脳梗塞の死亡率、発症年齢、予後 寿命短くなる?20代でもありえる?後遺症なしの可能性は?

  • 作成:2016/03/16

「脳梗塞」は、発症した場合、後遺症が残る可能性が高いものがあり、寿命への影響も国内の研究で明らかになっています。20代でなる可能性や、後遺症が残らない可能性があるかを含めて、医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

脳梗塞は20代でもなる?
脳梗塞が起きやすい年齢がある?20代でも起こる?
脳梗塞の死亡率はどれくらい?寿命が短くなる?
脳梗塞の予後 発症後の生活への影響
脳梗塞から、後遺症などがなく回復できることがある?

脳梗塞が起きやすい年齢がある?20代でも起こる?

脳梗塞には「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓症」の3つのタイプがあります(脳梗塞の種類については、別の記事で詳しく解説しています)。好発年齢(こうはつねんれい、よく起きる年齢)は、いずれも60歳から80歳代にありますが、高血圧が原因であるラクナ梗塞は、やや60歳代の日御に多くみられます。また、人口の急激な高齢化により「心房細動(不整脈の1種。加齢によるもので、80歳以上では約10人に1人は心房細動があると言われています)」をもつ高齢者が多くなっている可能性があります。したがって、心房細動が主な原因である心原性脳塞栓症は、80歳代が最も多くなっています。

「アテローム血栓性脳梗塞」は、食生活の欧米化による脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病に関連して増加傾向にあります。生活習慣からくる動脈硬化が主な原因であり、今後、低年齢化が起こっても、おかしくない脳梗塞といえるでしょう。30歳から40歳代はもちろんのこと、20歳代に起こる可能性も全くないわけではありません。事実、最近の20歳から30 歳代の人たちのコレステロールレベルは、アメリカ人よりも高いというデータが出ています。一般に40歳または45歳までの若い人に起きた脳梗塞を「若年性(じゃくねんせい)脳梗塞」と呼んでいます。ただ、「若年性脳梗塞」は、正式に定義されている病名ではありません。

脳梗塞の死亡率はどれくらい?寿命が短くなる?

死亡率を含めた転帰(てんき、病気の経過)も、脳梗塞のタイプにより大きな違いがあります。2009年の脳卒中データバンクによれば、退院時に介助を必要とする「中等度」から「重度」に分類される障害を残している「転帰不良」にあたる患者さんの割合は、「ラクナ梗塞」、「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳塞栓」の順におよそ23%、41%、45%で、死亡率は、それぞれ約1%、7%、19%となっています。心原性脳塞栓症が最も重症で、アテローム血栓性脳梗塞の順で続きます。これらに比べ、ラクナ梗塞は、比較的軽症と言えます。

脳梗塞自体の大きさ、後遺症の程度および合併症の有無などで、それぞれの患者さんの寿命への影響はさまざまなものになるでしょう。しかし、全体として推計した調査もあります。脳卒中で有名な「秋田県立脳血管研究センター」のデータでは、50歳日本人男性の平均余命(各年齢でそれぞれ平均してあと何年生きられるかというもの)が28.9年である時に、脳梗塞を患(わずら)うと20.9年になり、60歳男性の平均余命20.6年に近づきます。

女性でも50歳の平均余命が35.0年であるのに対して、脳梗塞を起こすと30.8年となり、60歳女性の平均余命25.9年に近くなります。それぞれの年齢で平均余命の短縮を調べてみて、結果として、脳梗塞発症者の平均余命は、男女とも実年齢のおよそ10歳上の人の平均余命になると結論しています。簡単に言いますと、脳梗塞を起こすと、10年近く寿命を短くしてしまうという捉え方になります。

脳梗塞の予後 発症後の生活への影響

脳梗塞を起こして壊れた脳の細胞は、生き返ることはありません。したがって、脳梗塞を起こした場所や大きさによって、後遺症としてさまざまな障害が現れてきます。歩行障害などによる転倒や後遺症によって寝たきりの状態となってしまったり、身体の機能が徐々に低下していくことも少なくありません。2013年の国民生活基礎調査の概況によれば、介護が必要になる原因のトップは脳梗塞、脳出血をはじめとする「脳血管疾患」で、全体に占める割合は約22%となっています。程度別に見てみると、要介護1から3までになる原因の1位は認知症(にんちしょう)でしたが、要介護の4と5では、脳梗塞をきっかけとしている患者が、共に全体の30%以上で、脳血管疾患が第1位になっています。脳梗塞になると、特に高度な介護が必要になるようです。

脳梗塞の発作を起こしてから7日以内に入院(全国156病院)した約17,000人の患者さんを対象とした予後を調査した研究もあります。退院時の歩行や移動の状況の割合は以下の通りです。

・杖なしで歩くことができた人;58%
・杖歩行;11%
・車いす;16%
・寝たきり;8%
(死亡;7%)

さらに、翌年に行われた追跡調査における、日常生活の障害の程度は、以下の通りです。

・何ら症状なし;16%
・症状はあるが障害なし;31%
・軽度の障害で介助は不要;15%
・介助は必要だが歩行可能;13%
・歩行や日常生活に介助が必要;13%
・寝たきりで常に介助が必要;11%
(死亡;5%)

「3分の1以上の患者さんが、脳梗塞を発症すると、日常生活で何らかの介助を必要とする状態になる」ということになります。

脳梗塞から、後遺症などがなく回復できることがある?

ラクナ梗塞は小さな梗塞(直径1.5cm以下)であり、影響する範囲も狭いため、無症状のものや症状があっても軽症である場合が多くなっています。運動の障害がある場合も、早い時期からリハビリテーションを実施して、体の機能改善をはかれることが多く、約80%の患者さんが日常生活の自立が保たれるとされています。一般に機能回復が期待できる確率の高い脳梗塞です。

血栓(血のかたまり)により、脳血管が塞がれて、その先の血流が途絶(とだ)えてしまうと、広い範囲の脳が侵される可能性があります。血栓タイプの脳梗塞に対して、発症から時間の経っていない非常に早期に、血栓を溶かしてしまう薬を使う治療法(「血栓溶解療法」と言います)があります。現在、最も有効とされている治療であり、約4割の患者さんが3カ月後に症状がほとんど消失する程度まで回復することができるといわれています。治療による血流の再開が早ければ早いほど、回復の見込みが高くなり、後遺症なども残さない可能性が高くなります。


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脳梗塞の死亡率と寿命への影響などについてご紹介しました。家系に脳梗塞を発症する人が多くて、不安に感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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