アトピー性皮膚炎の時の生活 乾燥、汗、脱毛、タバコは危険?運動、プール、温泉、睡眠の注意点は?

  • 作成:2016/04/14

アトピー性皮膚炎は、どのようなものでアレルギーが起きて、皮膚炎が悪化するかわかりづらい側面があるため、生活の中でも、注意すべき点が多いのが実情です。入浴や運動から脱毛まで、生活上の注意点を、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は6分です

アトピー性皮膚炎の時、運動はどうする?
アトピー性皮膚炎は乾燥で悪化する?悪化しないための対応
冬や入浴の注意点
アトピー性皮膚炎は汗で悪化する?悪化しないための対応
アトピー性皮膚炎で運動してもOK?
アトピー性皮膚炎でプールや海水浴はしてもよい?注意点はある?
アトピー性皮膚炎で温泉に入ってもよい?注意点はある?
アトピー性皮膚炎のとき洗濯洗剤の注意点
アトピー性皮膚炎と睡眠 手袋はすべき?布団にも注意が必要?
アトピー性皮膚炎で脱毛してもOK?
アトピー性皮膚炎に体質改善は効果がある?
アトピー性皮膚炎とタバコの関係 タバコで悪化する?
アトピー性皮膚炎はアロマで改善することがある?

アトピー性皮膚炎は乾燥で悪化する?悪化しないための対応

アトピー性皮膚炎は皮膚の乾燥で悪化しますから、カサカサした皮膚には保湿剤を塗るのが合理的です。保湿剤については、べたつきのない使用感の良いタイプは、皮膚炎の悪いところに塗ると刺激となって皮膚炎が悪化しやすいです。使用感の悪いベタベタしたタイプは状態の悪い皮膚においても安全性が高いため、皮膚の状態に合わせて使い分けるのが良いでしょう。また、保湿剤のクリームやローションにかぶれを起こして、アトピー性皮膚炎が悪化することもあるので注意が必要です。かぶれは、使用開始後、しばらくしてから起こることもあるということを覚えておきましょう。

治療に、ステロイド軟膏やタクロリムス(プロトピック)軟膏を使っているときは、軟膏そのものに保湿作用がありますので、さらに保湿剤を塗る意味はあまりないと考えられます。ただ、炎症を抑える薬をつけない部分には保湿剤を塗るのは良いことです。

冬や入浴の注意点

またプール上がりなどに何のケアもしないと乾燥しますから、保湿剤を広く塗るのが良いでしょう。冬季には皮膚が乾燥して、かゆみが出やすいですから、特に注意してください。なお冬に、部屋で加湿器を使っていると、夜間に窓や窓枠に結露して、カビが生えてしまうことがあります。カビはアレルギーの原因となるだけではなく、肺にもトラブルを起こすことがありますので、注意してください。

また硬いタオルやスポンジで皮膚をこすると、皮膚の表面の角質が必要以上にとれてしまいます。角質は皮膚を乾燥から守る働きを持っています。入浴の時は柔らかくそっと洗うのが、乾燥を防ぐポイントです。

また、使ったタオルやスポンジ類を風呂場でお乾かすのはやめましょう。細菌が増殖して、皮膚に細菌が感染する原因となります。

アトピー性皮膚炎は汗で悪化する?悪化しないための対応

古くから、アトピー性皮膚炎は、汗のたまりやすい部位にできやすいことは知られています。また、汗の中にアトピー性皮膚炎を悪くする物質が存在することも確認されていますから、汗をかいたら早めに入浴したりシャワーをして、皮膚を清潔に保つのが良いでしょう。あまり熱くないお風呂にゆっくりつかることも、ストレス解消になります。ただ、1日に何回も石鹸で洗ったり、タオルで皮膚を強くこすって刺激すると、皮膚炎を悪化させてしまいますので注意が必要です。

アトピー性皮膚炎で運動してもOK?

汗をかくような運動をすると、アトピー性皮膚炎に悪い影響が出るということはありません。また汗をかかないようにしておくとアトピー性皮膚炎が治るということでもありません。適度な運動は体に良く、ストレス解消にも役立ちますので、アトピー性皮膚炎の方でも、適度な運動はお勧めできます。しかし、スキンケアのために、運動後は早めにシャワーなどで汗を流すようにした方が良いでしょう。

アトピー性皮膚炎でプールや海水浴はしてもよい?注意点はある?

プールの塩素を心配している方もあるかもしれません。しかし、バスタブに塩素を少量入れて入浴することにより、皮膚に常在する「ブドウ球菌」という菌が減少して、皮膚炎も良くなったいう研究が公表されていますから、特にしみて困るということでないならプールを避ける必要はなさそうです。海水浴についても、海水により症状が改善したという報告もあるため、特に制限する必要はありません。過度な日焼けには注意してください。

アトピー性皮膚炎で温泉に入ってもよい?注意点はある?

現時点で、温泉で悪くなるということはなさそうです。温泉でリラックスすると、ストレスがとれて良い影響が出ることもあるかもしれません。しかし、一日に何回も入浴して、度々石けんたシャンプーを使うと、皮膚を痛めます。硬いタオルで強くこすることも皮膚炎の悪化、色素沈着につながります。

アトピー性皮膚炎のとき洗濯洗剤の注意点

冬季には水温が下がっていますから、全自動の洗濯機で洗っているとすすぎが不十分になりやすいので注意してください。洗剤や柔軟剤の成分が衣服に残っていると、衣服が皮膚に密着する背部や胸部などで、アトピー性皮膚炎が悪化することがあります。洗剤に配合されている酵素などにも注意が必要になります。冬季には洗剤を少なめに入れるか、皮膚に密着する下着などのすすぎの回数を増やすようにしてください。

アトピー性皮膚炎と睡眠 手袋はすべき?布団にも注意が必要?

充分な睡眠をとるということは健康な生活を送るうえで大切なことです。無意識に爪で皮膚をかいてしまうことを防ぐために、眠る時に綿の手袋をしたり、長袖、長ズボンのパジャマを着用するということを試してみても良いでしょう。布団には、チクチクしないようなカバーをつけましょう。枕には毎日洗濯した清潔な柔らかいバスタオルを巻いて使うのも良いでしょう。ダニのアレルギーを持つ人では防ダニ性能のある布団カバー、枕カバーも市販されていますが、それでアトピー性皮膚炎が良くなるかどうかの十分なデータはまだありません。布団や枕はよく乾燥させて、カビの繁殖を防ぐように心がけてください。

アトピー性皮膚炎で脱毛してもOK?

すねなどにおいて、頻繁にカミソリで毛をそって皮膚を刺激して、アトピー性皮膚炎の悪化を繰り返すということがあります。除毛クリームによる脱毛でも、クリームの刺激でアトピー性皮膚炎が悪化することがあります。毛抜きで抜くという方法も、毛包炎が起きてしまうことがあります。慢性的に軽い炎症が継続すると、多毛になることがありますから、ムダ毛の処理には配慮が必要です。

皮膚への刺激を考えると、レーザーなどで脱毛処理を行ってしまうことが皮膚炎の改善につながることもありそうです。レーザー治療の直後に赤くなるという反応は、冷やしておくとおさまります。しかしレーザーの処理を受けてから、2日から3日後、赤いブツブツが多くできるようなら、ステロイド外用剤などによる治療が必要です。放置すると、痒みがあってかいてしまい、アトピー性皮膚炎が悪化することがあります。レーザー脱毛は、メリットとリスクがありますから、エステサロンではなく医療機関で脱毛処理をすることをおすすめします。

アトピー性皮膚炎に体質改善は効果がある?

学問的にはアトピー性皮膚炎になりやすい体質は遺伝子により決まっていると考えられており、医師に尋ねれば、「体質改善は今のところ無理です」と答えることが多いでしょう。しかし、「ゆったりとした気持ちで過ごし、適切なスキンケアをすればアトピー性皮膚炎が軽くなるでしょうか」という質問であれば、ほとんどの医師は「はい」と答えるでしょう。今のところそれを体質改善と考えてください。現時点では、それ以上の「体質改善」を科学的に期待するのは難しいです。

アトピー性皮膚炎とタバコの関係 タバコで悪化する?

家族の吸うタバコの煙を吸い込むことにより、子供がアトピー性皮膚炎を発症する危険性が高くなるという研究報告があります。また妊娠中および授乳中に母親がタバコを吸うと、子供のアトピー性皮膚炎の発症率が高くなるという報告もあります。アトピー性皮膚炎とタバコの関係については、明確な結論はまだ得られていませんが、タバコは、肺がんをはじめとして重大な病気との関連が指摘されているなど、アトピー以外の他の面でも健康に悪影響があるため、お勧めできません。

アトピー性皮膚炎はアロマで改善することがある?

アロマ(香料)が健康に何らかの影響を与えることはありそうですが、アトピー性皮膚炎を改善するかどうかについての科学的研究は十分ではありません。一方、ある種の香料がアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)となることは、化粧品による皮膚炎の研究で明らかになっています。特に精油(エッセンシャルオイル)を皮膚に塗るのは、アレルギー症状を引き起こす可能性が高くなるため、決してお勧めできません。


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アトピー性皮膚炎の時の生活上の注意点についてご紹介しました。アトピー性皮膚炎の発症や改善に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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