脳梗塞の原因と種類 高血圧、遺伝、ストレスでなる?軽度の場合も?「脳卒中」や「脳出血」と何が違う?

  • 作成:2016/03/16

「脳梗塞」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、脳梗塞は、主に3つの種類に分けられます。それぞれどのような特徴があるのかや、高血圧、遺伝、ストレスと脳梗塞の関係を含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は6分です

脳梗塞とはどんなもの?
脳梗塞とはどんなもの?「脳卒中」や「脳出血」と何が違うの?
脳梗塞の種類 急性期と慢性期の違いは何?「軽度の脳梗塞」とは?
高血圧が原因で脳梗塞になる?
遺伝が原因で脳梗塞になる?
ストレスが原因で脳梗塞になる?

脳梗塞とはどんなもの?「脳卒中」や「脳出血」と何が違うの?

「脳卒中」という呼び名は、元々「突然、悪い風に当たって倒れる」というところから来ているようです。今では、もちろん原因は「悪い風」ではなく、その正体が「脳の血管が詰(つ)まったり、破れたりすること」だとわかっています。医学用語としての「脳卒中」は、脳の血管が詰まって起こる「脳梗塞(のうこうそく)」と、脳の血管が破れて起こる「脳出血」および「くも膜下出血」をまとめた総称名として使われています。脳卒中は「脳血管障害(のうけっかんしょうがい)」という言い方もされますが、脳血管障害という場合は症状がなくても、検査などで偶然発見された血管の異常なども含まれます。

脳の血管が詰まる「脳梗塞」が起きると、その先の血管に血液が十分に送られず、養(やしな)われていた(支配領域の)脳細胞や組織に、酸素や必要な栄養分が行き渡らなくなります。結果として、脳細胞は部分的に死滅して、死んだ細胞の担当していた機能の障害が現れます。

例えば半身の運動マヒや感覚の障害、言葉の障害(言語障害)などで、さまざまな障害が起こってきます。詰まってしまう血管がどのようなものかによって、命にかかわるほど重症なものから、症状はないままに徐々に脳の機能が低下していき、症状が出るもの(「脳血管性認知症」と言います)まであるということです。

脳梗塞の種類 急性期と慢性期の違いは何?「軽度の脳梗塞」とは?

主な脳梗塞の種類は次の3つです。

1.ラクナ梗塞;

かつて日本人に最も多かったタイプですが、現在は脳梗塞の32%を占め、患者は減少傾向にあります。主に、脳の深いところにある非常に細い動脈(直径1mm以下)が詰まって、小さな梗塞ができるものです。ラクナとは「小さなくぼみ、水たまり」などという意味で、脳の「断層撮影(だんそうさつえい;いわゆるCT)検査」で、小さな梗塞が「水たまり」のように見えることから名前がついています。

2.アテローム血栓性(けっせんせい)脳梗塞;

動脈硬化(どうみゃくこうか)の中で最も多い「アテローム硬化」が原因となる脳梗塞です。アテローム硬化とは、動脈の内膜(ないまく;最も内側の血液に接する膜)に、コレステロールなどの脂肪からなるドロドロした物質がたまって粥(かゆ)状の「塊(アテローム)」ができ、アテロームが次第に大きくなることで、動脈の内腔(ないくう;血液の通り道)が狭くなるものです。

アテローム硬化は比較的太い血管に起こることが特徴で、脳では、頚部(くび)や頭蓋内の主要な動脈(脳の広い領域を養っています)に起こります。内腔が狭くなった場所に血栓ができて。完全に詰まったり、血栓がはがれて流れ出し、先の方で詰まったりするために起こる梗塞です。欧米人に多いタイプで、日本では脳梗塞全体の34%を占めますが、近年、日本でも患者が増加傾向にあるようです。

3.心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう);

ふつう心臓の中に血栓ができることはありません。しかし、「心房細動(しんぼうさいどう;後述)」をはじめとする不整脈(ふせいみゃく)など心臓病の患者さんでは、血液が心臓の中でよどんだ状態になり、血栓ができやすくなっています。心臓にできた血栓が流れ出し、脳に運ばれて動脈が塞(ふさ)がってしまうことによる脳梗塞です。脳梗塞の中では27%を占めますが、こちらも患者が増加傾向にあります。

脳梗塞は経過により急性期と慢性期に分けられますが、急性期のうち発症から4.5時間以内の場合、「超急性期」といわれます。「超急性期」という分類がある理由は、脳の血管に血のかたまりである血栓が詰まってから間もない時間(4.5時間以内)は、薬(「t-PA;組織プラスミノゲン・アクチベーター」いうもの)により、血栓を溶かせる治療の可能性があるからです。ほとんど脳梗塞を残さずに済んだり、梗塞の大きさを縮小させる効果が期待できる治療(「t-PAによる経静脈血栓溶解療法」と言います;後述)が可能な時間というわけです。

その後の急性期は2週間程度までで、脳の細胞を保護したり、脳の腫れをとる治療が行われます。発症から約1カ月経つと脳梗塞の症状が出ている部分が固定化して、安定してしまいます。以降は「慢性期」といわれ、再発の予防や機能回復のためのリハビリテーションが中心となる時期です。

ラクナ梗塞では、梗塞自体はとても小さいので症状も軽いことが多く、手足の脱力やしびれ、ろれつが回らなくなる、などが見られます。脳の部位によっては、何ら症状を示さず本人も気づかない梗塞もあります(「無症候性脳梗塞(むしょうこうせいのうこうそく)」といいます;後述])。また、上記のマヒやしびれの症状が一時的なもので、すぐに消失することもあります。「一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ、TIA;後述)」と呼ばれ、後に本格的な脳梗塞になる危険信号とされています。良くなったからといって放置せず、必ず医療機関を受診することが必要となります。

高血圧が原因で脳梗塞になる?

脳梗塞のタイプ別に高血圧との関係を見てみましょう。「ラクナ梗塞」は、脳の深いところの細い動脈が“高血圧”のために損傷を受けて、詰まってしまうことが原因です。同時に高血圧により傷ついた血管から、小さな出血を起こしていることも多いようです。

「アテローム血栓性脳梗塞」の原因としては、動脈硬化によって血管の中の血液の通り道が狭くなり、詰まりやすくなることとされています。「脂質異常症(ししついじょうしょう;以前は高脂血症といわれていました)」「糖尿病」に加え、高血圧といった生活習慣病(成人病)は、動脈硬化の重大な危険因子になっています。

「心原性脳塞栓症」の場合、主な原因は「心房細動」という不整脈です。心房細動を発生させやすくする因子の1つとして、“高血圧”があることはよく知られています。高血圧はラクナ梗塞の直接的原因であり、その他の2つの脳梗塞にも間接的な原因として関与しています。以上のことから、“高血圧”は脳梗塞の原因として最も重要とされています。

遺伝が原因で脳梗塞になる?

「うちは脳卒中の家系だから」という話をしているのを時々耳にします。脳卒中には遺伝が関係しているという研究もあるようですが、現在までの研究を総合して考えると、遺伝のみを考えると、弱い危険因子、つまり遺伝のみを原因として脳梗塞になる可能性が高いとは言えません。

脳梗塞は、遺伝的な要素よりも、生活習慣からくる後天的な要因のほうが、脳梗塞の発症への影響はずっと強いと考えられています。「家系だから」というのは、純粋な遺伝というよりも、家族ですから同じような生活習慣が身に付いてしまっていると考えた方がよさそうです。脳梗塞をはじめとする脳卒中は、遺伝(家系)を心配するよりも、若い時から生活習慣に注意していけば、十分に予防可能な病気だともいえます。

ストレスが原因で脳梗塞になる?

1回きりの強いストレスが、脳梗塞を起こすでしょうか。「まず起こりませんが、仮に起こったとしても、その因果関係を証明することは難しい」というのが答えです。しかし、長くストレスにさらされた状態と脳梗塞の間には非常に深い関係があります。ストレスを感じた時に、副腎(ふくじん;腎臓の傍らにある内分泌に関わる小さな臓器です)から出される「ストレスホルモン(カテコラミンやコルチゾールなど)」というホルモンは、血管を収縮(しゅうしゅく)させることで、血圧を上げ、高血糖や高脂血症の原因となることが知られています。貯まったストレスによる暴飲暴食(ぼういんぼうしょく)などの食生活の乱れは、さらに脂質の異常をもたらすでしょう。

高齢者の病気と思われがちな脳梗塞ですが、30から40歳代の働き盛りで家族を支える人や子育て中の女性などストレスを貯めがちな生活を送る方々にも十分おこりうる病気です。予防に向けては、ストレスを含めて、もう一度、生活習慣を見直してみることが大切でしょう。


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脳梗塞の原因と種類についてご紹介しました。家系に脳梗塞を発症する人が多くて、不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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