百日咳の原因、感染経路、症状、予防接種(ワクチン) 咳に特徴?熱はでない?病院に行く時期、家庭の注意点も解説

  • 作成:2016/03/03

百日咳とは、息ができないような強い咳が、長い期間続くのが特徴の病気で、普通のかぜ同様つばや鼻水などを通じて感染します。高い熱があまり出ないのも特徴の1つです。予防接種となるワクチンは、日本の制度によって多くの子どもが「四種混合ワクチン」の一環として受けることになっていますが、予防接種の効力の持続期間は5年から6年程度とされており、時間が経過すると感染するリスクがあがります。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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百日咳の症状とは?

年間1万5000人がかかる百日咳 原因は?

百日咳は「百日咳菌」という細菌が感染して発症する、咳を主な症状とする感染症です。WHO(世界保健機構)によると世界の百日咳患者数は年間2000万から4000万人で、そのうち20万から40万人が死亡しています。患者のおよそ1%が死亡しており、そのほとんどは発展途上国の子ども達です。日本でも百日咳の予防接種が開始される前は年間10万人が感染し、そのうち10%の患者さんが亡くなっていました。1950年から「百日咳ワクチン接種」が開始され、年々感染者、死亡者ともに減少し、現在では1年間に百日咳にかかる人の数は1.5万人程度になっています。

百日咳の感染経路は?

百日咳の感染経路は通常のかぜと同じように、飛沫感染、接触感染です。百日咳に感染した人の唾液や鼻水を浴びて、体内に取り込み、鼻や口の粘膜で細菌が増殖します。

なぜ患者が絶えない?

百日咳は予防接種が開始されて60年以上が経過しています。現在では生後3カ月から接種が始まる四種混合の中に百日咳に対するワクチンが含まれています。ワクチンの接種が広まっているにもかかわらずどうして患者数がいなくならないのでしょう。これは身体で作られる百日咳に対する免疫が、ワクチンを接種したり、百日咳にかかったりしても、約6年くらいで少なくなってしまうためです。このため現在の患者は小学生以上の子どもや成人の患者さんが多くなっています。

症状の特徴、「息を吸わないのでは」と思うほどの咳

百日咳は「百日間も咳が続く」ために百日咳と名付けられました。咳の程度は軽い物から強い物まで様々ですが、強い場合、一度出始めると息が吸えなくなるくらいになってしまいます。百日咳にかかったお子さんの保護者は「ずっと咳が出ていて。朝から晩までいつでも出ています。見ていると顔が赤黒くなるまで咳きこんでいてかわいそうになってしまいます」と言います。

百日咳の咳の特徴は「スタッカート」と「レプリーゼ」と言われるものです。「スタッカート」とはまるでカスタネットを打っているような、カッ・カッ・カッ・カッ・・・・という短い渇いた咳を、「このまま息を吸わないのでは」と心配になるほど顔が赤黒くなるまでする様子のことです。「レプリーゼ」とは「スタッカート」の後に喉の笛が鳴るような「ヒィィィィィィィィ・・・・」というように息をする様子のことです。何度も何度も繰り返します。動画投稿サイト「YouTube」にもその様子が投稿されていますので、参考にしてみてください。参考:https://www.youtube.com/watch?v=X8yUSV4oqoU

年齢で重症度が変化  熱は出ない

年齢によりその症状も重症度が変わってくるのも百日咳の特徴です。特に生後6カ月未満の赤ちゃんが百日咳にかかると、咳こんで息が吸えなくなってしまいます。理由は解明されていませんが、全身性の痙攣(けいれん)をおこしたり、呼吸を止めてしまう赤ちゃんもいます。また小児科医の医師は、「乳児で熱が出ない肺炎をみたら百日咳を疑え」と教えられますので、高い熱はあまり目立ちません。

なお、強くて長い咳が百日咳菌に感染するとどうして出てくるのかというところは、今でも解明されていません。百日咳菌自体が悪さをする説、百日咳菌から作られる毒素が悪さをする説、その毒素も様々なものがあり、どれが悪さをしているのかということははっきりしていません。

病院へ行くべきタイミング

乳児期早期の赤ちゃんは感染すると重症化することがありますが、頻繁に小児科を受診することは他の感染症にかかる率も上げてしまいます。顔が赤黒くなるまで咳をする、哺乳できないくらい咳きこむ、咳の後にヒーヒー言っているなどの症状がみられたら積極的に受診をするようにしましょう。できれば咳の様子をスマートフォンや携帯の動画に撮っておくと、診察時にその咳の特徴が出なくても医師に伝わりやすくなります。

生後間もない赤ちゃんがいる家庭では、「兄弟も保護者も以前に予防接種をうったから」と安心せず、眠れないくらい強い咳が2週間以上続く場合には百日咳の可能性もあるため受診が必要です。また、赤ちゃん本人が、百日咳にかからないためには予防が必要です。生後3カ月から予防接種が受けられますので、小児科の医師と相談し、適切な時期に接種できるようにしておきましょう。

家庭での注意点

百日咳にかかったら、以下を心がけましょう

・適切な抗生物質を適切な期間の使用(治療については、https://www.askdoctors.jp/articles/200209で詳しく解説しています)
・他の家族に感染しないように、繰り返しの手洗いを心がけ、マスクの着用
・部屋では適切な湿度を保ち、定期的な換気の実施

予防接種はどんなもの?いつ受ける?何回?

百日咳の予防接種は現在四種混合ワクチンとして施行されています。四種混合には百日咳の他、破傷風、ジフテリア、ポリオが含まれています。四種混合ワクチンは生後3カ月から接種が勧められています。3週間以上あけて計3回と、3回目の接種を済ませた1年後を目安にもう1回接種します。「インフルエンザ桿菌B予防接種(Hibワクチン)」と「13価肺炎球菌予防接種」を受ける時期でもあり、同時接種を行う場合には四種混合ワクチンも他のワクチンと間隔を合わせて4週間おきとすることが多いでしょう。

また、1年後の追加接種も、1歳での13価肺炎球菌予防接種の追加接種と合わせて3回目から1年を待たず、7カ月程度で四種混合の追加接種を行っている市町村もあります。症状の重症度から考えると、生後3カ月になったらなるべく早めに接種を始しめることをお勧めします。

予防接種してついた免疫も、百日咳にかかって得た免疫も5年から6年間で無くなってきます。お金はかかりますが、ご家族も予防接種を数年毎に接種し直すという方法もあります。かかりつけの小児科医に、家族全員の予防接種について相談してみることも、家族が元気に過ごす一つの方法として考えてみてください。


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