マイコプラズマ肺炎の原因、感染力、感染経路、潜伏期間 他人にうつるのはいつからいつまで? 

  • 作成:2016/01/27

マイコプラズマ肺炎は、つばやくしゃみなどの飛沫を通じた感染や、患者が触れたものに触れることによる接触感染で広がります。実は症状が出る前から、菌の排出が続いています。マイコプラズマ肺炎の原因や感染力、他人に感染する可能性のある期間、潜伏期間について、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

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マイコプラズマの原因は最近 抗生物質が効かない?

マイコプラズマ肺炎の原因菌は「肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)」という細菌です。肺炎マイコプラズマは自己増殖能(自ら自分の複製を作ることができる)を持つ最小の生物で、一般的な細菌とは異なった特徴をいくつか持ちます。

1つ目は細胞壁を持たないことです。通常、細菌は細胞膜とその外側にある細胞壁という二重の膜に包まれています。しかしマイコプラズマは通常の細胞壁をもたず、細胞壁の合成を阻害することで治療効果をもつ「ペニシリン」や「セフェム系」などといわれる抗生物質が効かない特徴があります。また、マイコプラズマを培養するには「PPLO培地」という特殊な培地が必要であり、培養には1週間以上必要とします。

2つの感染経路 飛沫感染と接触感染 体内でどう増える?

マイコプラズマ肺炎の感染経路は、飛沫感染と接触感染が考えられます。飛沫感染はマイコプラズマ肺炎患者の咳やくしゃみから、病気のもととなる菌を吸い込んでしまい感染する経路です。接触感染は直接患者に触れてしまうことや、患者が触れた物を触って口などから体内に入ってしまう経路です。1、2メートルの距離でも感染するとされていることから、学校などの閉鎖された環境で流行が起きやすいです。

吸い込まれた「肺炎マイコプラズマ」はまず、肺の粘膜表面の細胞の外で増殖します。増殖したマイコプラズマは「気管」や「気管支」、ガス交換が行われる「肺胞」などの気道粘膜を壊していきます。特に、呼吸器の中でも「線毛(体内に入ってきた病原菌を体外に掃き出す役割を担っている)」がある気管支に感染します。そのため、粘膜の破壊が起きたり、潰瘍(組織が破壊された状態)を起こし、マイコプラズマ肺炎に特徴的な激しく頑固な咳を引き起こします。線毛を持つ上皮細胞は気管支の比較的中枢側、つまり気管支が次々と分岐していく根元のほうに存在する細胞ですので、レントゲンやCTでは、中心部に白い影が見られるようになります。

潜伏期間は2週から3週間

「潜伏期間」とは、病原菌が体内に侵入してから症状が出現するまでの期間のことです。マイコプラズマ肺炎の場合、潜伏期間は、通常2週間から3週間とされています。つまりマイコプラズマ肺炎の患者と接触してから、しばらくしないと症状が出てきません。

菌排出は症状の出る前からでも、感染力は強くない

ここで注意したいのが、症状が現れていないからと言って感染力がないわけではないということです。症状がないので気付かないことが多いですが、症状が出現する2日から8日前には病気の原因となる菌の排出が始まっていますので、この時期から他人にうつす可能性はあります。菌の体内からの排出は、症状が現れる前に始まり、症状が最も重い時期にピークとなって、4週間から6週間以上続くとされています。

ただ、感染力が強いとはいえない細菌です。また、また、マイコプラズマ肺炎は、一度なったからといって免疫が維持されるわけではないため、再感染することもあります。



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