突発性発疹(とっぱつせいほっしん)

突発性発疹は、ウイルスの感染でおきる病気ですが、「不機嫌病」と呼ばれることもあるほど、子供が不機嫌になって手がつけられなくなることが、1つの特徴とされます。突発性発疹自体は自然に治りますし、重い合併症を発症することもまれなのでそれほど心配する必要はないのですが、母親にとっても、初めての感染症になることが多く、とまどう事が多いと思います。

突発性発疹の症状

高熱後の発疹

突発性発疹は、まず40度近い発熱がおこります。高熱のほかにも下痢やまぶたのはれ、リンパ節のはれなどの症状を伴うことがあります。高熱が出るものの、その他の症状は出ないこともあります。そして、高熱がおさまってきたころに、全身の皮膚に発疹がでるようになります。
なお、熱は3日程度で引きますし、下痢などのその他の症状も皮膚の発疹が消えるころにはなくなります。

発疹のかゆみ、咳、鼻水はない

突発性発疹で皮膚に出る発疹にはかゆみはありません。また、風邪に多い咳や鼻水などの症状がないため、咳や鼻水などが多い場合には別の感染症を疑うとよいでしょう。言い換えれば、咳や鼻水がないのに高熱が続くという場合には突発性発疹の可能性が高まります。
また、ほとんどの大人は幼児期にこのウイルスに感染しているため、突発性発疹が幼児から大人に感染することはありません。

注意深い観察は必要

発熱のために病院を受診しても、突発性発疹の診断を確定させる(「間違いない」と診断する)ことは難しく、血液検査でウイルスを見つけるのも少し時間がかかります。そのため、突発性発疹の典型的な症状が出ていても、熱が引くまでは注意して観察する必要があります。

突発性発疹の原因

突発性発疹の原因ウイルスの多くはヒトヘルペスウイルス「6B型」という型です。ほとんどの人は、生後6カ月から3歳までの間にこのウイルスに感染しますが、感染しても無症状のことがあります。基本的には二度かかることはありませんが、ヒトヘルペスウイルス「7型」という別の型 による突発性発疹が、二度目の突発性発疹として起こることがあります。
大部分の大人は ヒトヘルペスウイルス6B型に小児期に感染していることがわかっています。さらに、病気自体が治ってもヒトヘルペスウイルス6B型は唾液腺(唾液が分泌される部分)で増殖をつづけて、唾液の中にそのウイルスがずっと出ています。
したがって、周囲の大人が持っているウイルスが、免疫を持たない幼児に感染して、突発性発疹を引き起こすということになります。

幼児が発症する突発性発疹の感染源の大半は幼児の親で、生後6カ月を過ぎた頃に感染します。ウイルスを保有する別の幼児が感染源となるケースはあまり多くありません。
大部分の大人は 、前述のようにヒトヘルペスウイルス6B型が潜伏した状態で無症状で生活しています。ウイルスは周囲の大人の唾液に含まれているため、キスや食べ物の口移しが、赤ちゃんにウイルスのうつる原因となっています。

子供は生後しばらく、「移行抗体」と呼ばれる母親由来の免疫(体に入った菌などと戦う機能)をもっています。移行抗体は、生後半年くらいで力がなくなるため、生後6カ月を過ぎたころに、それまで問題がなかったウイルスに突然感染してしまうのです。
なお、「ヘルペス」と名前が付きますが、口唇ヘルペスや外陰部ヘルペスを起こす「単純ヘルペスウイルス」とは全く別のウイルスです。

突発性発疹の治療

突発性発疹に特効薬はない

突発性発疹は自分の免疫の力で治る病気であり、突発性発疹に効くワクチンや特効薬というものは存在しません。また、薬を使うとしても突発性発疹は幼児がかかる病気ということもあり、強い薬は使わないことがほとんどです。しかし、病院に行けば症状を緩和してくれる薬を処方してもらえることがあります。

解熱剤や下痢止めの使用はありえる

突発性発疹による高熱で、子供が苦しんで体力を奪われているという場合には、解熱剤が処方され、下痢で水分が失われてしまっている場合には下痢止めが処方されることとなります。
また、子供は苦い薬を飲みたがらない事が多く、飲み薬ではなくお尻から入れる座薬が処方されることも多いです。飲み薬よりも座薬の方が効果の出るのが早いですので、気になる方は医師にたずねてみると良いでしょう。

栄養と水分補給が重要 尿の量には要注意

突発性発疹は、基本的に、頭やわきの下を冷やし、栄養補給と水分補給をしっかりしていれば、病院にいかなくても自然に治ります。ただ、突発性発疹とは少し症状が違ったり、熱が長引いたり、熱以外の症状が出ていたりする場合は、小児科を受診して症状に合わせた薬を処方してもらうのが良いでしょう。
特に、高熱でひきつけをおこしているケースや下痢で水分が失われているのに飲み物を飲まないという場合には、すぐに病院で診察を受けて下さい。水分不足は尿の頻度や量で把握できますので、いつもより尿が少ないと感じたら多めに水分を与えるようにすると良いでしょう。

突発性発疹の予防

まず、突発性発疹自体にワクチンはなく、予防接種はありません。しかし、赤ちゃんが突発性発疹を発症したということは、母親由来の免疫が機能する「移行抗体」がなくなり、ウイルスや細菌に弱くなっているという証拠でもあります。したがって、突発性発疹を発症したことをきっかけに突発性発疹以外の重大な感染症の予防接種を考え始める両親も多いようです。
突発性発疹が治った後の予防接種は、病気で落ちた体力が完全に戻ってからの方が良いでしょう。突発性発疹のすぐ後の状態でワクチンを接種しても、抗体がつかないこともありますし、ワクチンの種類によっては病気になってしまう可能性も考えられます。突発性発疹の完治からおよそ1週間から2週間程度の余裕を見ると確実です。

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