ノロやロタなどの胃腸炎が子供へ感染する経路 予防できる?アルコールの効かないことも?

  • 作成:2015/12/04

子供がなる感染性胃腸炎(他人からうつったり、他人にうつす胃腸炎)では、ノロウイルスによるものとロタウイルスによるものが半数を占めています。子供にうつしたり、子供から感染したりするのを防ぎたいものですが、アルコール消毒び効果がないウイルスもいます。感染経路などを、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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子供

子供の胃腸炎、ノロとロタに注意

例年、ニュースでノロウイルスやロタウイルスが話題になっているので、聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。乳児の場合はこの2つのウイルスが感染性胃腸炎の原因の半数以上を占めています。主な感染経路としては、直接汚染された食品を食べることによる「経口感染」と、汚れた手で口に触れるなどして起こる「接触感染」があります。症状が出るまでの期間(潜伏期間)はおよそ1日から3日間で、病原体(びょうげんたい)の種類にもよりますが、吐き気やおう吐、下痢、腹痛などの症状が中心となります。軽い風邪程度の症状で回復に向かう人もいますが、特に乳幼児や高齢者では下痢による脱水に注意が必要です。

ノロウイルスとロタウイルスを比較すると、一般的にノロウイルスの方が症状が治まるまでの期間が短く、1日から2日間とされています。一方、ロタウイルスでは平均で5日から6日間と長引く傾向にあります。これらウイルス性胃腸炎の治療法は症状に応じた対症療法が基本となります。特に、脱水に注意し、吸収されやすいスポーツ飲料などをこまめに飲みましょう。水分がとれない場合は、点滴が必要になることもあります。ただし、細菌感染が原因の胃腸炎では、抗生物質が有効なこともありますので、まずは医療機関への受診をおすすめします。

子供のために手洗いを

もし、親が胃腸炎にかかったとしても、おとなしく安静にしていられるとは限りません。子供の食事の世話など家事をしなければならない状況もあることでしょう。そのような場合、子供にうつらないようにする方法としては、トイレの後や食事、調理の前に、石鹸で確実に手を洗うことが第一です。手洗いはしっかり石鹸を泡立て、できればブラシを使用して洗浄します。その後しっかり、水で流してください。石鹸自体に殺菌効果はありませんが、汚れと一緒にウイルスを除去しやすくする効果があります。タオルを共用しないことも大事です。

アルコール消毒はノロを防げない

自分を含め家族への感染は何とか防ぎたいところです。その際、ノロウイルスやロタウイルスは、非常に感染力が強いため、感染した人の便や嘔吐物からの二次感染を防ぐための予防が非常に重要になってきます。ウイルスは便中や嘔吐物の中に大量に含まれているため、その処理には十分な注意が必要です。処理する際には少し面倒かもしれませんが、使い捨てのエプロンとマスク、手袋を必ずしましょう。まずは自分を感染から守ることが第一です。

また、嘔吐物が乾燥すると、ウイルスが空気中に舞い上がり、それを口から吸い込んで感染することもあるので、できるだけ早めに処理することを心掛けてください。嘔吐物をふき取ったタオル類はビニール袋で密閉して捨てるのが適切です。 タオルでふき取った後は、家庭用塩素系漂白剤を薄めた次亜塩素酸ナトリウムを使って、もう一度ふいて下さい。アルコール消毒ではノロウイルスは死滅しないことは覚えておいたほうが良いでしょう。

うつらない胃腸炎の場合も注意

ここまで、秋から冬にかけて毎年流行しているノロウイルスやロタウイルスを中心にお話してきましたが、感染性胃腸炎以外にも、非感染性の胃腸炎があります。代表的なものとしては、卵や牛乳などのアレルギー性、抗生物質をはじめとする薬剤性、その他、暴飲暴食や冷えでも起こることがあります。もちろんこれらが原因の胃腸炎は人にうつる心配はありません。

症状は下痢や腹痛、吐き気などですが、感染性とは異なり、同じ原因で繰り返し発症する可能性が高いです。そのため、お腹を壊しただけと自己判断せずに、医療機関を受診して、しっかりと原因を突き止める必要があります。その際、病歴が原因の特定に重要になりますので、いつ、どんなことをして、何を食べたかなど、医師に詳しく伝えましょう。アレルギー性の場合には血液検査も手掛かりとなります。子どもが胃腸炎になったときには、自己判断をせずに、まずは医療機関を受診し、適切な対応を受けて下さい。感染性でも非感染性胃腸炎のいずれでも、脱水にならないように水分をしっかりとることが重要です。

子供がかかりやすい感染性胃腸炎ついて、対応も含めてご紹介しました。もしかして感染性の胃腸炎かもしれないと不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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