治療のこと、生活のこと、医師にどこまで相談できるの…? 「がん闘病中のコミュニケーション」について医師212人にアンケートを実施!

  • 作成:2022/10/23

がん患者さんとご家族のための会員制コミュニティ「Club CaNoW」(https://clubcanow.com/)は、8月27日にコミュニケーションをテーマにしたオンラインイベントを開催しました。「コミュニケーションでQOLは上がる」と言われるほど、がんの患者さんにとってコミュニケーションは重要です。しかし、相手が医師だった場合、遠慮して聞きたいことを聞けなかったり、話が難しくてわからなかったりして、困った経験もあるのではないでしょうか。今回は、北里大学病院の佐々木治一郎先生と、聖路加国際病院がん相談支援室の橋本久美子さんをお迎えし、「がん闘病中のコミュニケーション」についてお話を伺いました。

この記事の目安時間は6分です

治療のこと、生活のこと、医師にどこまで相談できるの…? 「がん闘病中のコミュニケーション」について医師212人にアンケートを実施!

北里大学医学部附属新世紀医療開発センター教授
北里大学病院集学的がん診療センター長兼務
佐々木 治一郎先生

聖路加国際病院 がん相談支援室
AYAサバイバーシップセンター兼務
橋本 久美子さん

司会進行
がんと働く応援団 代表理事
吉田 ゆりさん

今回、Club CaNoWでは会員の皆様にアンケートを実施しました。「医師とのコミュニケーションで困っていること」を訊ねた結果、「ゆっくり話をする時間がなく、言いたいことが言えない」「医師にどこまで相談できるのかがわからない」「病気や治療以外の心配事は相談しにくい」の3つが上位を占めました。

さらに具体的な声として「質問しても、心配し過ぎ、大丈夫と励ましだけで終わってしまう」「新しい担当医と合わなくて、セカンドオピニオンを希望したら却下されてしまった」などと寄せられ、患者さんが医師とのコミュニケーションに悩んでいる様子がうかがえます。

治療のこと、生活のこと、医師にどこまで相談できるの…? 「がん闘病中のコミュニケーション」について医師212人にアンケートを実施!

そこで、こうした問題をどのように解決したらいいのか、医師212にもアンケートを実施しました。「外来で長く相談したい場合のポイント」「医師から患者さんへの説明についてのポイント」「患者さんにしてほしいこと・されると困ること」の回答結果を見つつ、佐々木先生と橋本さんが語り合います。

「もっと時間をとってほしい」「説明がわからない」そんなときは?

最初は相談時間について。病気のことや治療のことなど聞きたいことがいっぱい。けれども医師とはそれほど関係性ができていないし、忙しそうだから聞きづらい……という気持ちを、多くの患者さんが抱いています。時間を長く取ってもらいときはどうすればいいのでしょうか? 医師へのアンケートの結果は「事前に日時の約束をしてほしい」という回答が82%にのぼりました。
がん相談支援室の橋本さんは、患者さんのために医師に時間をとってもらうサポートをされることがあるそうです。「あらかじめ『聞きたいことがあるので』と相談しておくと、先生も時間の余裕がある時に調整してくださることが多いですね」とのことでした。

治療のこと、生活のこと、医師にどこまで相談できるの…? 「がん闘病中のコミュニケーション」について医師212人にアンケートを実施!

医師へのアンケートの「患者さんの理解が追いついていないと感じたとき、とる行動は?」という項目では、「わからないところはありますかと聞く」が最多。佐々木先生は、「病気を受け入れられず、パニック状態になっている患者さんも少なくありません。1回の説明で理解が難しい方は多いので、遠慮なく『もう一度、話を聞かせてほしい』と伝えて構わないと思います」と語りました。わからないことは「わからない」とそのまま伝えてもらうほうが、医師の側も看護師に説明を補足してもらったり、別日を設けたりするなどの対策を立てやすくなると言います。

録音する場合は、事前にひと言確認を

対談の後半のテーマは、「患者さんにしてほしいこと・されると困ること」でした。してほしいことには「申し出てから録音してほしい」、されると困ってしまうことには「事前の約束なく家族が来院し、説明を求める」などの回答が…。そのわけを、佐々木先生はこう推察しました。
「録音については、医療機関によっては禁止していたり許可が必要だったりするところもあります。可否を確認する際には『より深く理解するために』など、録音したい理由をひと言つけるとスムーズになるでしょう」

治療のこと、生活のこと、医師にどこまで相談できるの…? 「がん闘病中のコミュニケーション」について医師212人にアンケートを実施!

事前の約束なく家族だけで来られることについては「患者さんの了承を得ているのか確認がしづらく、その意味で“困る”と回答した医師が多いのだと思います。時々、患者さんには内緒で話を聞きたいというご家族もいらっしゃるのですが、プライバシーの問題からご本人の許可がないと話すことができません」(佐々木先生)

患者さんが気になる転院やセカンドオピニオンの申し出については、意外にも「してもらって構わない」と回答した医師が70%を超えました。医師は研修でセカンドオピニオンに関するトレーニングを受けるため、聞かれて嫌だと思う例は少ないようです。

身構えず、率直に話す・聞くことがコツ

そのほか、薬に関することや、サプリメントや民間療法のこと、お金のことなど、医師に聞いていいのかわからないような内容については、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど、それぞれの専門職が対応してくれるケースも。
「各病院には、がん相談支援センターや相談室があるので、そこに相談していただくのもひとつの方法です。患者さんのお話をお聞きして該当する方につなげられます。医師への質問の仕方をアドバイスすることもできます」(橋本さん)

治療のこと、生活のこと、医師にどこまで相談できるの…? 「がん闘病中のコミュニケーション」について医師212人にアンケートを実施!

また、コミュニケーションを取りやすくするための秘訣として、佐々木先生と橋本さんからこのようなアドバイスもありました。
「率直に思ったことを話していただく、聞きたいことを聞いていただく、痛いところや症状で困っていることを教えていただく、これに尽きます。身構えず、遠慮せず話していただくのがいちばんです」(佐々木先生)
「子どもが受験を控えている、発表会がある、旅行の予定がある、転勤があるなど、生活スケジュールをメモにして医師に渡して、それに影響しないような治療法を希望することを伝えると、医師も治療法が立てやすくなります。患者さんのほうも、医師の話を理解しやすくなると思います」(橋本さん)

イベント終了後のアンケートで、参加者の皆さんに満足度を尋ねたところ、92%が「満足」と回答されました。また、視聴者から「医師だけではなく、看護師や相談支援センターの方も上手に巻き込むと良いという視点は、多くの患者さんにとって大変有意義だったと思う」「良いコミュニケーションをはかることで、お互いを理解し合い、治療をより良く進めていけるといいなぁと思えました」などのコメントが寄せられました。

ClubCaNoWでは、今後も定期的に、治療生活を応援するための会員向けイベントを企画しています。また、専門家の先生をお呼びして、治療の助けになるような医療知識をどこよりもわかりやすくお届けする医療セミナーも開催予定です。

次回の医療セミナーは2022年10月28日(金)19:00~20:15を予定。
「治療に良い影響を与える痛みの伝え方とは?」について、青森県立中央病院 副院長の的場元弘先生と一緒に考えます。
興味のある方はClub CaNoWに無料会員登録をして、ぜひご参加ください。

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