微弱陣痛とは?3つの原因、症状、出産への影響、予防 薬も使う?

  • 作成:2016/03/28

「微弱陣痛」とは、字の通り、赤ちゃんが出産するときの陣痛が弱い状態を指します。主な原因は3つありますので、対応や予防方法も含めて、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

平松晋介 監修
ちくご・ひらまつ産婦人科医院 院長
平松晋介 先生

この記事の目安時間は3分です

微弱陣痛はなぜ起こる?

微弱陣痛とは?出産に与える影響

「陣痛(じんつう)」とは、出産の際に子宮が収縮運動を起こし赤ちゃんを外へ押し出そうとする、正常な分娩になくてはならない働きです。しかし、陣痛の強さや頻度、持続時間などが不足し、赤ちゃんをスムーズに外に出せないことがあります。これが「微弱陣痛(びじゃくじんつう)」と呼ばれるものです。

微弱陣痛である場合、子宮口が開かず分娩が困難になり、通常の出産の成功率が低くなります。分娩が進まない状態が続けば母体にも赤ちゃんにもダメージになることはもちろん、ケースによっては赤ちゃんに酸素が行き渡らない状態になり、最悪、生命に関わることがあります。

微弱陣痛の三大原因

微弱陣痛の第一の原因は、母体の疲労です。体調不良や睡眠不足などで母体が弱っていることや、過度の緊張といった精神的な変調によっても陣痛が微弱になることがあります。母体の疲労は、微弱陣痛の原因の大半を占めている、最も大きな要素です。

第二の原因は、赤ちゃんが大きすぎたり、羊水の量が多すぎたりするため、子宮に過度な容量が負荷され、子宮筋が過度に伸びてしまうことです。赤ちゃんが、双子や三つ子などの「多胎妊娠(たたいにんしん)」と言われる場合も同様のことが起こります。

そして第三の原因は、母体の肥満・体重の増えすぎです。子宮まわりに余分な脂肪が多いと赤ちゃんが膣の方向へ下がりにくくなり、陣痛を引き起こす骨盤内の神経への刺激が起こりにくくなり、微弱陣痛に陥りやすくなります。妊娠中の太りすぎには注意が必要です。同様の事は、太っていなくても、骨盤が狭い方でも起こることがあります。

微弱陣痛が起こったらどうする?

分娩の際に微弱陣痛が認められた場合、赤ちゃんの容体を観察しながら状態に合った処置を取る必要があります。

母子ともに良好な状態であれば、分娩の体勢を工夫したり、歩くなど軽い運動をしたりして、できるだけ自然な出産を目指します。母体の緊張が原因のときは体を温めて安静にし、心身ともにリラックスすることが有効です。

それでも微弱陣痛が続く場合には、陣痛促進剤(じんつうそくしんざい)を用いる事もあります。

母子どちらかが危険な状態の場合は急いで分娩を完了させる必要があるため、帝王切開術で赤ちゃんを取り出すなど、緊急の措置が取られます。

微弱陣痛にならないために

妊娠中は、肥満になりすぎないことや体力をつけることなどを心がけ、微弱陣痛にならないための取組みをしましょう。まずは妊娠の時期ごとに適切な体重を維持することが大切です。また、お腹が大きくなるにつれて、妊婦は運動量が減りがちですが、分娩は体力を必要とするため、軽いウォーキングや体操などで基礎的な体力を身に着けておきましょう。

お腹の赤ちゃんが大きいなどのケースで事前に微弱陣痛が懸念される場合は医師とよく相談し、分娩がスムーズに進むような対策を講じたり、微弱分娩が起こったケースに備えるなどして、順調な出産ができるようにするのが重要です。

微弱陣痛についてご紹介しました。出産に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

病気・症状名から記事を探す

その他
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行

協力医師紹介

アスクドクターズの記事やセミナー、Q&Aでの協力医師は、国内医師の約9割、33万人以上が利用する医師向けサイト「m3.com」の会員です。

記事・セミナーの協力医師

Q&Aの協力医師

内科、外科、産婦人科、小児科、婦人科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、整形外科、精神科、循環器科、消化器科、呼吸器科をはじめ、55以上の診療科より、のべ8,000人以上の医師が回答しています。

Q&A協力医師一覧へ

今すぐ医師に相談できます

  • 最短5分で回答

  • 平均5人が回答

  • 50以上の診療科の医師