二酸化塩素などの「空間除菌」商品は、新型コロナ感染対策として有効ですか?

  • 作成:2022/04/25

ドラッグストア等では、二酸化塩素などを放出する“空間除菌”と称する商品が販売されていることがあります。こうした商品が本当に新型コロナへの感染対策として有効なのかどうなのか迷っている方も多くいるかと思います。長引くコロナ禍、少しでも効果があるのなら購入してみようかなといろいろな方法を試したくなる方も多いと思いますが、今回は薬剤師の立場からその効果についてお話していきたいと思います。

この記事の目安時間は3分です

二酸化塩素などの「空間除菌」商品は、新型コロナ感染対策として有効ですか?

(画像素材:ピクスタ)

「効果がある」という主張の根拠~限定的な条件ではウイルスを不活化できる

一般的に“空間除菌”と称する商品は、空気中に二酸化塩素ガスを放出することによって、空気中のウイルスを不活化(感染性を失わせる)できる、としています。実際、体積13.5リットルほどの小さな箱(チャンバー)に二酸化塩素ガスを0.05ppmの濃度で充満させると、3時間後にはウイルスの活性が1,000分の1に減少した、という研究結果があります1)。そのため、たしかに二酸化塩素ガスにはウイルスを不活化する作用がある、ということは間違いなさそうです。

しかし、この研究結果をもとに「二酸化塩素を放出するものを部屋に置いておきさえすれば、有効な感染対策になる」と言えるかというと、そうではありません。

空間除菌の問題点1:「二酸化塩素ガスを充満させた部屋」は、ウイルスだけでなく人間にとっても有害

まず問題となるのは、二酸化塩素ガスを充満させたような環境で人間が生活できるかどうか、という点です。二酸化塩素ガスは、ウイルスだけでなく人間にとっても無害とはいえないためです。

たとえば先述の研究では、二酸化塩素ガスを0.05ppmの濃度で3時間維持すれば、その空間中のウイルスを1,000分の1に減らせる、ということでした。しかし、二酸化塩素ガスの濃度が0.03ppmを上回るとほとんどの人が不快な匂いを感じるとされている2)など、人間にとっても無害とはいえません。実際に国民生活センターの調査では、二酸化塩素ガスを高い濃度で放出する商品を使っていた人からの健康被害の報告3)もあります

つまり、人が生活する空間に、ウイルスを不活化できるほどの濃度の二酸化塩素ガスを充満させるということは、あまり安全な方法とは言えません(※塩素系ガスは金属を錆びさせる作用があるため、無人の環境であっても機械や楽器などのある部屋にも適しません)。

空間除菌の問題点2:「換気」との両立ができない

もう1つ大きな問題となるのは、“空間除菌”は、感染対策の最も重要な「換気」と両立させるのが極めて困難だ、という点です。二酸化塩素ガスが一定の濃度で何時間も維持されているような環境を作り出そうとすると、必然的にその部屋は空気の入れ替え=「換気」を行えなくなります。一方で、こまめに「換気」をしていれば、ウイルスを不活化するほどの濃度で二酸化塩素ガスが何時間も空間中に留まり続けることはありません。

つまり、「換気」と“空間除菌“はどちらか1つを選ばなければなりません。二酸化塩素ガスを充満させた部屋を作ってこもるよりも、「換気」の方が手軽です。

空間除菌の問題点3:“感染対策”を標榜すること自体が法律違反の可能性あり

また、“空間除菌”を称する商品は、基本的にすべて「雑貨品」に分類されるもので、有効性や安全性を検証して承認された「医薬品」や「医療機器」ではありません。そのため、こうした雑貨品に感染症の予防効果を思わせる“感染対策”や“パンデミック対策”のような表示・広告を行って販売することは、薬機法に抵触する場合があります。

また、もしあなたが「あっ、この商品は感染対策に効果があるんだ」と感じている場合、それはこの商品を実態以上に良いもののように勘違いさせているという点で、景品表示法にも違反している可能性があります。

実際に、このコロナ禍以降、国民が感染対策に強い興味関心を抱くようになったことから、非常にたくさんの“空間除菌”を称する商品が販売されてきましたが、そうした商品は景品表示法違反(第5条第1号:優良誤認)に該当するとして、消費者庁から何度も措置命令が出ています4,5,6)

感染対策では、些細なことでも基本的なことを継続していくことが大事

“空間除菌”を称する商品は、たしかに「どうしても換気を行うことができない部屋」などの一定の条件下では、ウイルスを不活化できそうです。しかし、その条件下というのは、人が安全かつ快適に過ごせる環境とはやや異なります。通常の窓を開けることができる部屋であれば、「換気」を行う方がよほど安全かつ効果的です。

実際に、“空間除菌”の商品の内容物を子どもが誤飲して入院に至った事故7)も起きています。このような商品を購入、利用する際には、メリット・デメリットをよく理解し、どうしても換気できない状態なのかなどを検討していただきたいと思います。

1) Yakugaku Zasshi . 2013;133(9):1017-22.
2) 日本環境感染学会誌.32(4):222-226,(2017)
3) 国民生活センター「二酸化塩素による除菌をうたった商品」
4) 消費者庁「大幸薬品株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2022年1月20日)
5) 消費者庁「二酸化塩素による空間除菌を標ぼうする商品の製造販売業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2021年12月17日)https://www.caa.go.jp/notice/entry/027004/
6) 消費者庁「携帯型の空間除菌用瓶の販売業者5社に対する行政指導について」(2020年5月15日)
7) 日本小児科学会雑誌.117:938-940,(2013)

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