子宮外妊娠とは 原因は何? 予防可能?

  • 作成:2015/12/03

子宮外妊娠は、正常な子宮の部分「子宮体部」以外に着床してしまうケースです。性病以外にも、リスクを上げる原因が指摘されています。完全な予防はできないのが実情ですが、子宮外妊娠の原因について、専門の医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤 恒正 監修
落合病院 副院長
近藤 恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

家族

子宮外妊娠の3つのパターン

子宮はフラスコをひっくり返したような形をしており、その上側3分の2、つまりフラスコの太い部分は「子宮体部」と呼ばれています。正常妊娠の場合では、排卵によって卵巣から出た卵子は卵管に取り込まれて [卵管膨大部]というところで受精したあと、卵管内を通って子宮まで運ばれ、「子宮体部」に着床して妊娠が成立します。一方、子宮外妊娠では、子宮体部以外の部分に着床してしまいます。

子宮外妊娠は、着床する部分によって「卵管妊娠」、「腹膜妊娠」、「卵巣妊娠」、「頸管妊娠」の4つに分けられますが、そのうち大部分が卵管に着床する卵管妊娠です。

子宮外妊娠が起こるメカニズムは、卵管内での受精卵の輸送がうまくいかなくなるためであると考えられています。卵管に炎症があると卵管が狭くなったりしますし、卵管の周囲の癒着によって卵管のぜん動がさまたげられることにより、受精卵の輸送がうまくいかなくなることがあります。また、本来は受精卵が卵管を通過して子宮内に入っていくのですけれど、一度子宮に入った受精卵が卵管内へ逆流したり、さらに「外遊走(がいゆうそう)」といって受精卵が卵管から落ちてしまって腹膜や卵巣に着床することが原因と考えられています。

人工受精や性病が原因に

子宮外妊娠の原因として考えられるものとして、まず体外受精などの生殖補助医療が挙げられます。これは、体の外で受精させた卵を体内に戻す際に、子宮体部を通り越して卵管に受精卵が行ってしまったり、あるいは子宮の下3分の1の部分にあたる子宮頸部という部分に着床してしまうことによるものです。

また、性病が原因となる可能性があります。クラミジア感染によるものが代表的であり、感染によって卵管内部の粘膜がくっついた結果狭くなったり、卵管の周囲に癒着が起こったりすると受精卵が通りにくくなることで子宮外妊娠となることがあります。

子宮外妊娠の完全予防は困難

「不特定多数の人と性交しない」「コンドームを正しく装着する」ことなどで、クラミジアや淋病などの性感染症を防ぐことができ、結果として子宮外妊娠も予防できます。また、たばこのニコチンは、卵管の表面にあり受精卵を子宮へと送る働きをもつ「絨毛」という毛の運動を妨げるとも言われていますので、禁煙やパートナーなどからの受動喫煙を避けることでも予防効果があるとされています。

その他、子宮外妊娠は子宮の粘膜が傷付いていると起こりやすいので、人工妊娠中絶や帝王切開を受けた人でリスクが高くなることが知られています。帝王切開は仕方のないことですが、できれば人工妊娠中絶を避ける意味で望まない妊娠とならないように注意するのも大切でしょう。

ただし、以上のように卵管や子宮に異常が出ること以外に、生まれつき卵管に受精卵がとどまってしまいやすい体質の人もいて、メカニズムが明らかになっていないことも多く、子宮外妊娠を完全に予防することは困難であるのが現状です。

気づくにくい子宮外妊娠

子宮外妊娠は、早期発見が難しいことが知られています。例えば、子宮外妊娠の代表的な自覚症状として、「少量の性器出血」が挙げられます。これは卵管に受精卵が着床すると、卵管内で出血が起こるためですが、少量の出血は正常な妊娠の時でも見られる他、正常な月経と間違ってしまうことも多く、性器出血だけでは子宮外妊娠であるとは言い切れません。

その他の初期症状としては、つわりや下痢、胸が張ってくるといった妊娠初期に現れるような症状も挙げられます。これは、子宮外とはいえ一応妊娠が成立しているので、それに対して身体が反応しているためですので、当然正常の妊娠との区別はつきません。

したがって、「この症状があるから子宮外妊娠だ」と言い切るのは難しく、さらに、子宮外妊娠は流産は破裂を起こすまでは無症状であることも少なくないため、非常に気付きにくい病気であると言えます。

子宮外妊娠について原因などをご紹介しました。もしかして子宮外妊娠かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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