急性糖尿病(ペットボトル症候群)の原因と症状 致命的?

  • 作成:2015/12/17

急性糖尿病は、糖尿病患者において血液中の血糖値が異常に高くなることで、「ペットボトル症候群」とも呼びます。緊急入院が必要な事例や致命的になるケースもあります。危険な急性糖尿病の原因やその他の合併症について、医師監修記事でわかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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急性糖尿病(ペットボトル症候群)とは何か

糖尿病患者さんで血液中の血糖値が異常に高くなると、体の中の代謝バランスが崩れ、脱水と意識障害を発症することがあります。これを「ペットボトル症候群」、または「糖尿病ケトアシドーシス」と呼びます。血糖をコントロールする「インスリン」が極度に不足した場合やアドレナリンなどのインスリンに対抗するホルモンが増えた場合、インスリンがうまく働かなくなり血液中の血糖値が異常に高くなります。

インスリンの働きが不十分で、ブドウ糖からエネルギーを作り出せないと、体は代わりに脂肪を分解します。この時に副産物として、「ケトン体」と呼ばれる物質が血液中に急激に増え(高ケトン血症)、血液が酸性傾向になるため(ケトアシドーシス)、体に様々な異常が起こります。

糖尿病には大きく分けると1型と2型があり、1型はウィルス感染などをきっかけにインスリン分泌ができないことによる糖尿病で、2型は肥満や高カロリーの食事などによる生活習慣の結果として発症する糖尿病です。糖尿病ケトアシドーシスは、インスリン分泌がほとんどない1型糖尿病でよく見られると考えられていたのですが、ある程度インスリンが分泌されるはずの2型糖尿病でも緊急入院する例があり、これを「ペットボトル症候群(清涼飲料水アシドーシス)」と呼びます。

糖分を多く含む清涼飲料水を大量に飲むと血糖値が上昇します。血糖値が上昇しすぎると、インスリンがうまく機能しない状態になり、ケトアシドーシスへとつながります。ペットボトル症候群は日本人の肥満の2型糖尿病患者さんに起こりやすいことがわかっています。

ストレスや過労も高血糖の原因に

ペットボトル症候群では、清涼飲料水を過剰に飲んだ結果、高血糖、インスリン不足が起こります。予防方法として普段から暴飲暴食をしないこと、インスリン注射や血糖降下薬を適正に使用することが大切です。また感染症やストレス、過労なども高血糖の原因になるので注意が必要です。

他の糖尿病の急性合併も危険

糖尿病で起きる急性合併症は、ペットボトル症候群の他に、「高浸透圧高血糖症候群」や感染症、低血糖などが挙げられます。「高浸透圧性高血糖症候群」は、生活習慣などが原因となる2型糖尿病患者さんにおいて、感染症や手術、病院での糖分を多く含んだ点滴、ステロイド薬の投与などにより、インスリンの働きが不十分となり、数日経過した後に高血糖と著しい脱水を起こします。しかしペットボトル症候群などのようにアシドーシス(血液の酸性傾向)は伴いません。

糖尿病では、免疫力や白血球の機能が低下しているため、体の中に細菌やウィルスが侵入しても抵抗しづらく感染症にかかりやすいと言われています。感染症は重症化すると敗血症となり全身に菌が回ってしまい死に至ることもあります。また、糖尿病の治療中にインスリンや血糖降下薬が効きすぎると、逆に「低血糖」になり意識を失うことがあります。糖尿病の急性合併症は、どれも命に関わる可能性があるので医師の指示に良く従い、異変を少しでも感じたらすぐに病院に行くようにしましょう。

命にかかわることも

糖尿病の急性合併症であるペットボトル症候群(糖尿病ケトアシドーシス)や感染症、低血糖などは初めてだと症状に気づきづらいこともあります。どの合併症も進行すると意識障害を来し、命に関わることもあります。糖尿病に対する正しい知識を持ち、少しでも異変を感じたら医師に相談するようにして放置しないできちんと治療をするようにしましょう。また、糖尿病の疑いがあると健康診断で診断されても放置してしまう人が半数以上と言われています。血糖値が異常に高くなり、様々な合併症が起きる前に医師に相談することが大切です。

急性糖尿病の原因についてご紹介しました。症状がわからず不安に感じている方や、この病気に関する疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?

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