それって本当に生理痛?誤診も少なくないHAE

  • 作成:2022/06/16

定期的に起こる腹痛、様々な原因が考えられますが、その一つとして消化管の腫れが発作的に起こる、遺伝性の病気が潜んでいる可能性があります。女性の場合では、生理痛や子宮内膜症などと誤診されることもある「遺伝性血管性浮腫(HAE)」について、マンガを通して解説します。

堀内 孝彦 監修
九州大学病院別府病院 病院長
堀内 孝彦 先生

この記事の目安時間は3分です

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誤診も少なくないHAE

 遺伝性血管性浮腫(HAE)は約5万人に1人が発症すると推定されている希少疾患で、病気自体の認知度も低いことから、症状に気付いて受診しても、必ずしもその場で診断がつかないことがあります。マンガの例のように、女性のHAE患者さんでは、女性ホルモンの関係等から月経周期等と絡んで腹痛発作が起こるケースがあり、HAEと診断される前に、子宮内膜症などの症状が似ている病気の診断がついていた事例も多いようです。

親から子へは50%の確率で遺伝、ファミリーテストで正しい診断を

またHAEは名前に「遺伝」と付いている通り、親から子へ遺伝する可能性のある病気で、家族や親せきに複数人、同じ病気の人がいる可能性があります。よってHAEが疑われる場合には、「同様の症状が家族や親せきに発現していなかったかどうか」を確認してみるといいでしょう。

ただ一方で、両親ともにHAEではなく、子どもで初めて発症するケース(孤発例)もあるため、親族にHAEが疑われる方がいない場合にも、一定の注意は必要です。もしご自身や家族がHAEと診断された場合には、簡単な問診と血液検査でHAEを診断することができるファミリーテストを行うことをおすすめします。

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九州大学医学部卒。国立がんセンター研究所研究員、米アラバマ大学医学部フェローなどを経て、2008年九州大学大学院医学研究院准教授、2013年九州大学病院別府病院教授、2016年4月から同病院長を併任。専門は臨床免疫学、リウマチ学。「血管性浮腫」の実態を解明してその成果を社会に役立てることを目的として設立したNPO法人「血管性浮腫情報センター」(略称:CREATE)の代表として活動するとともに、「HAE患者会 くみーむ」にて患者とその家族のサポート活動に精力的に従事。また、日本補体学会が作成する我が国の「HAE診療ガイドライン2010年初版、改訂2014年版」の作成に責任者としてかかわった。「改訂2019年版」では再び責任者として厚生労働省研究班と連携・協力し、我が国のHAE診療ガイドラインを作成。アジアで初めてHAE3型の原因遺伝子を同定した。

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