梅毒の原因、感染経路、感染率、潜伏期間 性交以外の経路とは?キスでもうつる?

  • 作成:2016/03/28

梅毒は、性感染症の1種類です。セックスを通じた感染がよく知られていますが、セックス以外でも感染する可能性があります。どのような感染経路があるのかやキスでの感染可能性、原因や潜伏期間も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

梅毒はどのように感染する?

梅毒の原因となる菌とは?スピロヘータとは?

梅毒は、細菌の一種であるスピロヘータ属の「梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)」による感染症です。梅毒トレポネーマは長さ10から13μm(10/1000mm程度)で幅は0.15μmとなっていて、細長い細菌です。

現在では、さまざま全身症状を伴った「晩期梅毒」にまでいたって初めて感染が判明することは非常に珍しく、多くは健診、血液検査などで偶然見つかります。

1945(昭和20)年ごろでは毎年2万人から3万人の届け出がありましたが、近年では年間500人程度の届け出に減少しています。しかし、同性愛者(特に男性同士)間での梅毒感染が増加しており、注意が必要です。

感染経路は性行為(セックス)がほとんど 感染する確率は?

梅毒のほとんどは、性行為(セックス)によってヒトからヒトに感染します。特に「硬性下疳(こうせいげかん、陰部にみられるしこりがつぶれて生じる潰瘍)」や「扁平コンジローマ(性器の周辺などにできるふくらみ、白っぽいのが特徴)」などの症状が出ていて、感染力の高い梅毒の早期(第1期や第2期)に、患者との粘膜を介した接触で感染しやすくなります。

具体的には、性器と性器、性器と肛門(アナルセックス)、性器と口の接触(オーラルセックス)等が原因となります。

感染の確率としては、感染力の高い早期梅毒の方と性行為を行った場合、およそ30%(3人1人)とされています。また、性行為でなくても、病気の症状が口に出ている患者とキスをすることでも感染する可能性があります。

胎盤経由での感染もありえる

性行為以外の感染経路としては、胎盤を通して胎児に感染する「先天梅毒」が挙げられます。胎盤を通じた感染は、母体から胎児に血液を介して梅毒トレポネーマが移行して感染が成立しますが、感染確率は70%から100%と非常に高くなります。ただ、母体が梅毒に感染してから、胎盤を通過して胎児に感染するまでには6週間程度かかるため、妊娠末期の妊婦感染では胎盤を介した感染は生じにくい事情もあります。しかし、分娩時に産道を介した感染は起こり得ます。一方、感染から5年以上経過した「晩期梅毒」では母親から胎児への感染は起こらないとされています。

この他の感染経路としては、傷のついた手で梅毒の病原菌に触れてしまった場合や、針刺しなどが挙げられますが、まれなケースです。輸血に関しても血液製剤の検査技術が進歩し、近年では輸血による感染の報告はありません。過度に心配する必要はないでしょう。

潜伏期間は3日から90日

梅毒の潜伏期間は感染してから3日から90日とされています。平均3週間の潜伏期間を経て、感染した部位で皮膚が硬くなる(「初期硬結」と呼ばれます)が出現し、第1期梅毒に移行していきます。

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梅毒の感染経路や感染率などについてご紹介しました。もしかして梅毒かもしれないと不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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