妊娠初期の病院での検査 何を確認する?エコーはいつから有用?

  • 作成:2016/10/13

妊娠初期の検査は、よく知られているように、はじめは市販の妊娠検査薬をつかいます。そのあと、赤ちゃんの状態の変化や、妊娠に与える病気がないかを、医療機関でチェックすることとなります。どのような検査があるのかや、流れについて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

妊娠初期の病院での検査はどんなもの?

妊娠検査薬はいつから使える?

「妊娠かな?」と思った時に、まず手にするとよいのは妊娠検査薬です。妊娠検査薬は、妊娠すると分泌が始まる「hCG(絨毛性性腺刺激ホルモン)」を検知することによって妊娠がわかるしくみになっています。一般的に市販されている妊娠検査薬は、hCGが「50mIU/ml」を超えると反応します。

妊娠してから、hCGが50mIU/mlに達するのは、ちょうど生理予定日のあたりです。しかしhCGの増加ペースには個人差があり、生理日が予定日からずれる可能性を考慮して、妊娠検査薬の説明書には「生理予定日の1週間後」と記載されています。

よって「妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から使える」という結論なのですが、生理周期が不規則な人や周期を把握していない人は、生理予定日がはっきりしません。その場合、前回の生理開始日に、「前回の開始日から前々回の開始日をひいた日数」を足した日付を生理予定日としてください。

たとえば前々回の生理開始日が9月1日、前回が9月25日の場合、生理予定日は9月25日に24日足した10月19日です。妊娠検査薬はその1週間後、10月26日ごろから使えるということになります。

生理周期も前回の生理開始日も分からない場合、性交日+3週間後が目安になります。妊娠検査薬は使うのが早すぎると、妊娠しているのに陰性になる「フライング検査」になってしまいます。タイミングが不安な場合は、なるべく時間をおいてから検査するようにしましょう。

病院を受診するタイミング、診察の流れ

妊娠検査薬で陽性が確認されたら、なるべく早く産婦人科を受診してください。というのは、妊娠をしていることは確実なのですが、正常ま妊娠だとは限らないからです。「子宮外妊娠」「胞状奇胎」「流産」といった異常妊娠でも、妊娠検査薬は陽性反応をします。そのまま放っておくと危険なので、病院で正常妊娠かどうかを確認してもらう必要があります。

初めての診察の流れは、問診→尿検査→触診・内診→超音波検査です。

問診では年齢、身長、体重、過去にかかった病気、妊娠・出産・流産・人工中絶の経験、アレルギーの有無などが聞かれます。触診ではお腹を触ることで、外から子宮の状態をチェックします。内診では、腟の中を直接触り、子宮や卵巣の状態を調べます。

妊娠初期の超音波検査(エコー)は、腟の中に装置を挿入する「経腟(けいちつ)超音波検査」が一般的です。子宮が大きくなってくる10週から12週ころから経腹(けいふく)超音波検査に切り替えられます。超音波検査では赤ちゃんの状態や卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)などの有無を調べることができます。

妊娠を確認するための検査はどんなもの?

まず、尿検査で妊娠反応をみます。ほとんどの人は市販の検査薬でチェック済みですが、確実性期すために医療用の妊娠診断補助試薬を使います。

妊娠反応が確認されたら、超音波検査(エコー)で赤ちゃんの部屋である胎嚢(たいのう)があるか確認します。経腟超音波検査で、胎嚢が確認できるのは妊娠5週ころです。

さらにすすんで妊娠6週から7週ごろになると、胎児になる前の赤ちゃんである胎芽(たいが)が見えるようになります。

胎芽が確認されたら、心臓の拍動(心拍)があるか調べます。心拍は、超音波装置の画面で胎芽の胸のあたりが、「ぴくぴく」と動いているかどうかを確認することになります。ただ、正常妊娠の場合、経腟超音波で心拍が確認できるのは、妊娠7週までごろとされています。ドップラー装置でお腹の上から心音を聴けるようになるのは、妊娠12週を超えるころになります。

妊娠7週か8週ごろには、胎芽の大きさをはかり、出産予定日を決定します。それを受けて、母子手帳を取りに行くよう言われるのもこの時期です。これによって、あらためて正常妊娠が確定します。

妊娠初期の検診はどんなもの?何をする?

妊娠確定後の妊娠初期には、赤ちゃんの状態以外にもさまざまな検査をします。

まず、子宮頸がんのスクリーニング検査です。妊娠時に子宮がんが見つかると深刻な問題になりますので、初診の時に検査する医師が多いようです。また、クラミジア、淋病など性感染症にかかっていないかもチェックします。

血液検査では、血液型検査、貧血、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、風疹、HIV検査、ヒトT細胞白血病を起こすウィルス(HTLV-1)の検査、糖尿病、不規則抗体スクリーニング(母子間の血液型不適合)などを検査します。これらは、一度の採血で検査できます。

また、任意の場合もありすが、トキソプラズマ検査、サイトメガロウイルス検査も同時におこなう病院もあります。

妊娠初期は気分も落ち着かない状態で、さまざまな検査をするのでつい医師に任せきりになってしまいますが、分からないことは遠慮せずに質問し、受け取った検査結果や写真などはしばらく保管しておきましょう。

妊娠初期の検査についてご紹介しました。「妊娠したかもしれないが、何をすればよいかわからない」と不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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