蕁麻疹はストレスでも出る?多種多様な原因と症状の現れ方

  • 作成:2021/08/20

イラクサ(蕁麻)の葉に触れると皮膚が赤く盛り上がりかゆくなることが、病名の由来とされる蕁麻疹。子どもからおとなまで、強烈なかゆみに悩まされる人は少なくありませんが、その原因を特定するのはなかなか難しいといわれています。 ※この記事は医師監修のもと、作成しております

アスクドクターズ監修ライター アスクドクターズ監修ライター

この記事の目安時間は3分です

蕁麻疹はストレスでも出る?多種多様な原因と症状の現れ方

蕁麻疹の原因は多種多様

蕁麻疹の原因は多種多様で、約7割が原因不明とされています。
蕁麻疹には、大きく分けて「アレルギー性」と「非アレルギー性」のものがあります。アレルギー性の蕁麻疹は、食品、薬、ダニ、ホコリ、花粉など、アレルギーを起こす物質が原因となります。一方、非アレルギー性の蕁麻疹は、「物理性の刺激(皮膚のこすれや寒冷・日光など)」や「発汗(入浴や運動など)」など身の回りの環境が原因になります。

蕁麻疹の多くは繰り返し、何日も続くことが少なくありません。最初の症状が出て1か月以内のものは「急性蕁麻疹」、それ以上続くものは「慢性蕁麻疹」と分けられます。慢性蕁麻疹の多くは原因を解明できないといい、原因が重なったり2種類以上の蕁麻疹が同時に出たり、体質と要因が組み合わさって起こることもあり、原因の特定はますます難しくなります。

また、蕁麻疹の現れ方も様々です。膨疹(ぼうしん)(皮膚の盛り上がり)は体の一部、手足全体、顔など、体のどこにでも出ます。形も円形、楕円形、線状、花びら状、地図状など様々です。一つひとつの膨疹がつながって、体の表面が、ほぼ覆われてしまうこともあります。虫刺されに似ていることもありますが、虫刺されはしこりや跡が残るのに対し、通常の蕁麻疹は跡形なく消えてしまうのがほとんどです。

蕁麻疹の引き金は日常生活の中にある

とはいえ、明らかになっている原因はいくつもあります。その多くは“日常生活の何か”が引き金です。もし蕁麻疹が起こったら、自分の生活の中に心当たりがないか考えてみると、原因究明のヒントになるかもしれません。

まずは食事。サバやアジなどの青魚、豚肉など肉類、エビやカニなどの甲殻類、果物が原因になることがあります。青魚は常温で放置されていたり、冷蔵でも長期間保存してあったりすると、アレルギー体質ではない人でも蕁麻疹が出る原因となる物質“ヒスタミン”の含有量が増えるので、新鮮なうちに食べることをおすすめします。
注意したいのは小麦製品やエビなど特定の食物を食べたあと、すぐに運動したときに蕁麻疹が出るケースです。血圧低下、気分不良、呼吸困難なども起こっているとアナフィラキシーの恐れがあるので、至急救急車を呼びましょう。 

入浴や運動などで体が温まったときや、緊張したときに汗をかいて起こる蕁麻疹もあります。これはコリン性蕁麻疹と呼ばれ、子どもや20歳代に多くみられ、かゆみが強くなければ様子を見ても大丈夫とされています。

ストレスが蕁麻疹を起こすことも!?

心身のストレスは様々な病気の引き金になると知られていますが、蕁麻疹の発症や悪化にもつながります。慢性蕁麻疹の人には、自覚のないストレスが溜まり、発散させていないことが多いと報告されています。職場や家庭などの環境変化で蕁麻疹が出るようになったり、逆に治ったりすることもあります。

蕁麻疹は、ある刺激が一定の強さを超えると発症します。この一定の強さを反応閾値(いきち)と呼びますが、ストレスがこの値を下げてしまい、普段は何でもない皮膚への刺激に反応し、蕁麻疹を起こしやすくするのです。蕁麻疹は、ストレスに対する体からの注意信号のひとつかもしれません。まれに、蕁麻疹が出て、倦怠感、関節痛、発熱などの症状がある場合は内臓の病気の可能性もあります。

原因がわかりにくく長引くことが多い蕁麻疹ですが、様々な検査や内服薬、注射、生活改善などで症状をうまくコントロールしながら、治していくことができます。気になる腫れやかゆみが現れたら、早めに皮膚科専門医を受診してください。

蕁麻疹の主な原因

蕁麻疹はストレスでも出る?多種多様な原因と症状の現れ方

日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 蕁麻疹をもとに作成

参考
日本皮膚科学会

日本皮膚科学会ガイドライン 蕁麻疹診療ガイドライン
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913324_1.pdf

日大医誌 77 (3): 201–202 (2018)
「たかが蕁麻疹,されど蕁麻疹」日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野 葉山 惟大

東京都福祉保健局 食品衛生の窓

厚生労働省 資料2−10 重篤副作用疾患別対応マニュアル 非ステロイド性抗炎症薬による蕁麻疹/血管浮腫

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