結節性痒疹の原因、症状、治療、予防可能性 激しいかゆみ?1年以上症状が続く?

  • 作成:2016/10/14

結節性痒疹とは、手や足の皮膚に、激しいかゆみを伴うしこりができる病気で、しこりをかいて壊してしまう行為が続くと、年間単位で症状が続くことがあります。原因や治療、予防方法を含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

結節性痒疹は激しいかゆみが特徴?

結節性痒疹(けっせつせいようしん)とは?

結節性痒疹は、皮膚に激しいかゆみを伴う硬いしこり(結節)がたくさんできる病気です。しこりができる部位としては肘下や膝下が多く、青年期の女性に好発します。

結節性痒疹の原因は?

結節性痒疹の原因は、何らかの刺激に対する皮膚の炎症反応であると考えられています。原因となる刺激としては、虫刺されや物理的な刺激、食物やヒスタミンなどの内因性物質が挙げられますが、不明な場合もあります。

若い女性の場合、虫刺されによるアレルギーが関与している場合が多く、虫に刺される機会の多い夏に発症、悪化します。しこりが、肘下や膝下に多いというのも、露出が多く虫に刺されやすいからではないかと考えられています。

また、結節性痒疹は虫刺され以外にも、糖尿病、尿毒症、肝障害、血液系悪性腫瘍、内臓悪性腫瘍などの基礎疾患に伴うことがあり、基礎疾患に伴うタイプのものは、高齢者にしばしば見られます。かゆいからといってかいたり、かさぶたをむしったりしてしまうと、ますます悪化してまたかいてしまうため、この繰り返しで症状が十年以上続く場合もあります。

激しい痒みにより、日常生活に支障を来すこともあり、難治性の皮膚疾患のひとつと考えられています。

結節性痒疹の症状は?

結節性痒疹の症状としては、まず、かゆみを伴う小さなブツブツが出現し、かいているうちに米粒から小豆(あずき)大の大きさになります。

表面は角質(皮膚の表面にある死んだ細胞の層)が増えて厚くなり、やがてざらざらしたイボ状のしこりになります。この、しこりを掻きこわしてしまうと、びらん(皮膚がただれたもの)やかさぶたを形成し、次第に暗褐色の硬いしこりへと変化します。

暗褐色のしこりに激しいかゆみを伴うため、再びかきこわしてして、びらんが形成されるという過程が繰り返され、症状が慢性化します。

なお、蕁麻疹などと違い個々のしこりは独立しており、しこりどうしがくっついてしまうことがないのが結節性痒疹の特徴です。

「結節性痒疹?」なら何科へ?

結節性痒疹は皮膚の病気であるため、まずは皮膚科に行くことをお奨めします。かゆみを伴う疾患は多くあり、他の疾患と間違いやすいので、症状が続くようであれば専門家に診てもらうと良いでしょう。

結節性痒疹の診断

診断は症状から行います。結節性痒疹をかきこわしたあとは、中央が白く周囲が褐色の色素沈着を伴い、「痒疹瘢痕(ようしんはんこん)」と呼ばれています。痒疹瘢痕が認められれば、かつて痒疹があったことがわかるため、診断しやすいとされています。診断にあたり、特別な検査はありませんが、何らかの全身性の病気が背後に隠れていることもあるため、それの可能性を探ることが必要です。

特に中年以降に出現した痒疹は上述の通り、糖尿病、尿毒症、肝障害、血液系悪性腫瘍、内臓悪性腫瘍などの結果として、皮膚の病気として出現している可能性があるため、注意が必要です。

結節性痒疹の治療

治療は、ステロイド外用薬(塗り薬)を単純にぬるか、「ODT(密封療法)」を行います。場合によっては、免疫抑制剤の塗り薬を使うこともあります。

ODTは、皮膚に軟膏やクリームを塗った後、ポリエチレンなどのラップフィルムでおってって密封する治療方法です。その他、「亜鉛華軟膏シート」というものを、重ねて貼り付ける方法も有効とされています。

治療は長期間続きますので、ステロイド外用薬は、しこりの部分にのみつけるようにするのが、副作用を避ける有効な手段となります。周辺にまで広く塗っていると、周辺の皮膚がへこんでしまうことがあります。

また、内服薬(飲み薬)として、抗ヒスタミン薬を使用する場合もあります。

全身に病変が存在する場合、光線療法も行われます。光線療法には、「ナローバンドUVB療法(波長311nmに鋭いピークをもつ紫外線B波を照射する方法)」や「PUVA療法(光感作物質であるソラレンの内服または外用後に波長320nmから380nmの紫外線A波を照射する方法)」があります。

重症例の方では、「ステロイド」や免疫抑制薬である「シクロスポリン」の内服を短期間行うこともあります。特にシクロスポリンの内服により、かゆみが短期間で治ることがあります。

難治性の場合には、注射でステロイドを局所に注入する方法や、「凍結療法(液体窒素などを用いて低温で細胞を凍結させる治療方法)」を行います。

結節性痒疹を疑ったら何科に行くべき?予防方法は?

結節性痒疹は原因が不明な場合も多く、確実な予防策はありません。しかし、結節性痒疹は虫刺されや物理的な刺激により起こりうるため、皮膚を刺激から守ることが大切と言えます。特に夏には虫刺され対策をしっかりと行いましょう。

また、虫にさされたところが数日経っても残っているようなら、早めに皮膚科を受診して適切な強さのステロイド外用剤を塗るようにするのが良いでしょう。

また、結節性痒疹は症状が10年以上続く場合もあります。かゆみのために睡眠障害に陥るなど、日常生活に支障をきたす場合もありますので、かゆみ止め対策をしっかり行いましょう。かきこわすとますます悪化するので、かゆみのコントロールが重要なわけです。

結節性痒疹についご紹介しました。身に覚えのない皮膚症状に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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