健康診断結果の見方 再検査はまずい?肝機能、中性脂肪の見方は?尿蛋白も解説

  • 作成:2016/01/29

健康診断で、要「再検査」の結果になって驚いた経験のある方は少なくないでしょう。ただ、要「再検査」と要「精密検査」の意味は、実は違うのです。気になる肝機能や中性脂肪の結果の見方と合わせて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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健康診断で「再検査」!どれくらいまずい?

健診の検査結果に、要「再検査」があります。再検査の判定ですから、正常範囲ではない異常な結果が出ていることは間違いありません。ただし「再検査」とする判断は次のような場合が多くなっています。(1)一時的な変動で異常値となった可能性が高い項目、(2)ある検査項目に異常が見られるが、他の検査項目のデータとのバランスから考えにくい(3)これまでの検査結果の経過から見て、異常である可能性が低い。要「再検査」は確認のために、もう一度同じ検査を受けることが大切です。

一方、要「精密検査」は、検査項目の全てのデータと、これまでの経過をもとに判断されていることが多いようです。異常である検査項目の対象である病気の疑いが強く、その病気の詳しい検査が望まれます。要再検査、要精密検査いずれにせよ自覚症状などがなくても、放置しないようにしましょう。

肝機能結果の見方

肝機能検査の「GOT」「GPT」は、いろいろな臓器に含まれる、アミノ酸をつくる酵素です。臓器が障害されると細胞が壊れ、酵素が血中に流れ出すので、血液検査で検出できます。

「GOT」は肝臓のほか骨格筋、心筋などにも多く含まれ、一方「GPT」は肝臓以外にはほとんどみられないという特徴がありますので、次のように考えます。

GOTだけが高い;すぐに肝障害があるとは言えません。
GPTが明らかに高い;肝臓に障害がある可能性が高いです。
GOTとGPTが共に高い;肝臓の何らかの障害が考えられます。

「GOT、GPTの肝臓の細胞での分布の違い」から病気の種類によりGOT/GPTの比率が異なります。

GOT、GPT共に正常値でGOT>GPT;本当の意味で“正常”な肝臓。
共に高値でGOT<GPT;慢性肝炎、肥満性の脂肪肝の可能性が高い。
共に高値でGOT>GPT;アルコール性脂肪肝、急性肝炎、肝硬変、肝癌などの疑い。
共に正常値で、GOT<GPT;場合によっては慢性肝炎や脂肪肝などの可能性。

「γ-GTP(ガンマジーティーピー)」は飲酒に非常に敏感に反応し、アルコール性肝障害などで増加します。飲酒による上昇の度合いは個人差が大きいこと、個人の経時的なγ-GTP値の推移は、そのときどきの飲酒量をある程度反映することが特徴です。胆汁の流れが停滞するような異常でも、よく上がる項目です。

中性脂肪、尿蛋白の結果の見方

血中の「中性脂肪」には、食事由来のものと、肝臓で合成されるものがあります。検査値は食事の中性脂肪の影響を受けやすく変動幅も大きいので、早朝空腹時の値以外は余り参考になりません。早朝空腹時でも、前日宴会で飲み過ぎただけで、高い値を示します。中性脂肪が高い場合、まずは正しい条件でもう一度検査してみて下さい。それでも高い場合は、食べすぎ、運動不足、肥満、アルコールの飲みすぎなどの生活習慣の結果です。日常における自己の健康管理のバロメーターとして利用してみて下さい。

「尿蛋白(タンパク)」の結果の見方も注意が必要です。尿中にタンパクが出ても、すべて腎機能に障害があるというわけではありません。正常でも、ごくわずかには出ますし、「機能的(生理的)タンパク尿」といわれる一過性の病的ではないものもあります。運動、発熱、起立性など、いろいろな要因で起こります。検査結果の(±)(+)は、実際の量としては正常から生理的なものとも考えられることから、コメントは「要経過観察」、「要注意」などとなっています。あわてることなく、しばらくしてから、もう一度検査してみるとよいでしょう。

その他の注意点

以下の検査結果を見るときの注意点です

空腹時血糖;中性脂肪と同じく、「正しい条件で採血されていたか」を考えて判断して下さい。
ヘモグロビンA1c;血糖値とは逆に、その日の条件に左右されにくい結果が出ます。
LDL、HDLコレステロール;LDL(悪玉)、HDL(善玉)の絶対値の高い低いばかりでなく、悪玉と善玉のバランスを見て下さい。LDL/HDLの比(LH比)が2.0以上あると、それぞれが正常範囲内にあっても、動脈硬化の危険性は高まります。


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健康診断の結果の見方についてご紹介しました。健康診断の結果に不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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