逆子(骨盤位)の疑問 エコーで判明?性別がわからない?「横位」は「逆子」とどう違う?

  • 作成:2016/08/18

逆子はエコーで簡単に調べることができますが、性別がわかりにくいことがあります。性別がわかりにくい理由や、逆子と間違える可能性のある「横位」の概要を含めて、専門医師の監修記事でわかりやすく解説します。

近藤恒正 監修
落合病院 副院長
近藤恒正 先生

この記事の目安時間は3分です

逆子は性別がわかりにくい?

目次

逆子はエコーでわかる?

逆子はエコーで簡単に診断することができます。エコーは、放射性による被曝などの悪影響がない安全な検査です。

「エコー」というのは、超音波を出す「プローブ」という機械をお腹に当てて、超音波の反射を映像化する検査です。お母さんが横になった状態でプローブをお腹に垂直に当てると、お腹を輪切りにした面を見ることができます。

エコーでは骨などは白く、水の溜まっているところは黒く見えるので、プローブを上下に動かして、頭蓋骨や手足の長管骨、胃胞(胃の中には水が入っていて黒く見える)、膀胱などの位置を確認することができますし、赤ちゃんの身体の向きや位置を知ることができます。

逆子だと性別がわかりにくい?

逆子では性別がわかりにくいといわれています。赤ちゃんの外性器は12週ごろに形成されるので、これをエコーで確認することで性別を判断することができるようになります。陰茎が確認できれば男児、割れ目が確認できれば女児と判断されます。

ただし、簡単に確認できない場合もあります。エコーはお母さんのお腹に当てるので、赤ちゃんが後ろを向いてしまっていたり、足を閉じてしまっていれば、見ることはできません。

「逆子は性別がわかりにくい」といわれる原因には、子宮の形と骨盤内の臓器の影響の2つが考えられています。子宮は、子宮下部である「子宮口」側が狭く、子宮上部である「子宮底」が広い形をしています。頭位では、広いスペースで足やお尻を伸び伸びと動かすことができるので、その分、外性器を確認しやすくなりますが、逆子では足やお尻を狭いスペースに入れていることになるので、どうしても足を閉じがちになって、外性器を確認するのが難しくなります。

また、子宮底部はお母さんのお腹のすぐ近くにあるため、エコーでも確認しやすい位置にありますが、子宮口は骨盤を形成している骨や膀胱など、骨盤内の他の臓器の影響を受ける結果として、外性器の状態を判断するのは困難になります。

以上のような理由から、逆子では性別がわかりにくいといわれています。

科学的な見地から逆子だとダウン症を含めて障害をもちやすい?

逆子だと障害をもつリスクがあがるということはありません。逆子になる赤ちゃん側の原因として、羊水過多を伴う「消化管奇形」や、「無脳症(大脳の大部分が形成されない先天性の奇形)」や「水頭症(脳脊髄液が脳内でたまり、脳室や頭蓋腔といった脳内の空間の拡大がみられる先天性の奇形)」などの胎児奇形があげられます。ただ、このような奇形がある場合に逆子になる可能性が高いのであり、逆子だから奇形の病気があるかといえば、それはほとんどの場合で当てはまりません。

消化管奇形は5,000人に1人、無脳症は30,000人に1人から3人、水頭症は1,000人に1人の発生頻度といわれています。現在の日本の出生数は100万人であり、30週頃に逆子である確率は約15%であるため、この時期でも15万人の赤ちゃんは逆子の状態です。「逆子だから障害をもっている」というには程遠い確率であることが分かります。

また、ダウン症は1000人に1人の割合でみられる病気ですが、高齢出産など卵子の加齢によって生じる染色体異常による病気であり、やはり逆子との関連はありません。逆子と障害の有無は、「別物である」と理解しておいてよいでしょう。



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「横位」とは?逆子とどう違う?

子宮はお母さんの身体に沿って縦に長い臓器であり、赤ちゃんの出口である子宮口が下側、子宮の天井にあたる部分、上部分を「子宮底」といいます。赤ちゃんの正常な胎位である「頭位」では子宮口側に頭、子宮底側に足やお尻があります。逆子は、これが逆で子宮口側に、足やお尻、子宮底側に頭がある状態です。

一方、子宮が縦に長い臓器であるのに対し、赤ちゃんが横になってしまっている状態を「横位」といいます。つまり、頭位あるいは逆子の状態から90度回転してしまっていて、赤ちゃんの軸と子宮の軸が直角に交差している状態です。妊娠9カ月までの時期であれば、横位になっていることは珍しくありませんが、分娩の時期に横位になる頻度は0.3%であり、非常にまれな胎位です。

原因はお母さん側と赤ちゃん側の2種類に分かれます。お母さん側(骨盤側)の原因としては、骨盤が狭い場合や子宮下部にできた筋腫などがあります。赤ちゃんは骨盤に頭を固定するので、固定するだけのスペースがないと横に滑ってしまいます。また、経産婦の場合、「腹壁(腹腔を取り囲んでいる壁)」が緩んでいるために、胎児の動きに柔軟に対応できてしまうために横位になることがあります。

赤ちゃん側の原因には、羊水過多症や未熟児などが挙げられます。 羊水が多い状態を「羊水過多症」といい、原因にはお母さんの糖尿病や赤ちゃんの消化管の奇形などが考えられます。糖尿病では、血液に溶けている糖の濃度が上がり、高血糖になります。すると、胎児に多尿の症状がみられるようになります。お母さんが糖尿病の場合、赤ちゃんも高血糖になり、多尿がみられるようになります。羊水は主に赤ちゃんの尿由来ですので、この場合、羊水過多症になります。

また、赤ちゃんは羊水を飲んで小腸で水分を吸収します。赤ちゃんの消化管が上手く形成されない奇形の場合には、羊水を吸収する量が減るので、これも羊水過多症の原因になります。

羊水過多症や、未熟児のように相対的に子宮腔が広くなっている場合は、赤ちゃんが横になるスペースができてしまうので、横位になることがあります。



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逆子のエコーでの判明可能性や「横位」などについてご紹介しました。検診で「逆子」と指摘されて不安を感じている方や、疑問が解決されない場合は、医師に気軽に相談してみませんか?「病院に行くまでもない」と考えるような、ささいなことでも結構ですので、活用してください。

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