週から12週の間は、お腹の中で、赤ちゃんの脳や様々な体の臓器が作られる赤ちゃんにとって最も重要な時期で、この時期に、妊婦さんが薬を飲んだり、タバコを吸ったり、アルコールを飲んだりすると、胎盤がはがれてしまって、流産になってしまったり、赤ちゃんの発育や臓器形成が妨げられ、発育不良や奇形が起こりやすくなります。

また、「親の姿をみて、子は育つ」と言われるように、薬物依存症の親を持つ子供さんは、学校や職場などで人間関係などによる精神的なストレスを感じてしまうと、薬物依存症の親を持たない子供さんよりも、薬物に手を出してしまいやすいと言われています。

精神的に追い込まれ、自分ではどうすることもできなくなったとき、子供のころに見ていた親の姿を思い出し、苦痛から逃れたい一心で、「自分も手を出してみようかな」と思ってしまうようです。

薬物依存症からの社会復帰は可能?どれくらい可能性がある?

以前は、薬物依存症になると、社会復帰するのは難しかったのですが、今は、薬物依存症専門の病院や社会復帰のための施設や支援が充実してきていますので、薬物依存症の方の社会復帰率は、全体の約半数まで、高くなってきました。

薬物依存症を克服して、社会復帰できるかどうかは、自分次第です。自分自身の力だけでは、止めることはできなくても、「変わりたい」「今の生活から抜け出したい」その思いがあれば、薬物依存症を克服し、社会復帰することは十分可能です。

薬物依存症の症状とは?頭痛が起きる?初期症状はある?

薬物依存症の症状は、大きく分けて2つあります。

1つは、「精神的依存」と呼ばれる症状です。薬物の効果が切れた途端に「薬を使いたい」という強い欲求が生じたり、一度は薬物を止め、薬物とは無縁の生活を送っていた中、苦痛を感じるようなでき事が自分の身に起こったとき、薬物を使って楽になったことを思い出し、「薬を使えば楽になれる。また、使いたい」という思いにかられてしまう症状です。

もう1つは、「身体的依存」と呼ばれる症状です。薬物を止めたときに起こる苦痛で耐えがたい体の症状(離脱症状)です。具体的には、焦燥感や気分の落ち込みといった精神的な症状、腹痛や下痢、嘔吐といった胃腸の症状、不眠や体のけいれん、幻覚といった脳の異常興奮による症状、その他、めまいや頭痛などの症状があります。

身体的依存症状も精神的依存症状も、どちらも、薬物依存症になってしまって起こる症状ですが、薬物依存症の初期の段階で起こる症状があります。

それは、違法薬物であっても、医薬品であっても、タバコやアルコールであっても、使用しているうちに、体が慣れてしまい最初の量では効かなくなってしまう「耐性」です。

使用していた薬物の量が徐々に増えていく、使う回数が徐々に増えていくという症状は、薬物依存症の初期段階で起こる耐性による症状です。

人は、孤独で弱い存在ですので、苦しい時に、ついつい薬物に手を出してしまうこともあります。たとえ、薬物に手を出したとしても、「耐性」が起こり始めた時点で気づき、薬物を止める治療を受けていただき、薬物依存症に完全になってしまうのを防いでほしいと思います。

薬物依存症の末期症状とはどんなもの?

薬物依存症の末期状態では、とにかく「薬が欲しい」「タバコやアルコールが欲しい」という欲求のみの状態になり、完全に薬物から離れられない状態となります。

毎日毎日、欲しい薬物を手に入れることだけを考え、医薬品であれば、何軒もの病院や薬局をまわります。アルコールやタバコであれば、何軒ものショッピングセンターやコンビニなどをまわります。違法薬物であれば、警察の目を盗んで、手に入れようとします。

お金が無くなれば、借金をしたりしてまで購入しようとしたり、万引きしたりするようになってしまいます。

薬物が生活のすべてを支配し、他の事には無気力・無関心になってしまった状態が薬物依存症の末期状態です。

薬物依存症の後遺症はどんなものがある?

薬物依存症の後遺症は、使用した薬物によって違います。

睡眠薬や鎮痛剤などの医薬品による薬物依存症の場合は、薬を止め、体内から薬がすべてなくなってしまえば、後遺症もなく、元の状態に戻ります。

アルコールやタバコについても、使用をやめて、体内からアルコール成分やニコチン成分がすべてなくなれば、元の状態に戻ります。ただ、人によっては、大量に飲み続けたアルコールによって肝臓の機能が低下してしまっていたり、タバコに含まれるニコチンによって血管が狭くなり、血行が悪くなって、長時間の歩行ができなくなったり、肺や喉にガンができやすくなっていたりするなど、身体的な後遺症を残す場合があります。

アルコールやタバコ以上に、重い後遺症を残すのが、覚せい剤や大麻などの違法薬物です。薬物を止めて、体内から薬物がすべてなくなったとしても、脳の障害が後遺症として残ります。

これは、覚せい剤や大麻が直接、脳細胞や脳神経に作用し、脳細胞や脳神経に修復不可能なダメージを与えてしまうからです。

脳の障害が後遺症として残るために、たとえ、覚せい剤や大麻などの違法薬物の使用をやめることができたとしても、幻覚がみえたり、現実感のない異常な感覚に襲われたりと、後遺症に苦しめられるのが覚せい剤や大麻などの違法薬物です。

薬物依存のチェック項目とは?

薬物依存症チェックリストを薬物依存症の診断基準をもとに作成すると、以下のようになります。不安中らは、自身に当てはまる部分がないかをチェックしてみてください。

□睡眠薬や鎮痛剤などの薬を手に入れるために、必死になりますか? □薬物が手元になくなることを考えると不安になりますか?
□家族関係が悪くなったり、学校生活や仕事に支障が出たり、体の調子が悪くなったりしているにもかかわらず、薬物を使い続けていませんか?
□量を減らそう、やめようと思っても、量を減らすことも、止めることもできませんか?
□薬物を使用しないと発汗、震え、不眠などの不快な症状(離脱症状)が出ますか?
□以前と同じ量では効かなくなってきて、たんだんと使用する量が増えていませんか?
□薬物のことで頭がいっぱいで、いつも薬物の事を考えていますか?

薬物依存者の特徴 顔、性格、体臭でわかる?わからない?

医薬品による薬物依存症では、特定の体臭はしません。ただ、アルコール依存の方は、アルコールの臭いが、タバコ依存の方はタバコの臭いが、覚せい剤や麻薬などの違法薬物依存の方は、甘酸っぱい臭いがという具合に、それ以外の薬物依存症では、それぞれ独特の体臭がします。

これは、体内に入った薬物の成分が汗に混ざって体外に排泄されたり、皮脂腺に蓄積されるためと言われています。

その他、薬物依存症の人は、薬物が効いているときは落ち着いているのですが、切れると途端に、精神的に不安定な状態になってしまいますので、突然、大きな声を出したり、怒りだしたり、落ち込んでみたり、ハイテンションになったりと、コロコロと性格や気分が変わる特徴があります。

薬物依存者が疑われる場合は、どこに相談すればよい?

「もしかして、薬物依存症なのでは」と疑ったら、精神保健福祉センターか最寄りの保健所に相談可能です。精神保健センターは、全国都道府県ごとに1か所ずつ設置されており、精神科医は勿論、心理や福祉の専門家が相談に対応します。

「自分が薬物依存症なのでは」と自分自身が気付き、相談した場合、治療する意志があれば、相談だけでなく、治療を受けることのできる病院も紹介してもらえます。

また、本人からの相談だけでなく、御家族の方が相談することもできますので、御家族の方の薬物依存症を疑った場合感、相談してみるのが良いかと思います。

薬物依存症の診療科 精神科?

薬物依存症の診断、治療を受けようと思ったとき、受診する診療科は、精神科です。ただ、精神科ならどこでも良いわけではありません。

薬物依存症の治療は、特別な治療プログラムがありますし、場合によっては入院も必要になってくるので、薬物依存症専門外来のある精神科を受診しなければ、適切な診断・治療を受けることはできません。

薬物依存症の治療薬の作用機序と副作用

覚せい剤や麻薬などの違法薬物による薬物依存症の治療薬として、「イブジラスト(MN-116)」という薬があります。米国で開発され、臨床治験中(実際の薬物依存症の患者さんに治療薬を投与し、効果や安全面の確認を行っている段階)の、まだ日本では未承認の薬があります。

「イブジラスト(MN-116)」は、脳の「グリア細胞」という細胞に作用して、薬物を止めたときに起こる離脱症状を軽くする効果があり、離脱症状が強く出る違法薬物による薬物依存症の治療薬として期待されています。

アルコール依存症の治療薬には、ジスルフィラム(商品名:ノックビン)とシアナミド(商品名:シアナマイド)という抗酒薬やアカンプロサート(商品名:レグテクト)という飲酒欲求を抑える薬があります。

抗酒薬は、アルコールが体内に吸収されるとできる物質である「アセトアルデヒド」の分解を阻害します。抗酒薬を服用中にアルコールを摂取すると、血液中のアセトアルデヒド濃度が上昇し、「悪心・嘔吐」「頭痛」「動悸」「顔面紅潮」「呼吸困難」などの気分が悪くなる症状が起こります。

つまり、お酒を飲むと気持ち悪くなるので、お酒を止めるようになるという仕組みです。副作用は、抗酒薬に対するアレルギー反応や肝機能障害です。

アカンプロサートは、アルコールの摂取によって異常に活性化された脳神経の働きを抑えることで、飲酒欲求を減らします。

抗酒薬と違って、アセトアルデヒドの血液中濃度が上昇しないため、副作用としての肝機能障害はおこりませんが、服用しはじめに、一時的に、下痢が起こることがあります。

タバコ依存症の治療薬には、ニコチンガム(ニコレット)やニコチンパッチ(ニコチネルTTS)などのニコチンを含むガムや貼り薬、脳のニコチン受容体に作用する飲み薬(商品名:チャンピックス)があります。

ニコチンガムやニコチンパッチは、ガムや貼り薬にニコチンが含まれており、タバコを吸う代わりに、ガムや貼り薬からニコチンを吸収し、段階的に、ニコチンが含まれている料が少ないガムや貼り薬に変えていくことで、タバコ依存から脱却させていきます。

副作用としては、ニコチン刺激で、口の中が荒れたり、皮膚が赤くなったりします。また、ニコチンパッチでは、約7%の人に不眠が起こります。

チャンピックスは、脳のニコチン受容体に作用することで、喫煙願望を抑制します。副作用としては、下痢や嘔吐、頭痛などが多いですが、まれに、意識消失や精神的興奮状態が起こることがあります。

医薬品による薬物依存症の場合は、特別な治療薬はなく、離脱症状に耐えながら、徐々に、薬を減らしていくしかありません。

薬物依存症の薬以外の治療 入院する?どのようなことをする?リハビリをする更生施設はどんなもの?

薬物によって体の健康がひどく損なわれている場合は、入院治療となります。

入院治療は、薬物依存症の最も一般的な治療法で、入院することで、薬物を摂取する事が物理的に不可能になり、強制的ではありますが、薬物依存から離れる環境に身を置くことができます。結果として、自分の力だけでは止めることができなかった薬物を止められ、自然に、体内から薬物が消えていき、薬物から離れることができます。

さらに、薬物を止めたことで起こる離脱症状に対しても、病院の適切な対処を受けることができますし、薬物によって弱った臓器の治療を受ける事もできます。入院すれば、安全に薬物依存症から脱出する事ができ、元の健康状態を取り戻すことができます。

その他、薬物依存症から抜け出したいと思う人たちが集まって共同生活をしながら、薬物依存から抜け出していく更生施設(全国ダルク)があります。

更生施設では、止めたくても止めることができない同じ悩みを持った薬物依存症の方々が集まり、1つ屋根の下で共同生活を送ります。同じ悩みに苦しむ仲間同士で、グループカウンセリングを受けながら、自らの行為について振り返ったり、登山やスポーツなどのレクリエーションを仲間とともに楽しむことで、薬物のない生活の中で、新たな人生の目標を見出し、再出発する意志を持たせるように働きかけていくリハビリ施設です。

薬物依存症の離脱症状とはどんなもの?フラッシュバックが起きる?

依存性のある薬物を止めようとした際に起こるのが「離脱症状」です。「離脱症状」は、薬物が体内にある状態に慣れてしまった体が、薬物を止めることに対して起こす拒否反応と言われています。

具体的には、食欲低下や吐き気、頭痛やめまいといった体の症状やソワソワして落ち着かない、イライラするといった精神的な症状が起こります。

薬物を摂取していた期間が長ければ長いほど、離脱症状は強く起こり、程度も重度になり、ひどい場合は、体のけいれんや幻覚・妄想といった症状が起こります。

特に、覚せい剤の場合は、「フラッシュバック」という症状が起こります。2カ月から3カ月にわたって、覚せい剤を使用していると、たとえ、覚せい剤を止め、体内から完全に覚せい剤がなくなっても、ストレスや疲労など何かのきっかけで、覚せい剤を摂取していた時と同じような幻聴や妄想などが起こります。フラッシュバックが起こることが、一度覚せい剤を止めたにもかかわらず、再び、覚せい剤に手を出してしまう原因であると言われています。

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