アニサキス症の潜伏期間、症状、自然治癒可能性 アレルギーにも?

  • 作成:2016/06/09

アニサキス症は、原因となる幼虫が潜り込む部位によって、2種類あり、潜伏期間が異なります。症状や自然治癒すうる可能性を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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アニサキス症の症状はどんなもの?

アニサキス症の潜伏期間 どれくらいで症状が出る?

アニサキス症はアニサキス幼虫のいるサバやイカなどの生食が原因となって発症します。アニサキスを飲み込んでから、実際に腹痛や嘔吐などの症状を発症するまでの時間を「潜伏期間(せんぷくきかん)」と言います。アニサキス症の潜伏期間は、アニサキス幼虫の感染部位によって異なります。アニサキス幼虫は主に胃あるいは腸に感染します。胃にアニサキス幼虫が感染したアニサキス症を「胃アニサキス症」といい、胃アニサキス症の潜伏期間は8時間以内とされています。一方、小腸や大腸にアニサキス幼虫が感染場合は、「腸アニサキス症」といい、腸アニサキス症の潜伏期間は数時間から数日後とされています。

潜伏期間の違いは、口からの距離を反映していて、口から胃までの距離に比べて口から腸までの距離の方が長いため、胃アニサキス症と腸アニサキス症の潜伏期間に差が出ることになります。こアニサキス幼虫の感染する部位によって、アニサキス症の症状が起こるまでの時間は異なります。

アニサキス症の症状 痛みや下痢が起きる?食中毒似?

アニサキス症は感染する場所などによって症状に差が出てきます。アニサキス症は症状の程度によって「劇症型」と「緩和型」に分けられます。また、アニサキス幼虫が感染する部位の違いによって「胃アニサキス症」と「腸アニサキス症」に分けられます。

緩和型はその名の通り症状が軽く、胃アニサキス症であっても、腸アニサキス症であってもいずれの場合でも自覚症状のない場合が多いとされています。しかし、劇症型になるとアニサキス症の自覚症状は明らかになります。劇症型胃アニサキス症ではお腹の上部(上腹部(じょうふくぶ))が痛む、悪心(吐き気)、嘔吐といった症状が現れます。劇症型腸アニサキス症では腹痛、悪心、嘔吐などの症状が見られ、時には腸が詰まる(腸閉塞)や腸に穴があく(腸穿孔(せんこう))こともあり、最悪の場合命を落とす可能性もあります。食後に悪心・嘔吐や下痢といった症状が現れる病気に食中毒がありますが、アニサキス症でも悪心や嘔吐など食中毒に似た症状が現れます。

アニサキスアレルギー、アナフィラキシーの症状とは?

小麦や卵、牛乳などを食べると、蕁麻疹(じんましん)やかゆみといった症状が現れる人がいます。こういった症状をアレルギー症状と言いますが、アニサキスでもアレルギーを起こすといった報告があります。アニサキスの幼虫のいるイカやサバなどの魚介類を食べ、それが誘因となりアニサキスアレルギーが起こることがあるようです。アニサキスアレルギーの症状は一般的な食物アレルギーと似ています。具体的には、蕁麻疹やかゆみ、呼吸困難、吐き気などの症状が現れるとされています。

さらに、中には複数の臓器の症状が全身に現れ、特に血圧の低下や意識消失をきたすことがあります。この状態をアナフィラキシーと呼びます。アニサキス症でアナフィラキシーとなるという報告もあり、また、アナフィラキシーは最悪の場合死に至ることもあるため見逃してはなりません。

アニサキス症は放置しても大丈夫?自然治癒する?

アニサキス症の原因はアニサキス幼虫が胃や腸に感染することで起こります。感染したアニサキス幼虫は胃や腸の粘膜に入り込み、その結果アニサキス症の症状を呈します。アニサキス幼虫は寄生虫であるため寿命が存在します。また、アニサキスは人間の消化管の中では長く生存することができないため、アニサキス幼虫が死ぬまで待てばアニサキス症の症状は和らぎ、最終的に症状は消えます。しかし、アニサキス症では激しい腹痛や嘔吐などの症状が起こり激しい苦痛を伴うため、早急な治療が望まれます。また、アニサキス症ではアナフィラキシーの状態になることがあり、アニサキス症を放置するとアナフィラキシーのリスクを増大させる可能性があります。ですから、アニサキス症を放置して命の危険を冒すのではなく、アニサキス症の治療を行う方が良いでしょう。ただ、腸アニサキス症の場合は症状に対する治療(対症療法)を行いながら、アニサキス幼虫が死ぬことを待つ方法となり、積極的にアニサキス幼虫を排除するわけではありません。


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アニサキス症の潜伏期間や症状について、ご紹介しました。生の魚を食べた後に体調が悪くなり不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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