切迫早産の兆候と症状 破水は高リスク?便秘、腹痛、出血に特徴?胎動はどう変化?何週ごろ起きる?

  • 作成:2016/08/30

妊娠中はさまざまな体な異変が起こり、精神的に不安定になりがちになります。何かいつもと違うと「切迫早産では」と思ってしまうかもしれません。切迫早産の兆候、症状について、専門医師の監修記事で、わかりやすく解説します。

平松晋介 監修
ちくご・ひらまつ産婦人科医院 院長
平松晋介 先生

この記事の目安時間は6分です

切迫早産の兆候とはどんなもの?

目次

切迫早産の兆候(自覚症状)はどんなもの?何週ごろ起きる?

切迫早産は、本質的には、正常な分娩と同じ経過をたどります。初期症状としては、子宮収縮による下腹部痛が生じます。ただし、子宮の収縮性というのは妊娠の経過とともに少しずつ高まっていくものなので、下腹部痛だけで切迫早産を判断することは困難です。

切迫早産が進行していくと、頸管が熟化していき、内子宮口の開大、子宮頚管の展退(頸管が短くなること)などが見られ、分娩に向かっていきます。胎児は羊水とともに「卵膜」という膜に覆われています。卵膜と子宮壁は、通常密着していますが、内子宮口の開大によって剥がれると、少量の性器出血がみられるようになります。これが産徴、いわゆる「おしるし」です。さらに進行すると、前期破水が起こります。通常の出産では、陣痛がきてからし、破水が起こりますが、切迫早産では破水が先に起こります。これを「前期破水」といいます。破水すると、子宮の収縮力が更に強くなるため、破水が起きてしまうと、早産が避けられません。

これらの症状は、切迫早産とされる妊娠22週から妊娠37週未満のいずれでも起こり得ます。産徴(おしるし)、前期破水がみられる前の段階で、下腹部痛の急な増強に異常に気付くことが大切です。

切迫早産で胎動は起きる?場所など特徴はある?

胎児は、妊娠15週ごろから、筋肉の活動が始まり、わずかに胎動を感じるようになります。ただし、この頃の胎動は微弱なので、一般的に胎動を感じるようになるのは妊娠20週頃といわれています。切迫早産でも、通常の妊娠と同じ経過をたどりますので、はじめのうちは通常と同じように胎動が起きます。胎児は妊娠週数に伴ってある程度大きくなると、自由に動けるスペースが小さくなっていって、正常位(頭が下の状態)でいる時間が長くなります。一方、まだ小さいうちは、羊水という広いプールの中で自由に動き回れる状態です。上下左右360度動くことができるので、特定の場所というのはありません。

切迫早産によって内子宮口が開大してくると、その開いたところに向かって胎児の頭が下りてきます。胎児の頭が骨盤の入り口まで下りてきて固定されると胎動が減ります。したがって、切迫早産では胎動を感じる期間が通常よりも短くなります。 ただし、胎動の消失というのは胎児機能不全や臍帯の異常(へその緒が首に巻き付いていることもあります)など、時に危険なサインでもあります。胎児は40分の周期で睡眠と覚醒を繰り返すので、数時間胎動が感じられない場合は主治医に相談することをおすすめします。

切迫早産で破水は起きる?特徴はある?

切迫早産と早産の分かれ目として、破水があります。

通常の破水は次のように起こります。陣痛によって子宮の収縮が強くなると、胎児の頭が下りてきます。子宮頚管近くでは、「胎児の頭」「子宮壁」「卵膜」とで区切られた空間ができ、ここを「胎胞」とよびます。そこに溜まっている羊水を「前羊水」とよびます。さらに収縮力が強くなると、卵膜が圧力に耐えられなくなり、胎胞が破たんして、羊水が流出します。これが破水です。

切迫早産は、頸管が熟化して今にも分娩が始まりそうな状態ですので、内子宮口の開大に続いて、おしるしがみられ、その後も子宮の収縮力が高いままだと、破水してしまいます。切迫早産では陣痛の前に破水が起こり、この場合の破水を「前期破水」といいます。

妊娠34週未満の前期破水では、胎児は未成熟で胎外での生活に適応できないので、妊娠を維持する処置を行う必要がありますが、一度破水してしまうと早産に至ってしまうことが多いです。前期破水が起きてから、24時間以内に約半数、1週間以内に約85%が早産となってしまいます。

また、羊水は、外界からの細菌やウイルスから胎児を守る働きがあるため、羊水が失われると、子宮内感染のリスクがあがります。子宮内感染が起こってしまうと、妊娠を続けることは、胎児だけでなく、母体も危険な状態にあるため、「分娩誘発(子宮収縮薬を使って人工的に分娩を起こす)」や帝王切開によって妊娠を終了させる必要が出てくることもあります。

切迫早産で便秘は起きる?特徴は?

切迫早産では便秘がみられることが多くなっています。妊娠中は、卵巣から分泌される「プロゲステロン(黄体ホルモン)」というホルモンの量が増加しています。プロゲステロンは子宮筋層の毛細血管を発達させる働き、子宮収縮を引き起こす「オキシトシン」というホルモンの感受性を低下させる働きなど、妊娠を維持するのに必要不可欠なホルモンです。

プロゲステロンが便秘に関わる作用として、「平滑筋」という筋肉を弛緩(緊張をといて、ゆるめること)させる働きもあります。「平滑筋」とは、消化管や血管などを形成している筋肉で、四肢などを形成している「横紋筋」とは異なり、自分の意思で動かすことができない種類の筋肉です。平滑筋がゆるむと、消化管の内容物を下に送っていくための「蠕動運動(ぜんどううんどう)」が低下し、食物の消化管通貨に時間を要するようになります。結果として便秘になります。さらに、妊娠中は増大した子宮が、下腹部の消化管を圧迫するので、物理的にも便秘になります。

ただでさえ、妊娠中は便秘になりやすい状態になっていますが、切迫早産では、子宮収縮を抑えるために安静にする必要があります。運動不足によって筋力が低下すると便秘になりやすくなり、また適度に身体を動かさないと消化管の蠕動運動も起こりづらくなります。さらに、排便の時にいきむのも控える必要があるので、ますます排便しづらい状態になっています。

消化管の活動は「副交感神経」といって、リラックスしている時に活性化する神経のよって支配されています。切迫早産のように、いつ出てきてしまうか分からない、そのために「身体に負担をかけるのを控えなければならない」と常に不安や心配を抱えていると、交感神経といって副交感神経に相反する働きをする神経が活性化してしまい、このことも便秘を引き起こす原因となっています。

切迫早産で出血は起きる?特徴は?

「切迫早産」では、分娩が近づくと産徴(おしるし)による出血がみられることがあります。産徴(おしるし)とは、正式に、分娩開始頃にみられる「血性粘液性帯下(けっせいねんえきせいたいげ)」の排出をいいます。

はじめ卵膜と子宮壁は張り付いていますが、子宮下部が開いていくと、卵膜の下端部が子宮壁から剥離していきます。このとき、子宮壁の血管が一部破れて軽度の出血が見られます。頸管では粘液が分泌され、特に妊娠中は粘液量が増加しているので、出血と粘液が混ざり、べとべとした粘液に血が混ざった「帯下(おりもと)」としてみられるのが「おしるし」です。ただ、産徴なしに分娩が開始することもあるので、必ず出血が起きるとは限りません。産徴がみられると、次には破水が起こることになります。破水が起こると、早産を避けるのは難しくなってくるので、破水が起こる前の段階で妊娠を継続できるかが重要となります。

切迫早産でお腹の張り・腹痛は起きる?特徴は?

切迫早産の初期症状はお腹の張りです。下腹部の張りから始まり、張りが増強すると下腹部痛が見られるようになります。下腹部痛は、強い子宮の収縮によって生じるもので、下腹部痛は妊娠の経過とともに増大します。子宮の収縮は、分娩が近づくにつれて強さが増し、周期的になる特徴があり、切迫早産では、下腹部痛の急激な増強と、規則的な周期がみられるようになります。

また、内子宮口が開大してくると、子宮の高さが下がっていきます。すると、これまで圧迫されていた横隔膜が解除されます。結果として、上腹部が急に楽になり、多くの妊婦は胎児が下降したと感じて「児頭下降感」と呼ばれます。

ただ、切迫早産の原因のひとつに「頸管無力症」がありますが、この場合に限りお腹の張りや腹痛は明らかではありません。頸管無力症は、胎児の出口を塞いでいる壁が薄くなっている体質により起こります。強い子宮収縮により分娩が進もうとしている他の病態とは異なり、頸管無力症では初期症状がみられないうちに分娩が進んでしまうことになります。

切迫早産で腰痛は起きる?特徴は?

切迫早産でも、腰痛は起こりますが、通常の妊娠ほど悪化することは少ないと考えられています。妊娠中の腰痛の原因には、姿勢と血流の障害との2つの要因があります。

子宮が増大すると、重心は前方に移動します。妊婦がバランスをとるためには、腰を前に突き出し、肩を後ろに引く姿勢をとらなければなりません。これは「脊柱起立筋」といって、背骨の周辺にある筋肉にかなりの負担をかけ、腰痛の原因になります。分娩が近づいて骨盤の関節がゆるくなると、姿勢を安定化させるのが難しくなり、これも腰痛を引き起こす原因となります。

また、妊娠中は不安やストレスで、交感神経が優位になっています。交感神経が優位になると、動物的には、いわゆる「戦闘状態」を意味し、筋肉への血流量が増加する一方、内臓への血流量は低下します。これが身体全体の血行不良につながります。血管は神経とならんで走っていることが多く、血液の滞りにより、血管内に血液が溜まると、周りにある神経を圧迫することになります。特に妊娠中は骨盤内の血液量が増えているので、骨盤内の神経が圧迫されて腰痛を引きおこります。

妊娠中は、出産に備えて出血が止まりやすいよう、「凝固因子」といって血を固める成分が血液中に増えています。すると、血液が普段よりもどろどろになって、これも血行障害の原因になっています。



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切迫早産の症状などについてご紹介しました。切迫早産に対して、不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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