多様な生理不順の症状と原因 ストレス、肥満、病気も引き金?生理周期以外にも、生理期間、出血量にも注意!

  • 作成:2016/02/24

一言で「生理不順」といっても、パターンはさまざまで、生理の周期が安定しなかったり、出血量の問題だったりします。原因については、ストレスも一因となりますが、他にも色々あります。生理不順の原因や症状を、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

平松晋介 監修
ちくご・ひらまつ産婦人科医院 院長
平松晋介 先生

この記事の目安時間は3分です

生理不順にも色々ある?

「生理不順」とはどういう状態?

生理(月経)不順とは、以下のような状態を言います。

・月経の周期や期間が長すぎる・短すぎる、もしくは一定しない
・月経血の量が異常
・妊娠中や授乳中でもないのに生理が来ない(無月経)

一般的には周期が安定しないことを「生理不順」と呼ぶことが多いようですが、ここでは特に区別しません。

生理不順は主にホルモン分泌の異常によっておこります。生理不順をそのままにしておくと、将来の不妊の原因や、更年期障害のような症状が出る原因になるほか、生活習慣病のリスクが高まるおそれがあります。

主な生理不順は月経の周期や期間に関するものです。通常の月経の周期は25日から38日間ですが、周期が39日以上と長すぎるものを「稀発(きはつ)月経」といい、逆に月経周期が24日以下と短すぎるものを「頻発(ひんぱつ)月経」といいます。生理周期には個人差があるので、たとえ39日以上であっても規則的であればあまり心配はありません。しかし、前回は27日間、今回は38日間と「生理がいつ来るか分からない」状態や、3ヵ月以上生理が来ない状態が続くようなら、一度、婦人科でチェックしてもらった方が良いでしょう。

稀発月経・頻発月経は、排卵していないのに生理が来る「無排卵性出血(むはいらんせいしゅっけつ)」である場合があり、出血期間が長くなる事が多いです。生理が周期的であっても無排卵性出血の可能性はありますが、周期が不安定な人のほうがよくみられますので、その場合は治療が必要です。

月経期間の異常もある

生理周期以外にも月経不順はあります。たとえば月経期間の異常です。

月経期間が8日以上も続く状態を「過長(かちょう)月経」、2日以内で終わってしまう状態を「過短(かたん)月経」といいます。過長月経には、ストレスやホルモン分泌の異常が原因の機能性のものと、子宮筋腫や子宮内膜症などの器質性(臓器などに物理的な問題があること)のものがあります。また、過短月経は生理が始まったばかりの思春期にはめずらしいことではありませんが、成熟した女性の場合はホルモンの異常が考えられます。

月経血の量の異常も生理不順の一種です。

出血量が多すぎるものを「過多月経」、少なすぎるものを「過少月経」といいます。過多月経の場合はレバー状のかたまりがみられ、強い月経痛を伴うことがあります。過長月経と同様、ホルモン分泌の異常によるものと、子宮の病気が原因に上げられます。過少月経は、思春期や閉経前でなければホルモン分泌の低下が主な原因となります。また、黄体機能不全や手術後の感染の可能性もあります。

90日以上来ないと無月経

周期や期間の乱れからさらにすすんで、90日以上月経が来ないことを「無月経」といいます。妊娠や授乳が原因の無月経は「生理的無月経」といって問題のないものですが、理由もないのに生理が止まってしまうのは「続発性無月経」といい、注意が必要です。

ストレスや肥満で生理不順になる?

規則正しい月経のためには、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)がバランスよく分泌される必要があります。そのためには、女性ホルモンのコントロールをつかさどる視床下部・脳下垂体・卵巣といわれた部分がしっかり働くことが大切です。しかし、様々な要素が原因となり、ホルモンのバランスが崩れると月経不順になります。その主な原因が、ストレスだと言われています。

脳にある視床下部・脳下垂体はストレスの影響を受けやすい器官です。仕事・職場・家庭における環境の変化や人間関係などで強いストレスを感じると、視床下部や脳下垂体はストレスに対応するためにさまざまな指令を出すのに忙しくなります。そのため、月経を安定させるホルモン分泌の機能が不安定になります。

最近では肥満による生理不順も注目されています。肥満の方では、糖尿病傾向のある方が多く、その影響によって卵胞が育たない「多嚢胞性卵巣」が多く見られます。この疾患では排卵障害が起き、男性化の兆候が見られる事もあります。また、卵胞ホルモン(エストロゲン)は脂肪細胞からも分泌されるので、肥満により脂肪細胞が増えると、卵胞ホルモンが増えます。すると卵巣ではまだ卵胞が育っていないのに、脳下垂体が育ったと勘違いして卵巣の働きを低下させてしまうので、排卵がうまくいかず生理不順につながることもあります。

月経はあらゆる器官が連携してコントロールしている現象なので、体や精神に大きな変化があると、すぐに影響を受けてしまうのです。

その他の生理不順の原因

ストレスと肥満が生理不順に原因になり得るとお話ししましたが、それ以外にも考えられる原因はたくさんあります。

精神的ストレスだけでなく、身体的ストレスも生理には悪影響を与えます。過度なダイエット、激しすぎるスポーツは、生理不順や無月経を引き起こします。体は極端な栄養不足・疲労におちいると、生命維持のための器官を優先するために、生殖機能は後回しにするからです。思春期の無理なダイエットをしている人や、女性アスリートによくみられる症状です。また、睡眠不足や過労、体の冷えといった生活習慣も生理不順につながることがあります。

ストレスや生活習慣以外では、病気が原因になることもあります。子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜炎、子宮がん、ポリープ、卵巣嚢腫(のうしゅ)、卵巣チョコレート嚢腫といった子宮や卵巣の病気、甲状腺ホルモンの病気、糖尿病などが挙げられます。

このように、生理は女性の心と体のバロメーターとなっています。基礎体温を測定すれば、排卵の状況を簡単にチェックする事もできます。少しでもおかしいと思ったら、迷わず婦人科を受診するようにしましょう。

生理不順の原因や症状についてご紹介しました。生理不順に不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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