妊娠初期の仕事、乗り物、娯楽の可否 飛行機、温泉、立ち仕事は?自転車、ライブ、海水浴なども解説

  • 作成:2016/04/01

妊娠初期には、今まで気にもかけなかったようなことが気になることがあるかと思います。仕事の考え方や、飛行機、自動車などの乗り物、ジェットコースター、ライブ、温泉など娯楽の考え方について、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

平松晋介 監修
ちくご・ひらまつ産婦人科医院 院長
平松晋介 先生

この記事の目安時間は6分です

妊娠初期の飛行機は基本OK

妊娠初期の立ち仕事は問題がある?

日本産科婦人科学会では、「妊娠初期の仕事や運動が原因となり、流産することはない」との見解を示していて、ほとんどが受精卵の染色体異常が原因と考えられています。ただ、医師の間でも意見がわかれている問題です。

妊婦の働き方に対する社会や職場での理解や受け入れがまだ少ないことも大きな問題です。妊娠中の働き方には、本人の体力にも関係してきます。立ち仕事をしていてもまったく問題ない方もいます。しかし、妊娠初期あるいは妊娠中のすべての女性に対して、働き方についても十分配慮が必要です。なぜならば、母体の身体的疲労やストレスが流産を引き起こす可能性があるためです。

ある医師らの研究では、リスクの高い働き方として、「立ち仕事」「長時間労働」「ストレスが多い」「自分の意思で休めない」の4つをあげています。こういった働き方をしていても約80%の方では問題なく出産していますが、約20%の方では、流産、早産、妊娠高血圧症候群、低出生体重児などを引き超しているという研究結果があります。そういった働き方を強いられている妊婦では早産のリスクが高く、うち約30%では勤務配慮を受けていなかったために流産したという報告があり、また妊娠12週以降の流産では働き方の影響を受けていた方が約12%もいたという結果が出ています。したがって、「働き方が原因による流産はない」とも言い切れない状況です。

妊娠初期は仕事を休む必要がある?

妊娠中に仕事を休む必要がある場合は、当然体調が悪い時やつわりがひどい時ですが、それ以外にも、毎回の妊婦健診には必要な時間(半日休暇でも大丈夫です)をしっかり確保してください。厚生労働省が各地に設置する「労働局雇用均等室」には、勤務配慮を受け入れられず体調を崩したという妊婦が多くやってきています。妊娠がわかったら勤務先に速やかに報告し、その後の必要な手続きや働き方について、相談するようにしましょう。そして、是非「母性健康管理指導事項連絡カード」を利用してください。このカードは、働く妊婦が、医師から指導を受けた際に、内容を的確に企業側に伝えるものですので、妊婦に対する理解がえられ、そして上司や企業とのやり取りもスムーズになります。職場や企業側の理解を得るために、厚生労働省が委託して作成している「母性健康サイト」(http://www.bosei-navi.go.jp/)では、妊婦の働き方への取り組みの説明が詳しく掲載されていますので、是非参考にしてください。不必要な流産のリスクを省くためにも、妊娠中の働き方の見直しも重要です。

妊娠が原因で入院する場合とは

妊娠が直接の原因となって入院する場合があるのは、「重症妊娠悪阻」、つまり、つわりの症状が重症化した場合です。重症のつわりでは、脱水症状、急激な体重減少、飢餓状態、乏尿、代謝性アルカローシス(嘔吐による胃液喪失が原因)、体温上昇などが継続することから、肝機能障害や脳神経障害が起こる危険性が高くなるため、多くの場合入院し医師の管理下で治療をすることが必要になります。重症妊娠悪阻は胎児には影響はありませんので、過度の心配をせず、医療機関で適切な治療を受けてください。

妊娠初期の乗り物について

妊娠初期でも、様々な乗り物に乗ることがあると思います。乗り物に対する考え方を紹介します。

飛行機:産婦人科では、基本的に妊婦自身の責任で飛行機を利用することに問題はないとしていますが、気圧が下がる機内では腹痛や子宮収縮を引き起こすリスクもあるといわれており、一般的に母体に負担がかかる妊娠初期のつわりで体調が悪い時期の飛行機の利用は避けたほうが良いといわれます。また、航空機内は空気が乾燥しており、「深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)」を発症する可能性があります。十分な水分補給と、できれば2時間から3時間毎の離席をお勧めします。なお、ボーイング社の最新の飛行機である「B787型機」では、気圧の低下はありませんので、心配は少なくなっています。妊娠12週目から28週目ころの飛行機の利用は問題ないといわれています。妊娠初期でも、仕事、休暇、里帰りなどで飛行機を利用する場合は、念のためかかりつけの医師に話しておきましょう。旅行中にトラブルがある場合のことを考慮し、予約時に航空会社に相談し、必ず母子手帳と保険証を持っていくようにしましょう。

妊娠経過が順調な場合は、妊娠初期の海外旅行も問題ありません。航空会社には必ず予約時に妊娠中であることを知らせてください。妊娠週数によっては、搭乗を断わられたり、医師の同伴を求められる事があります。また、旅先で体調が変化することもありますので、現地の緊急連絡先や病院への連絡方法などは事前に準備しておき、とっさのときに慌てないようにしておきましょう。

なお、日常的に航空機を利用する方では、被爆量が増加すし、流産などのリスクが上がる可能性があると考えられます。妊娠中には、考慮が必要かもしれません。不安な方は、医師に相談してみると良いでしょう。

自動車:妊娠初期での自動車の運転は特に問題ありません。ただし、体調が悪い時やつわりの時期には、自身の体調を考えて、運転しても大丈夫かどうか判断してください。長時間運転をしなければならない場合は、休憩をとりながら安全運転をこころがけてください。

自転車:妊娠初期の自転車の利用も特に問題ありません。振動が気になる方もいるようですが、特に問題はありません。

医師から絶対に安静にしているように指示されている場合をのぞき、妊娠経過が順調であれば、妊娠初期の乗り物の利用については、どの乗り物を利用するにしても、まず「つわりを含め自分の体調」を考えて、判断してください。妊娠中の体力やかかえる事情は、人それぞれです。「周囲が大丈夫と言っていたから」と安心せず、まずは自身の体調を優先して決定しましょう。

妊娠初期のレジャーについて プールや温泉、ライブなどの考え方

妊娠初期でも、気分転換を兼ねて、さまざまな場所に出かけることもあるかと思います。妊婦の方が気にしそうな項目について、ご紹介します。

ライブ:好きなミュージシャンのライブには足を運びたいのですが、ライブハウスは換気が十分でない場合、時間が経過するにつれ照明や熱気の影響もあり、室温が高くなる傾向があります。すると、汗を多量にかき、脱水症状を起こし、飛び跳ねているのと同じくらい激しい運動に匹敵するような状況にもなりかねません。妊娠初期では激しい運動は避けたいのが実情ですが、妊娠経過が順調な場合、ご自身の判断でライブハウスへ足を運んでも問題はありません。その際には、体調が悪くなったらライブハウスから出る、水分補給をする、ゆっくり休むなどの対応をして、無理しないようにしましょう。

ジェットコースター:妊娠初期にジェットコースターに乗ることは、禁止されていませんが、基本的に、つわりや体調が悪い時にジェットコースターに乗るのはやめておきましょう。妊娠経過が順調でも、かかりつけの医師から絶対に安静と指示されていなくても、妊娠中のジェットコースターは避けている妊婦の方が多いです。

プール:基本的に安定期にはいってからプールでの水泳は問題なく、またマタニティスイミング教室も人気です。ただ、妊娠初期のプールの利用については、まずかかりつけの医師に相談してみましょう。一般的に、公共のプールは、感染症に感染しやすくなっており、妊娠初期では免疫力が低下しているため、なるべく公共のプールの利用は避けたほうがよいでしょう。

海水浴:海水の水は、冷たく全身の体温が下がり、身体が冷えるため、妊娠初期の利用はできるだけ避けたほうがよいといわれていますが、妊娠経過が順調でつわりもなく体調が良ければ、妊娠初期での海水浴も特に問題はありません。ただし妊娠中は「プロゲステロン」というホルモンの分泌が増加えて、日焼けしやすくなっていますので、ビーチサイドでも日焼け止め対策は万全にしてください。また暑さによる熱中症や脱水症状を引き起こさないように水分補給もまめにするようにしましょう。

温泉:妊娠初期の温泉も特に問題はありませんが、温泉のお湯の温度は比較的高めの場合が多いため、長湯は避けましょう。また、歩行中にタイルで滑って転倒しないよう注意し、入浴後は水分補給をしっかりとってください。国内の温泉なら、お湯に含まれている成分が母体や胎児に影響することはありません。

岩盤浴:岩盤浴の遠赤外線は胎児への影響はありません。ただし、岩盤浴では大量の汗をかきますので、のぼせや脱水症状には十分気をつけてください。温泉利用でも同じことがいえますが、長時間利用はなるべく避け、タイルで滑って転ばないように細心の注意をはらってください。

妊娠初期の仕事やレジャーについてご紹介しました。妊娠初期の生活に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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