腫瘍マーカーの意味、費用、問題点 がんの有無はわからない?

  • 作成:2016/06/10

腫瘍マーカーは、がんの進行や治療効果をみるための検査です。誤解している方も少なくないようですが、がんの有無を調べるための検査ではありません。「偽陽性」と呼ばれる問題点も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

腫瘍マーカーの問題点とは?

腫瘍マーカー検査の意味

「腫瘍マーカー検査」は、主にがんの進行度合いを測る目的で行われる検査です。検査では、腫瘍マーカーと呼ばれる「がん細胞の増減に伴って、変化するタンパク質や抗体の量」を調べ、がんが進行しているのか、停滞しているのか、治療の効果が出ているかなどを判定します。

注意しなければいけないことは、これはがんがあるかないかを調べる検査ではないということです。また、2016年の時点で、この腫瘍マーカーは数十種類が使われており、マーカーによって判定できるがんの種類もその精度もバラバラで、一つのマーカーの数値だけを見て何かが分かるものでもありません。

腫瘍マーカーの数値を見る際は、平均と比べて数値が高いか低いかを調べるというよりも単に以前と比べて数値がどう変化したかを見ます。以前と比べて数値が高くなっていれば進行していると考えられますし、数値が減っていれば治療の効果が出ていると分かるのです。

がんのない方でも人間ドッグなどで腫瘍マーカーを調べることがありますが、これは次の検査時に比較するための数値を記録する目的や本格的な精密検査が必要かどうかを判断するために使われるものであって、がんの有無を調べるためではありません。

各項目の意味や対応するがんの詳細などは、https://www.askdoctors.jp/articles/200871で解説しています。

腫瘍マーカー検査の費用

腫瘍マーカー検査の費用はどのマーカーの検査を行うかによって差がありますが、定期検診や人間ドッグのオプションで行う場合、2000円前後で一項目追加できます。1つのマーカーだけでなく、特定のがんをターゲットにしたマーカーをセットで検査することで割引されることもありますが、検査を行う項目を増やせば増やすほど費用は増すこととなります。また、2000円前後という価格は、健康診断や人間ドッグのオプションの価格で行う価格であり、単純に腫瘍マーカー検査だけを受けたいということであれば、さらに割高の料金となります。

健康な人が腫瘍マーカー検査だけを受けてもさほど意味はありませんので、人間ドッグのオプションとして検査を受けると良いでしょう。

腫瘍マーカー検査の問題点

がんの進行度合いを測る目的で使うには効果的な腫瘍マーカー検査ですが、問題点もあります。がんがないのにマーカーで高い数値が出て陽性と判断されてしまうことを「偽陽性」と呼びますが、偽陽性の問題は腫瘍マーカー検査では大きな課題です。偽陽性は、腫瘍がないにも関わらず、加齢や別の病気によって腫瘍マーカーの数値が高まることで起こります。腫瘍マーカー検査の数値が高いからと言って、それだけで「がんだ」と判断するのは早計でしょう。

また、腫瘍マーカーはあくまで血液中のマーカー数値を測るため、どの臓器でどれくらいがんが増えているのかまで判断する事が難しいのも問題点の1つです。特定の臓器に発生するがんでのみ数値が変化する腫瘍マーカーでは、その結果が異常に高い値であった時にはどこの臓器のがんなのか推測することができます。しかし、多様な臓器の異常で変化する腫瘍マーカーも多く、この場合は腫瘍マーカー以外の検査をしなければ、がんがあるのかどうか、そしてそれはどこなのか、さらにはどのような状態なのかはわからないのです。

さらに、がんがあれば、必ず腫瘍マーカーの数値が増加するというわけでもなく、基準値以下でもがんがあるということは多々あるため、腫瘍マーカーの数値が低かったからといって安心できるものでもありません。

腫瘍マーカーの意味や問題点についてご紹介しました。腫瘍マーカーの値の見方がわからず不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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