口唇ヘルペスの症状と合併症 かさぶたは治りかけ?初期症状の特徴は?チェック項目は?乳幼児の場合、別の病気に?

  • 作成:2015/12/14

口唇ヘルペスの症状は、初めて感染した場合と、体に潜んでいたウイルスが再度暴れ出す再発の場合で異なり、再発の場合の症状は、軽いことが多いです。また、乳幼児の場合は、「口唇ヘルペス」という名前でない病気になることもあります。かさぶたの状態になる意味や合併症を含めて、口唇ヘルペスの症状を、医師監修の記事でわかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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症状の経過 かさぶたは、治りかけのサイン

口唇ヘルペスの一般的な症状としては、まず唇やその周辺や鼻の下が赤くなり、やがて水ぶくれが発症します。痒み、ほてり、痛みを感じる方もいます。初めての感染なのか、体に潜んでいたウイルスによる再発型なのか、また個人の体調によっても症状は多少異なります。初感染の場合、水ぶくれの大きささが5ミリ程度の大きさになり、広範囲に多発する傾向があり、発熱、顎下(あごの下)のリンパ節の腫れがみられる場合が多くあります。一方、再発型の場合の症状は軽いことが多く、一部分にだけ水ぶくれが発症することとなります。発症から約2週間後には、水ぶくれがかさぶたになります。かさぶたは治りかけのサインのため、その後治癒していきます。

自覚症状は「なんとなく違和感」

口唇ヘルペスの自覚症状として、「前駆期症状」、水ぶくれが現れる前のサインがあります。唇とその周辺の皮膚で、なんとなく違和感があります。代表的な違和感は、痛み、かゆみ、ほてりです。見た目の異常もないため、初めて体験する方は何かわかりにくいですが、一度前駆期症状を体験している方は判断がつく場合が多いです。

病院に行く理想的なタイミングは、「前駆期症状」の段階ですが、初感染の方では、唇やその周辺でおこる違和感の原因がわかりにくいため、受診のタイミングが遅れる傾向があります。患部が赤くなる、水ぶくれが出る、痛い、痒いという症状が出たら、すぐに医療機関を受診してください。

チェック項目は?

製薬会社によると、以下の症状に該当する場合、口唇ヘルペスを発症している可能性があるとしています。

1.風邪をひいたり、疲れているとき、唇やその周辺に小さな水ぶくれができる。
2.紫外線をたくさん浴びた後、唇やその周辺に小さな水ぶくれができる。
3.唇や鼻の周囲で違和感があった後、小さな水ぶくれができる。
4.できた水ぶくれが、痒みやほてりをともなっている。

重症化する可能性のある人とは?

重症化する可能性があるのは、アトピー性皮膚炎の方、成人になって初感染した方、著しく免疫力が低下している方です。アトピー性皮膚炎の方が、口唇ヘルペスを発症した場合に、広い範囲に病気による症状が広がり、「カポジ水疱様発疹症」(後述)となることがあります。アトピー性皮膚炎の治療薬である「ステロイド外用剤」や「タクロリムス外用剤」と呼ばれる薬を単純ヘルペスの病変に間違って使用すると、急速に悪化しますので、アトピー性皮膚炎の方は口唇ヘルペスに合併する病気に注意が必要です。

口唇ヘルペスの合併症

口唇ヘルペスも、他の病気と変わらず、合併症を起こす可能性があります。合併症は重篤なものも含まれますので、治りにくい場合は、医療機関の受診をおすすめします。

ヘルペス性角膜炎: 単純ヘルペスウイルスが目や目の周辺に付着すると水ぶくれを伴う皮膚炎が発症します。症状は「上皮型」と「実質型」に分けられています。上皮型では異物感や目の痛みがあります。実質型では角膜に円板状の濁りができ、ウイルスが奥まで侵入すると炎症がさらに広まり視力が低下することがあり、視力の障害が残ることもあります。実質型は完治する確率が低く、口唇ヘルペスを発症した際に再発する傾向が高い特徴があります。単純ヘルペスが目の周りに感染すると、「ヘルペス性眼瞼(がんけん、まぶたのことです)炎」になることもあります。

単純ヘルペス脳炎: 単純ヘルペスウイルスの初感染あるいは再発型で発症する急性脳炎です。年長児から成人のヘルペス脳炎のほとんどは単純ヘルペスウイルス1型によるものであり、国立感染症研究所の調査(1994年から2000年)では、小児の急性脳炎および脳症のうち、単純ヘルペスウイルス1型が原因であるものは7%を占めています。口唇ヘルペスの症状と同時に、発熱、意識障害、痙攣発作、幻覚、記憶障害が現れた場合はヘルペス脳炎を疑い、すぐに小児科、神経内科を受診してください。

カポジ水痘様発疹症: 単純ヘルペスの病変が広い範囲の皮膚に生じたものを指します。高い熱が出ることがあります。アトピー性皮膚炎の方が口唇ヘルペスを発症した場合に発症することが多く、重症化することもあります。

ヘルペス性ひょうそ: 指先に単純ヘルペスウイルスが感染する場合もあります。指先に痛みを伴う水ぶくれができます。医療関係者や重症アトピー性皮膚炎の方で発症する場合があります。

乳幼児に起きる歯肉口内炎とは?

乳幼児期に単純ヘルペスウイルス1型に感染した場合、口唇ヘルペスではなく、「ヘルペス性歯肉口内炎」という病気を発症する場合が多いです。症状は、急に高熱(39度前後)が出て、口の中に痛みを伴った水ぶくれができ、歯茎が腫れあがり、歯茎から出血することもあります。口の中が痛み食欲が低下するため、脱水症状を起こしやすくなり、脱水症状など重症化した乳幼児は点滴治療を行う必要があります。発熱してから治るまでの期間は、約1週間から10日間程度が目安です。乳幼児で初感染した場合、まぶたの水疱性皮膚炎と「急性ろほう性結膜炎(結膜の一部の炎症)」を伴うこともあります。


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