子宮筋腫の腹痛症状の原因

  • 作成:2015/10/28

子宮内に筋腫(こぶ)ができる子宮筋腫は、約4人に1人の女性がかかるといわれ、珍しい病気ではありません。今回は、子宮筋腫の症状のひとつである腹痛の原因と症状について解説します。

近藤 恒正 監修
落合病院 副院長
近藤 恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

女性

子宮筋腫の症状とは

子宮筋腫とは、子宮の中や子宮の壁などに、筋腫(きんしゅ)と呼ばれるコブ状のものができてしまう病気です。良性の腫瘍であるため、直接生命を脅かす病気ではありません。しかし、放っておくと10kg以上もの大きさに育ってしまったり、様々な症状が現れたりすることがあります。主な症状は、過多月経などの生理のトラブル、不正出血、腹痛、不妊などです。

子宮筋腫によって腹痛が起きる原因として、主に2つのケースが考えられます。ひとつは、ひどい生理痛として痛みが現れるケース。子宮筋腫の症状で最も起こりやすいのが、こういった生理のトラブルです。

もうひとつが、大きくなった筋腫が子宮の周りの臓器を圧迫し、痛みが起こるケースです。この場合、痛みと共に他臓器の不調や他の症状も現れます。子宮の周りには、膀胱(ぼうこう)や直腸(ちょくちょう)などの大切な臓器があります。

子宮筋腫の種類によって症状が違ってくる

子宮筋腫には、いくつかの種類があります。子宮のどこに筋腫が出来るかによって、呼び方や症状などが違ってきます。

まず、子宮の内側にできたものは粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)と呼ばれます。最も症状が重いタイプで、過多月経や不妊症の原因になりやすい種類の子宮筋腫です。発症率は一番低く、子宮筋腫全体のうち10%ほどです。

次に、子宮の壁の中に発生するものを筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)と呼びます。小さいうちは特に自覚症状がありませんが、大きくなると様々な症状を引き起こします。最も起こりやすい種類の子宮筋腫で、子宮筋腫全体の70%ほどがこのタイプです。

最後に、子宮の外側にできたものを漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)と呼びます。子宮から外側へと成長していきます。そのため生理のトラブルや不正出血などは起こりにくいですが、大きくなると下腹部にしこりを触れるようになることがあります。

これらのうち、特に粘膜下筋腫は、たとえ筋腫が小さくても過多月経から貧血を起こすことが多々あります。そして、子宮の周りの臓器を圧迫することにより腹痛を引き起こすのが、漿膜下筋腫です。圧迫された臓器は、痛みだけでなくそれぞれの働きに不調が現れます。

他の臓器に影響を及ぼす、漿膜下筋腫

子宮の前方には膀胱があり、漿膜下筋腫によって膀胱が圧迫されると頻尿(ひんにょう)や排尿痛などの症状が起こります。また、子宮の後ろにある直腸が圧迫された場合には便秘などの症状が現れます。どちらも痛みを伴うことが多く、生理痛とは違い慢性的に鈍痛(どんつう)を感じます。鈍痛とは、じわじわ起こるにぶく重い痛みのことです。

また、漿膜下筋腫で有茎性のものの場合は、筋腫が捻転(ねんてん)してしまうこともあります。捻転とは、筋腫の部分がねじれてしまうことです。捻転してしまうと、我慢できないほどの急な激痛が起こります。この場合は、手術で筋腫を取り除く必要があります。

子宮筋腫の治療について

子宮筋腫はあくまで良性の腫瘍であるため、特に症状が出ていない場合は治療をしないこともしばしばあります。その場合、3~6ヶ月に一回程度検診を受け、経過を観察します。もし筋腫が成長し始めたり、症状が現れるようになれば治療を施します。

治療方法のひとつが、投薬による治療です。子宮筋腫はエストロゲンという女性ホルモンによって大きくなるため、薬で一時的に閉経後と同じ状態にし、筋腫が小さくなるのを期待します。この方法には副作用があり、更年期障害のような症状が出ます。

もうひとつの治療法に、手術があります。手術は、子宮をすべて摘出する方法と、筋腫の部分だけを取り除く方法があります。どちらにもメリットとデメリットがあります。治療法の選択は、慎重に検討して決める必要があります。

生理のトラブルや不正出血、なかなか妊娠しないなどの症状に心当たりがある場合、子宮筋腫の検診を受けてみることをおすすめします。特に将来妊娠を希望している場合は、身体を万全の状態に整えるためにも定期的に婦人科を受診するようにしましょう。

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