更年期障害はがまんしなくていい。ほてり、息切れ、イライラを沈める治療法は、老化症状にまで効果あり!

  • 作成:2022/07/30

いわゆるホットフラッシュや、息切れ、イライラなど、更年期障害に悩まされる女性は少なくありません。「ある程度の年齢になれば仕方がない」「そのうち終わるだろう」とがまんしている女性もいるかもしれませんが、楽になる方法があります。産婦人科医の宋美玄先生に、「更年期障害の治療」をわかりやすく解説していただきました。

宋 美玄 監修
 
宋 美玄 先生

この記事の目安時間は3分です

更年期障害はがまんしなくていい。ほてり、息切れ、イライラを沈める治療法は、老化症状にまで効果あり!

更年期障害は治療できる、放置しないで

こんにちは、産婦人科医の宋美玄です。
「更年期」は、閉経前後の各5年間を併せた約10年間のこと。この時期は女性ホルモンのエストロゲンの分泌が激減することによって、ホットフラッシュ(ほてりやのぼせ、発汗)、手指の痛み、動悸・息切れ、頭痛、肩こり、イライラ、不眠など、さまざまな不調が出やすくなります。これらの症状をまとめて「更年期障害」と呼んでいます。

更年期障害は、身体がホルモンの変化に慣れてくれば徐々に落ち着きますが、そこまでがまんしなくても治療で良くなる可能性があります。主な治療は、ホルモン補充療法(HRT)と漢方薬です。イライラや不安、気分の落ち込み、不眠といった精神症状が強いときは、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬など精神科領域の薬を用いることもあります。

エストロゲンの補充で多くの症状が改善

ホルモン補充療法とは

ホルモン補充療法は、加齢によって減少したエストロゲンを「エストロゲン製剤」で人工的に補う治療です。補うと言っても20代30代と同じ状態に戻すわけではなく、怖い副作用が起こらない程度の最小限必要な量を補充します。
エストロゲン製剤には飲み薬、貼り薬、塗り薬があり、すべて健康保険が適用されます。それぞれメリットデメリットがあるので、主治医と相談しながら自分に合ったものを選びましょう。治療を始めると数日から1週間ほどで多くの症状が改善します。

ホルモン補充療法はこうした更年期真っ盛りの不調だけでなく、更年期以降に急激に進行する老化症状にも効果を発揮します。たとえば骨粗鬆症や動脈硬化の予防、悪玉コレステロールの減少による脂質異常症の改善、認知症リスクの低下、皮膚や粘膜に潤いを与えるなど、さまざまな効果が報告されています。更年期を終えたあとの老年期のからだも守ってくれるというわけです。

副作用

治療開始直後は不正出血、乳房の張りや痛み、吐き気などの副作用が出ることはありますが、からだが治療に慣れてくる1~2ヶ月後までに治まることがほとんど。薬の剤型を変えたり量を調節したりすることで改善も可能です。

また「がんになりやすくなるのでは」と心配する方も少なくありません。
エストロゲン製剤だけを使い続けると子宮内膜が増殖し、子宮体がんのリスクが高まります。そのため、子宮内膜の増殖を抑える「黄体ホルモン製剤」も併用しますが、それても子宮体がんのリスクが上がることはあります。ただし、昨年発売された天然型黄体ホルモン製剤「エフメノ」は子宮体がんのリスクが上がりません。心配な方は、医師に相談してみるといいでしょう。

乳がんの発症リスクはわずかながら増加します。ごくわずかな増加なのであまり心配する必要はありませんが、遺伝的に乳がんになりやすい人もいるので、治療で得られるメリットとデメリットのバランスを考慮しながら決めることになります。

いつまで続けられる?

かつて、「ホルモン補充療法を受ける期間は長くても5年まで」とされてきましたが、近年は安全に続けられることがわかってきたため、投与期間の制限はなくなっています。症状が落ち着いた段階で治療をやめてもいいし、ご本人が効果を実感しているなら70歳になっても80歳になっても継続は可能です。
ただし乳がんにかかったことがある人、子宮内膜がんを治療中の人、原因不明の不正出血、肝臓の病気、血栓や塞栓がある人などは、ホルモン補充療法を受けることはできません。

漢方薬でつらさをやわらげることも

更年期障害の治療には、漢方薬もよく使われます。ホルモン補充療法のようなエストロゲンを増やすわけではなく、つらい症状をやわらげることに主眼を置いた治療です。漢方薬は、ホルモン補充療法ができない人でも飲むことができますし、ホルモン補充療法と併用することも可能です。

更年期障害の治療によく使われる漢方薬は「当帰芍薬散」「桃核承気湯」「加味逍遥散」「桂枝茯苓丸」「温経湯」「六味地黄丸」など。薬局で市販されている漢方薬もありますが、医療機関では個々の体質や症状に合わせて「医療用漢方」を処方してもらうことができ、健康保険も適用されます。劇的な効果が望めるわけではありませんが、楽に過ごせるようになるケースも少なくありません。

また、イライラや不安、気分の落ち込み、不眠といった精神症状には、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などを用いることも。しかしメンタルの不調は更年期障害のせいだけではないことも多く、精神科や心療内科で専門的な治療を受けた方がいい場合もあります。

なお、更年期障害だと思っていたら、関節リウマチや五十肩、狭心症、うつなど、ほかの病気が隠れていることもあります。早めに婦人科を受診し、毎日を心地よく過ごしたいものです。

1976年兵庫県神戸市生まれ。2001年大阪大学医学部医学科卒業。2010年に発売した『女医が教える本当に気持ちいいセックス』がシリーズ累計70万部突破の大ヒット。2児の母として子育てと臨床産婦人科医を両立。メディア等への積極的露出で女性の悩み、セックスや女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

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