こんな症状に要注意!20代に増加するクラミジアや淋菌の症状・検査・治療

  • 作成:2022/06/09

クラミジアや淋菌は、性行為を経験した人であれば、誰でも感染する性感染症で、20代の男女に多いことが分かっています。また感染しても症状が出ないことも多く、感染したことに気づかずに放置すると不妊の原因になることがあります。 今回は、淀川キリスト教病院産婦人科医の柴田綾子先生が、クラミジアや淋菌を疑う症状と治療法について解説します。

柴田 綾子 監修
淀川キリスト教病院 産婦人科医長・産婦人科専門医
柴田 綾子 先生

この記事の目安時間は3分です

こんな症状に要注意!20代に増加するクラミジアや淋菌の症状・検査・治療

1. クラミジアや淋菌に感染しても無症状が多い

クラミジアや淋菌は感染しても無症状で気づかないことが多く、特に女性は感染しても半数以上の方は症状が出ないと報告されています。そのため、気づかずに病気が進行して不妊になってしまったり、パートナーに移行してしまっていることがあります。
感染してから症状が出るまで2日〜3週間前後かかることが多いです。
以下のような症状がある場合は、女性は産婦人科、男性は泌尿器科へご相談ください。(※資料1)

<男性>

  • 尿道の違和感がある
  • 尿道からの膿(うみ)が出る
  • 排尿時の痛みがある

<女性>

  • おりものが増加している
  • 会陰部にかゆみがある
  • 不正出血・性行為後の出血がある
  • 性交痛がある
  • 下腹部痛がある
  • 発熱がある
  • 咽頭痛がある

2.1年でクラミジアは約3万人、淋菌は8,500人報告されている

性感染症で一番多いのはクラミジアで、1年で28,000人の患者が報告されています(※資料2)。男女半々ですが、20歳代が多いのが特徴です。いっぽう淋菌の報告者数は8,500人で、ほとんどが男性(6,700人)です。淋菌は男性で症状が出やすく、女性は無症状が多いため、実際には女性の感染者はもっと多い可能性があります。

最近、20歳代の男女でクラミジアと淋菌の感染報告が増えており、注意が必要となっています(図1,2)(※資料3,4)

クラミジアや淋菌はめずらしい病気ではなく、性行為をすれば誰でも感染します。
感染予防として性行為のときはコンドームを使うこと、心配な症状があればぜひ検査を受けてください。お近くの保健所でも検査を受けることができます
■HIV検査・相談マップ→ https://www.hivkensa.com/

図1. 男性の性器クラミジア感染症定点当たり報告数

こんな症状に要注意!20代に増加するクラミジアや淋菌の症状・検査・治療

図2. 女性の性器クラミジア感染症定点当たり報告数

こんな症状に要注意!20代に増加するクラミジアや淋菌の症状・検査・治療

引用:国立感染症研究所 実地疫学研究センター 2021年9月現在

3.クラミジアや淋菌に感染したときの対応

クラミジアや淋菌は性感染症のため、パートナーも検査や治療を受ける必要があります。
男性の場合は泌尿器科、女性の場合は産婦人科で検査や治療を受けることができます。
保健所の検査で陽性になったら、保健所で治療はできないため、これらの病院への受診が必要です。2人とも治療が終わる前に性行為をしてしまうと、再度感染のリスクがあります。性行為をするときは、感染予防のためにコンドームを装着してください。

1)検査について

男性は尿検査、女性は内診での頸管粘液検査または尿検査で行います。

2)治療について

クラミジアも淋菌も抗生剤で治療を行います。
クラミジアの場合は、アジスロマイシンやクラリスロマイシンという内服の抗生剤で治療することが多いです(そのほかに、レボフロキサシンやドキシサイクリンという薬を使うこともあります)。淋菌は内服の抗生剤では効かないため、セフトリアキソンやスペクチノマイシンという点滴で治療することが推奨されています。

3)治療後の検査について

治療したあとにクラミジアや淋菌がいなくなっているのかを確認すると確実です。そのため、治療して2〜3週間後にクラミジアや淋菌の検査をもう一度行うことが推奨されています。特に女性の場合は、うまく治療ができていないと不妊になるリスクが高いため、治療後に検査を受けることをお勧めします。

クラミジアや淋菌は、性行為をすれば誰でも感染する可能性がありますが、検査を受けて治療をすれば完治できます。パートナーが変わったときや、気になる症状があるときは、ぜひ一度検査を受けてみてください。

※参考資料

  1. 厚生労働省 これって性感染症?
  2. 厚生労働省 性感染症報告数2020年
  3. 国立感染症研究所 実地疫学研究センター 性器クラミジア感染症の発生動向、2000年-2020年
  4. 国立感染症研究所 実地疫学研究センター 淋菌感染症の発生動向、2000年-2020年

2006年 名古屋大学情報文化学部を卒業し群馬大学医学部に編入
2011年 沖縄で初期研修を開始し、2013年より現職
世界遺産15カ国ほど旅行した経験から、母子保健に関心を持ち産婦人科医となる。著書に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)、『産婦人科ポケットガイド』(金芳堂)、『女性診療エッセンス100』 (日本医事新報社)など。

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