「自分は大丈夫」は禁物!骨折防止に今すぐできる在宅トレーニング

  • 作成:2021/09/11

ワクチン接種が進んできているものの、収束の兆しがなかなか見えないコロナ禍。行動や生活が変わった結果、間接的にさまざまな面で健康を害する人が増えています。骨や腱、筋肉など、整形外科が担当する領域の病気にも変化が起きており、特に高齢者の骨折には注意が必要です。 骨折予防のためにどんなことができるのか、またどんなタイミングで受診すればいいのかを独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院 整形外科主任部長の島田幸造先生に教えていただきました。(取材日:2021年7月20日)

この記事の目安時間は3分です

「自分は大丈夫」は禁物!骨折防止に今すぐできる在宅トレーニング

骨の強度と運動機能の低下度をチェック

前回は、コロナ禍で高齢者が骨折に至る背景が変化したことについて解説しました。今回は、骨折を予防するためにどんなことができるか、説明していきましょう。

前回記事:「健康寿命を大きく左右」コロナ禍、水面下で進む「骨」のリスク

まずは、自分が骨折のリスクが高いかどうかを知るために、一度検査を受けることをおすすめしています。
骨密度検査や血液検査、尿検査によって、骨のターンオーバー(一定の周期で生まれ変わる仕組み)を調べ、骨からカルシウムが多く抜けている場合はそれを止める薬を飲んで骨の強度を保ち、折れにくい骨を作ることに繋げます。

薬を飲んでいても骨の状態が悪くなることもあり、検査をしていれば薬を変えることもできますので、健康診断のように定期的に検査を受けるのがおすすめです。かかりつけ医やお近くの整形外科で相談してみてください。

骨の強さに加えて、運動機能がどれくらい低下しているのかも調べてみましょう。日本整形外科学会が制作した、ロコモオンラインというサイトに、運動機能がどの程度低下しているのかをチェックできる、「ロコモ度チェック」というページがあります。

ロコモ度チェック

このページに掲載されている「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」というテストを実施することで、運動機能の低下度合を調べることができます。
なお、立ち上がりテストや2ステップテストの際は無理をせず、介助者がいる状態で行うようにしてください。

運動機能の維持・改善につながる簡単トレーニング

自分の現在地が分かったところで、次は元気な足腰を維持するためのトレーニングです。転倒・骨折予防につながる簡単な運動をご紹介します。
先ほどご紹介したロコモオンラインの中にある「ロコトレ」では、室内でできる運動が掲載されています。重要なのは継続すること。安全な方法で無理なく行いましょう。安全面も確保しやすいデイサービスなどで、介助者がいる状態で行うのが理想的です。

ロコトレ

運動に加え、日光浴も大切です。日光を浴びることで骨を作るビタミンDが活性化されるので、外に出て日に当たり、骨を強くすることを心掛けましょう。人の多い場所は避け、熱中症などにも十分注意してください。

ロコトレ1.バランス能力をつける片脚立ち(詳しくはロコトレのページを確認してください)

「自分は大丈夫」は禁物!骨折防止に今すぐできる在宅トレーニング

ロコトレ2.脚の筋力をつけるスクワット(詳しくはロコトレのページを確認してください)

「自分は大丈夫」は禁物!骨折防止に今すぐできる在宅トレーニング

どんなときに整形外科を受診すればいい?

高齢者の骨折は、早期発見できると治療も簡単で、患者さんへの負担も少ない場合があります。最初は骨のヒビだけだったものが、我慢している間に完全に折れてしまうこともあるので、転んで少しでも痛みを感じる場合は迷わずにかかりつけ医や整形外科を受診するようにしてください。
ご家族に高齢者がいる場合も、転んだり、歩き方がおかしかったり、足を引きずったりしていたら、ご本人が痛がらないようでも早めに医療機関を受診しましょう。

青年・壮年の怪我防止のために

ロコモ度チェックやロコトレを見て、自分はまだ高齢者ではないから大丈夫と思っていませんか? やってみると想像以上にできなかったりします。若いころにスポーツの経験があり、コロナ禍で運動不足を自覚しているような場合は、ロコトレのページに掲載されているような運動から始めてみてもいいでしょう。

青年・壮年の怪我で多いのは、久しぶりの運動でアキレス腱を切ってしまうケース。それを防止するには十分な準備運動やストレッチが大切です。10代~20代でスポーツをしていた人が、当時の自分のイメージのまま30代で急に運動してアキレス腱断裂、というのが典型的な例なので、該当する人は気を付けてください。

最近は、学校での部活動が再開して、10代のスポーツによる怪我もコロナ禍前のように増えてきました。バレーボール・バスケットボールなどで跳んで着地したときや、コンタクトスポーツでタックルされたときに膝の靭帯を損傷するケースが多いです。もしかしたら、こういった怪我の中にも、準備運動によって防げたものが何件か含まれているかもしれません。小学生が鉄棒から落下して骨折するといった怪我も、コロナ禍前のようになってきました。

コロナ禍収束を見据えて

今後、ワクチンがもっと行き渡れば、感染状況が収束して、以前のような暮らしに戻れるという期待は持っています。そのときに寝たきりになっていたりしないように、運動習慣がある場合はそのまま継続を、ロコモ度チェックで引っかかってしまった場合はロコトレの継続などで筋力アップを目指していきましょう。

出典:日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト

島田 幸造 先生
独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院 統括診療部長/整形外科主任部長。
医学博士。日本整形外科学会専門医・認定スポーツ医・認定リウマチ医。

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