太田母斑の原因、症状、治療、再発と予防可能性 レーザーを使う?

  • 作成:2016/06/16

太田母斑は、通常のシミと同様で、メラニンが原因となってできるあざです。シミなどと比較して、皮膚の深いところにできるために、青く見える場合があります。治療や再発可能性などを含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

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太田母斑とはどんな病気?

太田母斑とは?どんな症状?

「太田母斑(おおたぼはん)」は、顔などにできる青アザの一種です。アザの大きさは人によってバラバラで、小さな点のようにしか見えないものもあれば、大きな青いアザができることもあります。多くの場合、アザができる部位は額・頬(ほほ)・目の周辺・鼻の周りで、通常は右側か左側のどちらか一方です。まれに両側にできることもあります。通常は青っぽいアザですが、多くの場合褐色の部分が混在しています。

太田母斑の原因

太田母斑の色の原因は、一般的なシミと同じメラニン色素ですが、シミと違って紫外線などの外的刺激が原因で現れるわけではなく、生後1年ごろから思春期にかけて皮膚の下の層である「真皮」にメラニン色素を作る細胞が過剰に増殖してきます。その結果メラニン色素が皮膚に沈着してアザとなります。メラニン色素を作る細胞が過剰に増殖する原因についてはまだよく分かっていませんが、最初は小さな点だけだったのが少しずつ広がり、最終的に太田母斑となります。

外的刺激との関連や発症年齢だけではなく、メラニン色素が普通のシミより深い部分にできる点も、太田母斑がシミと大きく違う点です。メラニン色素が深い部分にあることで、色がやや青みがかって見えますが、メラニンのできる深さが人によって若干異なってくるというのもあり、必ずしも青っぽく見えるとは限りません。比較的浅い部分に沈着すると褐色のような色になります。

太田母斑の治療にレーザーを使う

太田母斑はアジア人に多い病気であるということもあり、古くから様々な治療法が試みられてきましたが、皮膚を削って除去したり、皮膚を移植したりするような外科手術的なものが多く、皮膚にかなり負担をかけるものでした。「凍結療法」と呼ばれる治療では、太田母斑にドライアイスを当てて、メラニン色素周辺の細胞を壊死させるという手法もありました。しかし、現代ではこれらの方法はほとんど使われません。

シミ・そばかすの治療にもレーザーが使われますが、太田母斑はレーザー治療で治療します。レーザーは、光の一種なので物にあたると熱を持ちますが、太田母斑に使われる「ルビーレーザー」や「アレキサンドライトレーザー」というものは、メラニン色素に反応して熱を生むように作られています。この熱が、メラニン色素を含む小さな構造物だけに、作用してピンポイントに破壊します。破壊された構造物は、体の修復機能によって自然に除去されるため、徐々にきれいな色に戻ります。太田母斑の治療ではメラニン色素を含む小さな構造物のみを破壊して、その周辺の組織には影響しない様に設計されたレーザーを用います。診療は、保険が使えます。3か月から6か月の間隔で数回治療を行うことで、アザはほぼ完全にわからなくなりますから、医師と相談しながら根気よく治療をすすめる必要があります。

太田母斑の予防と再発の可能性

太田母斑の発生原因は完全に解明されておらず、現時点で、遺伝的か先天的な病気だと考えられており、太田母斑を予防する方法はありません。再発の可能性については、治療を行った時期にもよりますが、基本的には再発しません。ただ、太田母斑は多くの場合思春期までに現れますが、20代や30代になってから現れることもあるため、今まで表面に出てきていなかった「太田母斑」が治療後に現れてしまうということがあります。それでも、一度完全に表に出てきた太田母斑は再発しませんので治療は十分有効です。

太田母斑が出たら何科に行くべき?

太田母斑の治療はレーザー治療のできる皮膚科か形成外科で行うのが普通です。いつの間にかできていた小さなアザが年単位で広がってきている場合や、小さな青いブツブツがなかなか消えないという場合にはきっちりと診断を受ける必要があります。シミであると誤解して太田母斑にシミ取りのクリームを長期的に塗っても全く効果はありません。太田母斑は顔面に出てきて、自然治癒はしません。ただ、レーザー治療の進歩により保険診療で治る疾患になりました。太田母斑かなと思ったら、ぜひ経験のある皮膚科か形成外科でまずきちんと診断を受けるのがよいでしょう。

太田母斑についてご紹介しました。体のあざの原因がわからずに不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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