アニサキス症の予防 冷凍、加熱の方法は?酒、肉眼でも対応可能?

  • 作成:2016/06/09

アニサキス症は、原因となる寄生虫が潜んでいる可能性のある魚を冷凍、加熱することで予防が可能です。酒や酢による予防が可能かどうかや、肉眼で除去する方法が現実的かを含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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アニサキス症をどう予防する?

アニサキス症の予防 魚を冷凍すればよい?どれくらい?

アニサキスはイカ、サバ、サンマ、鮭、マグロなどの魚介類を生で食べると感染することがあります。そして、アニサキス幼虫が胃や腸の粘膜に入り込むとアニサキス症が発症します。アニサキス症は激しい腹痛や嘔吐などの症状を示すため、アニサキス症にならない工夫が必要です。アニサキス症の予防方法には様々な方法がありますが、正しい方法で行わないとアニサキス症の予防には有効でない場合もあるため注意が必要です。アニサキス症の予防方法で有効な方法の一つに魚介類の冷凍処理があります。冷凍処理と一口に言っても、冷凍庫で数時間冷凍すれば良いというわけではなく、冷凍する温度や時間に基準が設けられています。国や施設によって冷凍する温度や時間の基準に違いがありますが、例としてマイナス20度で24時間以上の冷凍処理をすることで、アニサキス幼虫は感染性を失うとされています。オランダでは1968年に,酢漬けで生食するニシンを調理前にマイナス20度で24時間以上冷凍するよう法律で義務付け,アニサキス症の患者を激減させています。また、米国のFDA(食品医薬品局)は生食用の魚について,マイナス35 度以下で15時間、あるいはマイナス20 度以下で7日間の冷凍処理するよう勧告しています。さらに、EU(欧州連合)の衛生管理基準では,海産魚類の視認による寄生虫検査を義務付け、生食用の海産魚に関してはマイナス20度で24時間以上の冷凍処理を指示しています。このように、冷凍処理は様々な国で使用されていおり、アニサキス症の予防に対して有効性が確認されています。

アニサキス症の予防 加熱で死滅する?

アニサキス症の予防方法は冷凍処理のほかに、加熱で処理する方法が有効であるとされています。具体的には、60℃で1分間以上加熱すると良いとされています。しかし、当然ですが、加熱による予防方法をとれば、魚介類の状態を生の状態に戻すことはできません。アニサキス症の発生の予防と、日ごろの食生活の楽しみを天秤にかける必要があるかと思います。

アニサキスをアルコールや酢で予防できる?

アニサキス症の予防方法として、アルコールを飲めば良いと考える方もいますが、これは正しい予防方法とは言えません。また、魚介類を食酢で処理する、塩漬けにする、醤油やワサビを付けるといった方法であっても、アニサキス幼虫は死滅しません。ですから、このような方法を行っても、アニサキス症の発生を予防することはできません。

アニサキスは肉眼で見て、取り除ける?

アニサキス症の原因となるアニサキスの幼虫の長さは約2センチから3センチ、幅は約0.5ミリから1ミリ程度ですので、少し太い糸のような形をしています。つまり、アニサキス肉眼でも見ることが可能といえます。表面についているものを肉眼で取り除くことはできなくもありませんが、魚の切り身などの中にもぐりこんでいることもあり、アニサキスの幼虫を、肉眼でみてすべて取り除くというのは、現実的な方法とは言えません。

アニサキスアレルギーは避けられる?

アニサキスアレルギーを避けるためには、海産の魚介類を食べないようにする必要があります。アニサキスはイカ、サバ、サンマ、鮭、マグロなど、様々な魚介類に含まれているためです。しかし、魚介類にはビタミンDの主要な供給源でもあるため、魚介類を除いた食事をすればいいわけではありません。ビタミンD等、魚介類を除くことで不足するであろう栄養を別の形で補うようにする必要があります。また海で囲まれた島国である日本において、魚介類は日常の食生活に大きな意味を持っており、すべての魚介類を避けるのは現実的ではありません。その意味で、アニサキスアレルギーを避けるのは難しい側面があります。


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アニサキス症の予防について、ご紹介しました。生の魚を食べて体調が悪くて、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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