水いぼの治療と治療期間 ピンセットの使い方は?潰してOK?

  • 作成:2016/05/26

水いぼは自然に治る可能性のある病気ですが、ピンセットを使って自分で処置することも可能です。「潰す」という処置が良いのかや治療期間、硝酸銀など各種薬や物質を使った治療の効果などと合わせて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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水いぼをピンセットでどうとる?

水いぼの治療期間の目安

水いぼの場合、治療方針によって、治療期間は変わってきます。水いぼは免疫が著しく低下する病気がなければ、数か月から数年で自然治癒する疾患ですから、自然治癒を待つということなら、治療期間は数カ月から数年ということになります。この場合、低年齢であるほど治癒するまでの期間は長く、ピーク時の水いぼの個数は多くなる傾向があります。

ピンセットで取るという治療方針の場合では、頑張って治療ができればその日のうちにとれて、通常翌日にはかさぶたがついて出血することはなく一旦治癒という状態になります。しかし、あまりにも水いぼの数が多い時には数回に分けて取ることになるでしょう。

その他、「硝酸銀(しょうさんぎん)」という物質を塗って水いぼを腐食(ふしょく、腐らせて形を崩すこと)させて取る治療、液体窒素を使って瞬間的に水いぼを凍結させて取る治療、魚の目の治療でも使う「スピール膏」という角質を柔らかくするテープ剤を貼って水いぼを剥がして取る治療などが試みられていますが、最も治療期間が短いのはピンセットで取る治療法です。硝酸銀の治療では1回の治療後1週間程度で、水いぼはかさぶたとなって治ることが期待できます。液体窒素による治療では2週間おきに処置を受け、数回の治療で治ることもあります。スピール膏の治療では何回か貼ってはがすという治療を繰り返すと治ることがあります。液体窒素やスピール膏の治療効果は、不確実で、あまり効果のないこともあります。

「水いぼを潰す」はOK?

水いぼは自然治癒を待つか、ピンセットで潰して治療するのが一般的です。ただ、ピンセットでとる治療は、痛みが伴うため、子供にとっては苦痛となります。特に多数の水いぼができている場合は、それを一度に取ることは小さい子供にとっては耐え難い苦痛となります。水いぼが自然に治る病気であることを考えると、家庭で無理して取る必要はないと考えられます。無理して取ると、子供が痛みのために暴れて、思わぬ事故を起こしたりすることもあります。

痛みを伴うのは医療機関での治療においても同じですが、医療機関では処置の前に麻酔薬のテープ剤を使うことができます。このテープを貼ってから処置を行うと痛みはかなり減りますから、水いぼが少ないうちであれば、治療は難しくはありません。水いぼの数が余り増えないうちに受診するのが良いでしょう。

また、水いぼが1個しかない時に自宅で潰すのはやめましょう。水いぼに見えても他の疾患であることがあります。悪性腫瘍であった場合は一度潰れても必ず再発しますが、潰してしまったことで治療の機会が遅れてしまうことになります。医療機関で処置をすると、潰した時に中から水いぼ特有の「芯」が出なかった場合は、医師は水いぼ以外の可能性を考えなおすことになります。

水いぼはピンセットで対応できる?芯をとる?

水いぼはピンセットでつまんで中の芯を出してしまうと治ります。小さい傷ができますが、通常翌日にはかさぶたがついて出血することはないでしょう。芯の一部が残るとやがて再発することもありますが、少し残っていて程度なら治ってしまうこともありますから、一度取ったらしばらく様子を見ておくことをお勧めします。ピンセットでつまんで取る時には痛みがありますので、多発していて1回の治療で全て取ることが難しい場合には数回に分けて取ることになります。なお、治療の前に1時間ほど局所麻酔のテープ剤を貼っておくと痛みが軽減し、麻酔が良く効いた時にはほとんど痛みがなくなることもあります。局所麻酔のテープ剤は1回に2枚まで使うことができますが、以前に麻酔薬でアレルギーを起こしたことがあったり、テープにかぶれる体質である場合は担当医に知らせるようにしてください。

なお、水いぼを治療しても、しばらくすると他の部分に出てくることもあります。ウイルスが皮膚に付着していても、明らかな水いぼとなるためには時間がかかるためです。再発した際は、あまり数が増えないうちに受診しましょう。

水いぼに硝酸銀は効果がある?どのように使う?

「硝酸銀」という物質が皮膚につくと、皮膚は腐食して黒くなります。硝酸銀を水いぼに塗ると、この腐食効果で水いぼが潰れて治るのですが、硝酸銀が付着した皮膚は水いぼがない部分も反応しますから、思わぬところに黒くなる変化が生じることがあります。食塩水で拭き取ると反応は止まりますが、拭き残しがあって硝酸銀が長く皮膚についてしまうと皮膚に深いキズができてしまって、傷跡が残ることがあります。また処置の際に目に硝酸銀が入るととても危険です。硝酸銀が衣服につけば、衣服が腐食してしまいます。痛みが少なく即効性があるため、硝酸銀を使って水いぼを治療している医療機関もありますが、トラブルについても気を使う必要のある治療です。

水いぼにスピール膏は効果がある?どのように使う?

スピール膏は、魚の目やタコができた部分に貼って、角質をやわらかくして魚の目やタコをとるという治療薬です。これを応用して水いぼを治療することがあります。水いぼの部分にスピール膏を小さく切って貼り付けておいて、イボの表面が柔らかくなってスピール膏を剥がす時に一緒に取れることを目指します。うまく取れないこともありますし、水いぼの芯が残ってしまうことがあって、うまくいくとは限らないのですが、ピンセットで取る時のような痛みが無いのが最大のメリットです。大きく貼って、水いぼの症状が出ていない部分への影響が大きくなると、周辺の皮膚まで軟化して細菌感染を起こすこともありますから、水いぼの大きさに合わせて切って貼って行くことが必要です。

水いぼに液体窒素は効果がある?どのように使う?

液体窒素は「尋常性疣贅(いぼ)」という「パピローマウイルス」というウイルスが原因となっているいぼでは一般的な治療になっています。マイナス196度の液体窒素で瞬間的に凍結させて、イボのできた皮膚を変性させてイボが取れるのを期待しています。尋常性いぼではうまくいくことが多いのですが、水いぼは奥に芯があってそれが残ると再発しやすいという性質があるためか、液体窒素による治療の効果は不確実です。また、液体窒素による治療もやはり痛いという欠点があることもあって、水いぼでは余り一般的な治療方法ではありません。

水いぼにリンデロンなどのステロイドは効果がある?

水いぼができると、その周囲の皮膚に炎症が起こることがあります。水いぼに対する反応のために生じた皮膚炎で、カサカサして少しかゆみがあり、軽度の赤みが出てくることもあります。かさかさした部分を触ると少し皮膚が硬くなっているのがわかります。この皮膚炎の部分を放置しておくと、かゆくてかいてしまって、水いぼをさらに周辺の皮膚にうつしてしまうことになります。

水いぼの周辺に生じた皮膚炎にはステロイド(「リンデロンV」など)の塗り薬が有効です。ステロイドの塗り薬は、水いぼ自体には効果はなく、むしろ長期間塗ると水いぼは悪化しますから、水いぼの周辺部に生じた皮膚炎の部分にだけステロイド剤を塗るようにしましょう。小児の「湿疹」の一部は、水いぼに反応して生じたものです。もし小児の「湿疹」をステロイドで治療して治ってきた一部に、水いぼとわかるものが出てきたら、その水いぼ自体にはステロイドは塗らないようにして、周辺部の皮膚炎にのみ塗るようにしましょう。

水いぼにイソジンは効果がある?どのように使う?

イソジンは一般的な消毒剤で、有効成分は「ポビドンヨード」と呼ばれるものです。ポビドンヨードは各種細菌、一部のウイルスに対して有効で、イソジン消毒液はピンセットで取った後の傷に細菌感染が起こるのを防ぐために処方されることがあります。

ただ、水いぼの原因となる「伝染性軟属腫ウイルス」に、ポビドンヨードが有効であるかどうかは示されておらず、水いぼにイソジンを塗って、数が減るかどうかについても十分な医学的な検討はありません。イソジンを長期間、特に炎症のある皮膚に塗る続けると、アレルギーとなる危険性があることがわかっていますから、注意が必要です。また、イソジンの使用にあたっては、ヨードが甲状腺ホルモンの原料となることから、甲状腺の働きに異常がある方は医師に相談する必要があります。

水いぼにヨクイニンは効果がある?

「尋常性いぼ」や「青年性扁平いぼ」という種類のいぼには、以前から「ヨクイニン」というハトムギエキスの漢方薬を飲むことが健康保険で認められており、治療実績があります。ヨクイニンには免疫力を高めて異物であるウイルスを排除する作用があるとされています。しかし、水いぼにヨクイニンが効くかどうかについては、十分な研究がなされていません。また、ヨクイニンは小児には飲みにくい漢方薬であり、使用された実績が少なく、安全性は確立していないとされています。

水いぼに木酢液は効果がある?

木酢液は、医薬品ではないのため、安全性の面での検討は全く行われていません。さらに水いぼに木酢液を塗ることによる効果は根拠がなく、水いぼに木酢液を塗ることはお勧めしません。

水いぼに紫雲膏は効果がある?

水いぼに紫雲膏が効果を持つかどうかは不明で、健康保険での投与も認められていません。かぶれるリスクもあり、水いぼの治療にために紫雲膏を塗ることはお勧めできません。


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水いぼの治療や治療期間、処置方法などについてご紹介しました。皮膚の症状に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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