緩和ケアとは?受ける患者の余命と関係ある?入院しないとダメ?「緩和ケア病棟」とは?

  • 作成:2016/05/27

緩和ケアとは、病気について、体だけでなく、精神の問題からアプローチするケアのことです。一般的に末期がんの方が受けるイメージがあるかもしれませんが、がん患者以外が受けることもあります。入院が必須かどうかも含めて、専医師監修記事でわかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は3分です

緩和ケアってどんなもの?

緩和ケアとは何?定義は?

緩和ケアとは、「界保健機関(WHO)により以下のように定義されています。

・生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、 心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、 苦しみを予防し、和らげることで、クオ」リティ・オブ・ライフを改善するアプローチである。(2002,WHO)

つまり病気に関連して起こった痛みや身体の問題だけでなく、精神面での問題や家族の抱える問題にもアプローチすることで苦痛をできるだけ少なくし、人間らしく積極的に生きる手助けを行うケアと位置付けられます。

緩和ケアになる患者は人?余命と関係がある

緩和ケアの対象となる病気ではがんが一般的ですが、WHOの定義にある通り「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者」、つまり、後天性免疫不全症候群(AIDS)や心不全、慢性閉そく性肺疾患など様々な病気の患者さんも緩和ケアを受けることになる場合があります。

緩和ケアは「がんの末期に受けるもの」「もう治療の方法がなくなった場合に受ける」というイメージをお持ちの方も少なくありません。しかし、実際には余命と関係なく、がん治療の初期からがんの治療と並行して、緩和ケアを受けることができるのです。がんが初期であっても痛みがある場合や抗がん剤、放射線などの影響で吐き気などの症状に悩まされる方も多くいらっしゃいます。そのような辛い症状があるままでは、がんの治療もつらく、生活も苦しいものとなります。余命に関係なく、このようなつらい症状を和らげるのが緩和ケアなのです。

緩和ケアの費用はどれくらい?入院しなくても受けられる?

緩和ケアの費用については、以下の3つのパターンで異なります。

(1)一般病棟に入院して受ける
(2)緩和ケア病棟に入院して受ける
(3)自宅から病院へ通院、または訪問診療を利用して受ける

(1)の場合は治療中の病院に入院し、治療と同時に緩和ケアを受けます。この場合、緩和ケアが開始された日から中止または退院日まで、これまでの医療費に加えて3 割負担の方で1日1,200円、1割負担の方:1日400円の加算がされます(2016年4月現在)。

(2)の場合は厚生労働省によって認定された緩和ケア病棟に入院して緩和ケアを受けます。治療内容に関わらず医療費は一定で、入院30日以内の場合は3割負担の方は、1日14,778円、1割負担の方は1日4,926円とされています(2016年4月現在)。このほか、個室料や差額ベッド代など医療保険適用外の費用もかかります。

(3)の場合は自宅で生活しながら緩和ケアの外来や診療所に通院したり、自宅に訪問看護や訪問診療に来てもらうことで緩和ケアを受けられます。外来通院や訪問診療による緩和ケアでは診療料、お薬代などがかかります。訪問看護は介護保険、医療保険などどの保険を利用するかによって、利用できる回数や時間、費用が異なるため、お住いの市町村の介護保険窓口や病院のソーシャルワーカーに相談し、自分に最適な制度を選ぶ必要があります。

緩和ケア病棟とは何?

緩和ケアを専門に行う病棟を「緩和ケア病棟」、または「ホスピス」と呼びます。海外では緩和ケア病棟とホスピスの役割は異なる場合もありますが、日本ではほぼ同義語として使用されています。緩和ケアを受けられる場所は緩和ケア病棟のほか、一般の病棟に入院して病気の治療と同時に緩和ケアを受ける場合や、病状が安定している場合は入院ではなく自宅から外来へ通院したり、自宅への訪問診療を利用して緩和ケアを受けられる場合もあります。

緩和ケアについてご紹介しました。家族の病気に不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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