めまいの薬の効果と副作用 市販薬、漢方、酔い止めも効く?メスロリン、セファドールとは?点滴を使う場合とは?

  • 作成:2016/05/19

めまいは多様な原因で起こるために、薬も多くあり、場合によっては点滴をうつこともあります。病院で処方される薬の効果や副作用、酔い止めや漢方薬の効果も含めて、医師監修記事で、わかりやすく解説します。

アスクドクターズ監修医師 アスクドクターズ監修医師

この記事の目安時間は6分です

めまいの治療に使う薬はどんなもの?
めまい治療で使う薬の効果 メリスロンとは?
セファドールとはどんなもの?
メリスロン、セファドールの副作用は?
めまい治療で点滴をうつことがある?どんなもの?
めまいに効く漢方薬はある?
めまいに効く市販薬はある?
「めまいに酔い止めが効く」は本当?

めまい治療で使う薬の効果 メリスロンとは?

めまいの治療で使用されるお薬のうち、一般に「めまい止め」や「抗めまい薬」と呼ばれる内服薬(飲み薬)があります。現在、日本で「抗めまい薬」として保険が適用されている(患者さんの負担が1割から3割になる)内服薬は2種類あり、それぞれ商品名を「メリスロン」「セファドール」といいます。メリスロンとセファドールはどちらもめまいに使用されるお薬ですが、それぞれ効き方や副作用も異なるため使い分けがされています。

メリスロンは「メニエール病」という病気に特に効くとされているお薬です。メニエール病とは、耳の中の「内耳(ないじ)」という部分が、リンパ液という液体によって水ぶくれのような状態(内リンパ水腫:ないりんぱすいしゅ と言います)となったために起こる病気です。

耳は医学的には外側(外に近い側)から、「外耳(がいじ)」「中耳(ちゅうじ)」「内耳(ないじ)」の3つに分けられており、内耳は、更に「三半規管(さんはんきかん:身体の平衡感覚を司る部分)」と「蝸牛(かぎゅう:音の聞こえを司る部分)」に分けられます。内耳(三半規管、蝸牛)は、リンパ液という液体で満たされていますが、メニエール病では、何らかの原因でリンパ液が多くなり。内耳が水ぶくれのような状態になっているために、内耳の機能が障害されます。三半規管の機能である平衡感覚(身体のバランス)が障害されるとめまいの症状となり、蝸牛の機能である聞こえが障害されると難聴や耳鳴り、耳がつまった感じの症状となって現れるのです。

メリスロンは、内耳に効果を発揮して、内耳の筋肉を柔らかくほぐしたり、内耳の血行を改善したりすることで、内耳の循環を良くし、内リンパ水腫を解消することで、めまいを改善するお薬です。また、メリスロンは内耳だけでなく、脳にも働いて、脳の血液循環を良くすることでもめまいを改善すると考えられています。

セファドールとはどんなもの?

「セファドール」という薬は、脳に血液を運ぶ「椎骨動脈(ついこつどうみゃく)」という太い血管を拡げることで、脳の血流を改善し、めまいの症状を抑えます。また、平衡感覚をつかさどる「前庭神経」」という神経の働きを良くすることでも、めまいの症状を抑えます。そのためセファドールは、メニエール病に限らず耳が原因で起こると考えられためまい全般に使用されています。また、めまいの原因がはっきりしない場合には、メリスロンとセファドールを併用することもあります。

メリスロン、セファドールの副作用は?

メリスロンとセファドールは効き方が異なるため、副作用もそれぞれ違います。メリスロンは吐き気や発疹が出ることがあるほか、気管支喘息がある患者さんの場合、症状を悪化させることがあるため注意が必要です。セファドールは緑内障という眼の病気や前立腺肥大という病気の症状を悪化させる可能性があるため注意が必要なほか、腎臓の機能が悪い方は飲んではいけないと決められています。

めまいではメリスロン、セファドールのほか、吐き気とめまいを止める作用を持った「トラベルミン」というお薬や、全身の血液循環や代謝を良くする「アデホスコーワ」、身体の中の水分を尿として排泄させてめまいの症状を改善する「イソバイドシロップ」などがあります。症状に合わせて、多数の薬を組み合わせた治療が行われます。

めまい治療で点滴をうつことがある?どんなもの?

めまいで病院を受診すると、ごく軽症の場合は内服薬(飲み薬)だけですが、中等度から重症の場合は点滴が行われます。めまいの点滴では「メイロン」というお薬が一般的によく使用されています。

メイロンがなぜめまいに効果があるかは、実は良く分かっていない部分もあるのですが、メイロンは浸透圧が高く、血管の中に水分を引き込む効果があるため、めまいの原因として多い内耳の水ぶくれ(内リンパ水腫)を改善し、めまいを止める効果があると考えられています。内耳にリンパ液という水分がたまって内耳の機能に異常があって、めまいが起こっている場合、内耳から血管の中に水分を引っぱって移動させることで、内耳の水ぶくれ状態を改善すると考えられているのです。ただ、「メイロンの作用には根拠がない」という意見もあり、はっきりとはしていません。効き方がはっきりしていないものの、救急外来でメイロンを注射するとめまいが楽になったという患者さんが多いため、日本では非常に良く使用されている点滴です。

メイロンの他には、吐き気が強い場合は吐き気止め、不安が強い場合は気分を楽にして眠くなるようなお薬などを患者さんに合わせて点滴します。点滴を行ってもめまいが改善しない場合や、多少改善したが歩いて帰れないような場合はそのまま入院になるケースもあります。

めまいに効く漢方薬はある?

めまいでは、場合により漢方薬が処方される場合があります。内耳の水ぶくれ状態(内リンパ水腫)によってめまいが起こっていると考えられる場合に、よく使用されるのが「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬です。五苓散は水分の代謝を改善する効果があり、内リンパ水腫を改善させると考えられるほか、吐き気にも効果がみられます。また副作用もあまりなく子供からお年寄りまで幅広く安心して内服できるため、他のめまい止めの効果がある西洋医学の薬と一緒に処方されることがよくあるお薬です。

その他、立ちくらみのようなめまいは「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」、もともと胃腸が弱くて頭痛、吐き気、だるさなどがある方のめまいでは、「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」というお薬を使用することもあります。

漢方薬は症状だけでなく、年齢や性別、体力の有無、顔色など一人一人の体質に合わせて処方されるお薬です。同じようなめまいでも、処方されるお薬が違うことはしばしばあり、また体質に合わないお薬を飲むことで、かえって症状や体調が悪くなることもあるため、ドラッグストアなどで購入した漢方薬を自己判断で使うことは避けた方が安全です。

めまいで漢方薬による治療を希望する場合は、できるだけ漢方治療の専門医を受診して、体質に合ったお薬を処方してもらいましょう。

めまいに効く市販薬はある?

めまいの原因は数多くあるため、全てのめまいに必ず効くというお薬は処方薬、市販薬に限らず基本的にはありません。めまいの原因ごとに対処法や必要なお薬が異なるためです。また、めまい以外に耳鳴り・難聴など聞こえ方の異常がある場合や、吐き気・しびれや麻痺・うまく立てない・歩行の異常・ろれつが回らないなどの症状がある場合は、市販薬で様子をみることなくすぐに病院を受診する必要があります。

めまい以外の症状が全くみられず、歩行や食事など日常生活に支障のない程度の軽いめまいの場合は市販薬で様子を見ても構いません。

「めまいに酔い止めが効く」は本当?

めまいに酔い止めが効くという報告があります。「酔い止め」と一言で言っても製品ごとに成分が少しずつ違いますが、一般的な酔い止めの成分は多くの場合下記の4つの代表的な成分が基本となり、(1)から(4)の成分のいくつかを中心に組み合わせて作られていることが多いようです。

(1)抗ヒスタミン薬 脳における「ヒスタミン」という成分の働きを抑えるお薬です。ヒスタミンは、脳などの中枢神経系で嘔吐や反射に関わる働きを持っています。ヒスタミンの働きを抑制することで吐き気、嘔吐、めまいなどの症状を予防・緩和することができると考えられます。またヒスタミンは睡眠にもかかわっているため、抗ヒスタミン薬を飲むと眠くなります。

(2)カフェイン系の薬 揺れなどによって起こる感覚の混乱を抑制し、乗りもの酔いやめまいを予防する効果があります。また抗ヒスタミン薬によって起こる眠気を抑える働きもあります。

(3)抗コリン薬 身体を支配する自律神経は「交感神経」「副交感神経」という2種類の神経があり、それぞれバランスをとりあって身体の機能を維持しています。抗コリン薬は、副交感神経を抑制する薬です。副交感神経には様々な働きがありますが、その一つに胃腸の運動を抑える働きがあり、胃腸の過剰な運動を抑えることで、吐き気や嘔吐を予防することができます。この吐き気止めの効果のため、抗コリン薬は酔い止めの薬に入っていることが多いのです。

(4)ビタミンB群 ビタミンB群は神経の働きを正常に保つ働きがあり、めまいや吐き気止めの効果を期待してビタミンB6、ビタミンB12などが酔い止めに配合されることがあります。

上記のように、酔い止めには、めまいや吐き気を抑える効果がある薬が複数配合されています。乗り物酔いなどによるめまいや吐き気には一定の効果があると言えるでしょう。

しかし、耳の病気からくるめまいや、血圧・血糖値が原因となる病気からくるめまい、脳卒中によるめまいなど病気の症状のめまいには効果がないばかりか、市販薬で様子をみることでかえって原因となっている病気の治療が手遅れになることも考えられます。

めまい以外に症状がある場合や体調に異変を感じるような場合は、市販薬で様子を見ることなく、すぐに病院を受診したほうが安全です。


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めまいの薬の効果や副作用についてご紹介しました。めまいを感じて、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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